Cat in the basket

2005年6月3日
 わたしの家にやってきた弟が、

「在中」

 と、にやりと笑って言えば、ある状況を示している。

 洗濯籠の中に、猫がいる状態。

 そう、洗濯籠。
 「これから洗濯するつもり」の汚れ物を入れた籠ではなく、「すでに洗濯済み。これからタンスなどに片付ける予定」の、きれーなモノが入った籠。

 なのに、そこに猫。

 季節は初夏。

 1年中でもっとも抜け毛する季節。

 う・きゃー。
 洗濯物が、洗濯済みモノが、毛だらけ〜〜っっ。

 とっととタンスなどにかたずければいいものを、わたしゃついめんどーなので洗濯籠に入れたまま放置、必要なときはそこから探し出して着る、とかをしていたのだよ……。

 
 弟はわたしが悲鳴をあげるもんだから、それを愉快がっていちいち教えてくれるのよ。
 猫が籠の中に入ってることを。

 
 何故なんだ、猫。
 わたしがその洗濯籠を使っているのは20年も前からだし、アンタだってわたしんちに来てから7年だか8年だか、一度もそんなところへ入ったことなかったじゃない。
 だから安心して使ってたのに……。

 何故今、いきなりそこへ入ることをおぼえたんだ?

 すぐにあきるかと思って、とくに叱ったり叩き出したり、「猫避けスプレー」をふったりもしてなかったんだけど。

 なんか、1日1回は入ってるよーな。

 
 ああ、しかし。

 籠に入っている猫を見つけると「在中」とだけ言う弟。
 彼は籠の横に膝をついて、しみじみ言う。

「かわいー」

 わたしも悲鳴を上げながら、わざわざ籠のある部屋へ行く。
 そして同じよーにのぞき込んで、しみじみ言う。

「かわいー」

 迷惑だって、悲鳴もんの出来事だって、わかっていて、どーしても強く叱れない理由。

 だってだって、かわいいんだものっ。

 丸いバスケットの中で、丸くなって寝ている猫……。

 かわいいっ、かわいすぎるっ。
 弟とふたり、飽きもせず猫を眺める。
 ああ、かわいい……。迷惑だけど、かわいいよ……。

 所詮飼い主バカ。


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