トドは、ホモネタOKな人だと思う。

 昔、まだわたしが若くキヨラカだったころ(笑)、『宝塚グラフ』の座談会記事を読んで、目からウロコが落ちた。
 ある公演で、トドは主人公の親友役だった。舞台上で長い年月が流れる物語だ。座談会で、「トドの役は、結婚したの?」てなことを聞かれ、トドは「生涯独身」と答える。そしてその理由をこう答えるのだ。「親友のことを、愛しすぎていたから」
 親友のために、彼の愛した女を捜し出し、会わせてやる。「そのときの自分の役の気持ちを思うと、泣けてくる」と言う。愛した男のために、恋敵のはずの女を捜し出すけなげさに、泣けると。
 この記事を読んだときに、わたしは目からウロコをぼろぼろ落とした。
 トドロキ、ホモだと理解したうえで演じてたんだ! あたしも、この男ホモくせぇ、と思って見てたけど、マジだったんだ!
 友情が行き過ぎて、ホモになる。……そーゆーの、トドロキ的にアリなんだ!

 と、理解して見てみれば、たしかにトド様はホモネタ好きそーな人でした。アドリブでそれ系よくやるし。
 まあ、トドに限らずジェンヌさんはそっち系のネタ好きそーな人多いけど(笑)。
 やっぱ「腐女子」ってのは女のDNAに刻み込まれている因子なのかもしれん。

 
 そんな素敵ジェンヌ、漢トドロキが『長崎しぐれ坂』千秋楽でかっとばしたアドリブは、「にーさん、それはちょっと……」と腐女子を困惑させるほどのモノでした。

 ただでさえ、野郎ホモ話にしか見えない伊佐次と卯之助。愛の小舟でスモークの中で昇天するふたり。

 李花と伊佐次のベッドシーンに乱入する卯之助、というシーン。
 初日は李花と伊佐次がけっこうきわどい感じだったのに、2度目に観たときからすでに、卯之助登場が早くなっていた。「ええっ、このままヤっちゃうんですか」というエロいムードが高まる以前に、卯之助が茶々入れに登場するよーになっていた。つまんねー。エロはエロでちゃんと見せろー。卯之助がギャグでひっくり返すのは、そのあとでいいっつの。
 李花とヤらせたくなくて、卯之助が早々に出てくるよーになったのかな。てゆーか卯之、デバガメ日常? と戦慄したりもするこのシーンで。

 のぞかれた李花が悲鳴を上げて消え、ベッドに残ったのは伊佐次ひとり。
 いつもなら、照れ隠しだかすねてんだかとゆー風情でベッドに坐り直す伊佐兄。

 千秋楽では、わざわざ掛け布団をめくって、ベッドに横になった。

 アゴの下まで布団をかぶり、このまま寝ちゃう気かしら、と思ったら。

 ベッドの向かって右側に横になった伊佐次、人ひとり分の余裕を確保した上で掛け布団をまくり、卯之助に向かって、ぽんぽん。

 なんてことするんですか兄貴!

 同衾のお誘いしますか!!

 掛け布団まくって、ぽんぽん。
 ここまで直接的で、簡単で、日常でもふつーにありそーなお誘いを、舞台の上で、しかも野郎同士で見ることになるとは、夢にも思いませんでした。

 えーと。
 観客は、笑ってました。
 大爆笑してました。

 一緒になって笑っていた卯之助@ワタさんも、次の瞬間には招かれるままに、ベッドに入ってました。

 入るんかいっ!

 お断りするかと思ったのに。
 新床の妻のよーに、はにかみながら。でかい図体で、布団まくって兄貴の隣に横になりました。

「これで俺たち、明日から関係変わったりしないかな」
 とかなんとか、つぶやきながら。

 えーとソレ、BLの定番台詞ですか?
 初えっちにのぞむ友人からスタートした恋人同士の?

 あー、観客は、笑ってました。
 大爆笑してました。

 布団に仲良く並んで寝た伊佐次と卯之助は、すぐにふたりともベッドから転がり出てぎゃーぎゃー叫んでました。
「お前、でかくなり過ぎ」
 とかなんとか、伊佐次が叫んでいたっけか。
 でかく……って、どこが? すみません、すみません。

 観客は、大ウケでした。
 大爆笑。
 笑いが過ぎて、次の台詞までに間ができるほどに。
 次の台詞が、笑いで聞こえないほどに。

 なんで観客の反応をいちいち書くか。

 スカステニュースでも放映されなかった、ということで、「お布団ぽんぽん」事件の全容を知らないというハイディさんに解説した際、彼女が真顔でたずねたからです。

「ソレ客、引いてませんでした?」

 ハイディさんの顔にはシャレになんねえよと書いてありました。

 あー、たしかに。
 出来事を耳で聞いただけじゃ、ひびるわな。
 実際にあの場にいても、びびったけど。

 それでも劇場内は大爆笑でしたよ。
 大丈夫。
 みんなホモネタ大好きだから!(ちょっとチガウ)

 
 幕間に、ワタさんファンのkineさんが、
「あいつら、シャレにならん。まあ、わかってないでやってるんだろうけど」
 と言っていた。

 それを聞いて、思ったのよ。

 絶対、確信犯だって。
 わかってやってるよー。トドはホモネタOKだし。ワタさんも好きだよね。『ドルチェ・ヴィータ!』博多&ムラを見てたら、すげー好きなのがわかるし(笑)。

 『長崎しぐれ坂』っちゅー、どーしよーもない作品を、正しく盛り上げた結果じゃなかろうかと。

 
 自分からベッドに誘う漢トドロキ。
 いやあ、いいもん見ました(笑)。


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