わかりやすく悪役お嬢様キャラに成り下がっていたアリソン@音乃いづみ。
 この女が相手じゃそりゃあ、心変わりは仕方ないや。
 と、ウィリアムの不実ぶりが気にならなくなる。

 そんな素敵な全ツ版『ホテル ステラマリス』

 格が下がったのは彼女だけではありません。
 もうひとりいる。

 アレン@タニ。
 小物感漂う彼は、ステイシーの幼なじみの婚約者。ステイシーの気持ちを察し、自分から身を引くのだが、こちらもなんかわっかりやすく安い男になっている。
 ステイシーを愛しているのはたしかだろうが、ぜんぜん彼女に釣り合ってない。気持ちはわかるけど君、親の力で婚約してもしあわせにはなれないよ、やめておきな、と肩を叩きたくなるような男の子だ。
 この子が相手じゃそりゃ、ウィリアムに恋しても仕方ないよな、ステイシー。
 と、納得させてくれる。

 大劇版では、アリソンとアレンが共に「いい女」「いい男」であったために、ウィリアムとステイシーがくっつくのがわかりにくかった。
 4人の男女が対等であったがために、複雑で、そのくせ人間模様を突っ込んで描写しない、おさまりの悪い物語になってたんだ。

 全ツ版では「恋敵」の位置にいるアリソンとアレンの格を下げることで、物語をわかりやすく整理した。

 この変更は、感心したよ、素直に。
 脚本をなにひとついじらなくても、アリソンをきつくするだけで、そしてアレンをタニちゃんにするだけで、こんなに変わるんだ。(なにげにタニに失礼な言い方。だがそれがタニちゃんの個性だと思ってるのよ)
 タニちゃん、わりとふつーになっていて、ほっとした。TCAのときは、痛々しくて見てられなかったからなー。少しは落ち着いたのかな?

 
 いづみちゃんのアリソンが、とにかくこわくて(笑)。
 わたしが震撼していると、「初日は、もっと怖かったですよ(にっこり)」と、デイジーちゃん。
 あれよりなおこわかったって、どんなんや、音乃いづみ。

 おたのしみのガイ@七帆くんは、とっても地味でした。
 ははは、お笑いトンデモキャラというよりは、ぜんぜんふつーの範疇。七帆くんが地味に小さく演じているもんで、役の大きさが逆転してました。すなわち、リンドン>ガイ。
 銀橋がないのも大きいな。ひとりで歌いながら銀橋を歩けば、嫌でも「特別な人が演じている、特別な役」だとわかるけど、全ツはソレがないから。
 ガイよりリンドンの方が、番手が上の役に見えたよ。
 がんばれ七帆!

 ガイというキャラのはじけっぶりは、タニ>ちぎ>七帆ですな。
 タニちゃんはやりすぎて銀河系飛び越してたし、七帆くんは地味すぎ。
 新公のちぎくんがいちばんよかった気がする。タカラヅカの二枚目男役の範疇で、愉快キザりキャラだったから。

 ガイがあまりにふつーの人なんで、リンドン@和とのやりとりが、ふつーにヒューマンドラマ化していて、別世界でした。
 いやべつにわたしは、ガイがうっかりリンドンに惚れちゃったために、彼の味方になったでも、ぜんぜんかまわんのですが。
 ガイ×リンドン、あくまでも七帆と和で! 萌え〜〜。
 
 全ツ版『ステラマリス』はいい感じに、こじんまりまとまっていたよ。
 

 で、ショーの『レヴュー伝説』ですが。
 なんやかんやいってわたし、このショー好きやねんなあ(笑)と、思ってみたり。
 たかおさん好きだし、花ちゃん好きだから、それだけでたのしいんだわ。

「オーレリアン様の出番、増えてますよ(笑)」
 と、デイジーちゃんが笑っていた、客席いじりするオーレリアン様も素敵。いいなあ、いじられたいわー。
 

 わたしが愛する「タカラヅカ」というもののシンプルなカタチが、タカハナにはあるの。

 王子様なトップスター、それに寄り添う可憐な娘役トップスター、トップコンビを中心にした完全なるピラミッド。
 タカラヅカはタカラヅカである以上、絶対に美しくなきゃダメだ。
 夢を見せてくれなきゃダメだ。

 タカハナは、ほんとうに美しく、夢を見せてくれるトップコンビだ。

 ジジ@花ちゃんが、ほんとーにかわいくてねえ。オーレリアン様@たかこがほんとーに素敵でねえ。
 ふたりの物語を素直にたのしんだ。

 泣いちゃったよ、ジジが死ぬところ。

 レヴュー星人とやらのオーレリアンは、ものすげー上の部分から「可哀想な地球人の女の子に夢を見せてあげよう」な立場にいたのにね。
 気がついたら本気で恋して、「可哀想」「してあげよう」なんてふうに見下していた女の子の死を、悲しんでいる。
 慟哭するでなく、取り乱すでなく、運命を受け入れながらもたしかに変わったオーレリアンに、泣けたよ。
 もちろん、ジジがあまりにいたいけだからこそ、そこまで感情移入できたわけだけど。

 だからこそ、そのあとふたりのデュエットダンスの美しさを、「よかったねぇえ」という気持ちとともに、感涙しながら観ましたさ。

 
 でもさ、デュエットダンス、多すぎ。

 水くんがいなくなることで、水くんの役自体がなくなっていたことに、トホホな気持ち。

 そっか……いなくてもいい役だったんだね、トト隊長。

 なんで、役替わりじゃダメだったの?
 トトを七帆くんにやらせるわけにはいかなかったの? べつに和くんでもいいけどさ。
 トトとゆーキャラをなくし、トトのいた場所、役割を、すっしーと七帆で分けるって、なんで?
 タニちゃんはしょーがないよ。水しぇんの役割を担うのは当然。
 しかし。

 何故そこで、すっしーなんだ……。

 すっしーは好きだし、大切にして欲しい大人の色男だと思ってるけど。

 たのむよ宙組、若手に出番をやってくれよ。

 タカハナと心中するつもりですか、宙組。タカラヅカ90年の伝統、5つめのもっとも新しい組。
 若手を売り出さず、上級生だけで回していく組、その上級生たちが辞めたあとは、いったいどうするつもりなんですか……。

 全ツでスターが少なくなっていてさえ、若手には出番をろくにやらないんだ……。すげえや。

 ほんのわずかに七帆や和が使われているのを見て、よろこぶけど……それにしても、ふつー以下の扱われ方なんだもんなー……それでもよろこんでしまうくらい、出番ないんだもんなー、宙組って。

 わたしはタカハナ好きだけど、そしてタカラヅカはトップスター中心主義であるべきだと思っているけど、宙組はバランス悪すぎるよ。
 トップスターを中心に、若手の台頭をたのしむのがタカラヅカなのに。

 
 あとは、暁郷のオカマのミンキーモモを堪能。やっぱGOを見なくちゃね!!


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