以前、kineさんと話した。

「テリィがハマるのって、誰だろ?」

 テリィ−−テリュース・G・グランチェスター、イギリスのグランチェスター公爵の嫡男。母親はエレノア・ベーカー、アメリカ人のトップ女優。母譲りの美貌と、名門貴族ゆえの気品を持つ青年。されど、母を捨てた父への反発、加えて母に捨てられたという孤独感からちょいと不良生活。
 最終的には、貴族であることと父を捨て、アメリカへ渡って俳優になる。

 同世代の女性なら誰もが知っている少女コミック『キャンディ・キャンディ』のヒーローですわ。
 『キャンディ』は早い話が逆ハーもので、とりたてて美人ってわけでもない主人公キャンディの周りに、いろーんなタイプのいい男が次々現れ、もれなく全員が主人公に惚れるという、わっかりやすい関係図がある物語。
 さまざまな美形男たちのなか、不動の人気を誇るのがこのテリィことテリュースくん。
 ちょっと不良っぽいハンサムで、口が悪くてわがままで強引。でもほんとうはやさしくて、つらい過去があって、秘密があって、貴族様で超お金持ちで、そのくせそれらを全部捨てて夢に生きて、演技の天才で、俳優として実力で名声と富を手に入れるの。

 よくぞここまでッ、ってくらい、ヲトメたちの夢をひとりにまとめあげたキャラクタ。

 女性向けダーリンキャラはいろいろあれど、テリィはそのひな形と言っていいくらい、完璧な造形をしている。

 このテリィ役が、ぴたりとハマる持ち味の男こそが、トップスターに相応しい男だろう。

 という話をしていたんだ。

 女性が本能的に好きなタイプの男。
 マニアとか趣味とかを超えて、不特定多数がふつーに好意を持つタイプの男。

「あさこちゃんとか」

 そう。
 最初に浮かんだのは、あさこだ。

 あさこなら、テリィまんまイケる。
 悪ぶったハンサム。ちょっとやんちゃ。純粋な心をその奥に隠している。強引に抱き寄せたり、無理矢理キスしたり。でも、時折見せる少年ぽい笑顔や、さみしそうな横顔にきゅんとくる。……みたいな。

 テリィが似合う人は、トップ向きの資質を持つ。

 わたしはあさこちゃんを「俺様」と思ったことも、「黒い役が似合う」と思ったことも、一度もない。

 真っ白な貴公子、まっとーなヒーロータイプだと思っていた。

 ただ、一般的に女性は「俺様」や「黒い役」の方が好きだから、あえてそういうイメージで売るんだな、と納得していた。
 その方が人気取りやすいもん。

 白い王子様のアンソニーではなく、不良キャラのテリィが大人気だったように。

 『Ernest in Love』で華開くあさこを見て、しみじみ思い出したよ。
 『キャンディ・キャンディ』の配役を考えたときのことを。

 やっぱりあさちゃんは、トップに相応しい人だな、と。

 正当派の魅力。真ん中に立つこと、白い役をやることで輝く力。求心力。
 タカラヅカのトップスターは、夢を見せてナンボ。
 テリィに恋するキャンディになってナンボ。テリィに愛されるキャンディになってナンボ。

 あさこちゃんならきっと、ヲトメに極上の夢を見せてくれる。

 
「で、kineさんもテリィがいちばん好きだったの?」
 と聞けば。

「いいえ。私はアンソニーです」

 アンソニー?!
 はじめて聞いた、そんな人。みんなアンソニーのことは「きれいな思い出」「白いだけの人」「ただのステップ」ってスルーして終わりでしょ?
 小学校のときや、大人になって文庫が発売されたころ、みんなで「誰が好きだった?」って話しても、アンソニーの名前だけは絶対あがらないよ?

「いいじゃないですか、アンソニー!!」

 kineさん、語尾強し。

「そーゆー緑野さんは、誰だったんですか」

 途中アルバートさんが好きだったけど、なんつーか、ほんとのところは、

「アーチーが好きだった」

 アンソニー以上に人気ナッシングキャラ!! 未だかつて、この男を好きだという人に出会ってない(笑)。
 てゆーか、ブリッコアニーを「消去法」で選んだ瞬間に株価暴落、ニール以下の嫌われキャラ。

「そう来ますか!」

 kineさんにも、なんかウケているぞっ。

 所詮わたしたち、「王道」からはずれた趣味をしているのね……。

 
 今日、感動の2列目で『Ernest in Love』観てきましたー。隅っこだけど、前方列は1列が短いから、それほど端にならないんだ、知らなかった。
 前に座席がなくて最前列(笑)、みんな触れそうに近くて堪能。客席降りもたのしー。

 アーネスト(ジャック)@あさこの、素敵なこと。

 でも。

 所詮マイナー好きなわたしですから。

 イロモノ・越リュウにときめきっぱなし(笑)。

 でもってアルジャノン@きりやん、素敵……。


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