観に行く理由と、格の下がった女。@全ツ版『ホテル ステラマリス』
2005年5月22日 タカラヅカ 宙組全国ツアー公演『ホテル ステラマリス』、あなたは観に行きますか?
あー、『ステマリ』なぁ、もうムラで何回か観たからなぁ。十分堪能したから、べつに観なくてもいっかぁ。
「役替わりがありますよ?」
タニちゃんでしょ? いいよ、べつに……。
「アレンは、たぶんタニでしょう。問題は、ガイが誰かってことです」
えーと、誰になるんだ? てゆーかわたしゃ、誰が出るかも知らないし。
「候補は順当に行けば、七帆、和あたりですね」
あー、七・和出るんだー。それはいいねえ。
順番で行けば七かな?
「でも、全ツにははっちゃんも出ますから。宙組には初嶺マジックというのがあります。ドラマシティの『箱男』、全ツの『風共』で、何故か今さら路線でもない上級生が、2番手娘役をやったりする、謎の配役。はっちゃんがいる限り、他劇場公演で若手男役に役が付く日はこないかもしれません」
若手を売り出さなくてはならない時期に、何故か大事にされまくる上級生……。
もちろん、上級生は大切にされるべきだけど、若手路線の見せ場を奪うのはまちがってる……。
「あと主立った役は、リンドンぐらいですね。ガイとリンドンを、七・和で分けるのが正しい配役だとは思いますが……リンドンが似合うのは七の方ですね。性格的にもキャラ的にも、ガイはきついでしょうから」
ガイとゆーと、あのナチュラル・ボーン・ハンター、トンデモお笑いキャラだよね。
たしかにそれを七帆くんにやれというのは、酷な気もする……。
そしてリンドンは、シリアスな大人の男。七帆くんはハマりそうだ。
てな会話を、宙担のデイジーちゃんとうだうだやったあと。
わたしの結論。
ガイが七帆だったら、観る。
「だから、七はキャラ的にガイよりリンドンなんですってば」
だから、ガイが見たいんだよーん。七帆のリンドンなんか、見る前から想像つくよ。
「じゃあ、リンドンは和でいいんですね」
それも想像の範囲内で、つまんないなあ。
「誰ならいいんですか?」
リンドンが暁郷だったら、見る。
「GOですかっ!!」
リンドンの暁郷。
想像するだけで愉快じゃないか。
絶対ものすげえ、濃いぞぉ。顔ゆがめまくって、苦悩しまくるぞぉ。
「ありえないと思いますが……暁郷の配役次第で、観るかどうかを決める人がいるなんて!!」
いや、そんなに愕然としなくても。
七帆くんがガイなら、観るってば〜〜。あの表情少ないぼーっとした男の子が、あのトンデモキャラをやるなんて、ものすげー愉快だから。
つーことで、観に行きました、『ステマリ』全ツ版。
目当ては、ガイ@七帆。
GOは残念ながら、十の役でしたね。その役は、新公でやったからもういいんやってば……。
イロモノとしてじゃなく、美形役を見たかったのよ、GOで(笑←笑うのか)。
正塚作品の再演を他劇場で観るときいつも思うことだが、人数も劇場の大きさも、とっても適正。
中劇場と半分のキャストで十分な話なんだよなー、正塚作品って。
小さな劇場で観れば、この意味もストーリーもろくになく、ただみんなで歌い踊りまくる作品は、けっこーたのしいんじゃないかな。
後ろの席からでは、ただのモブシーンの連続にしか見えないからつらいのよ。
前方席&小さな劇場なら、ひとりずつのキャラや小芝居がわかってたのしくなると思う。
まあそれでも、ストーリーなさすぎなんだけど。
それにしても。
いやあ、いい感じに変化がありましたねっ。
ストーリーも展開も同じなんだけど。
アレンとアリソンが別人なんで、いい感じに、主役のオダネルさんとステイシーの恋愛が際立ってました。
大劇版のウィリアム・オダネル氏の、もっとも引っかかる部分は、「婚約者への不誠実さ」だった。
てめえで惚れてプロポーズした女のことを、簡単プーに捨ててしまえるいい加減さが、理解できなかった。そこのところをちゃんと描いてなかったからさ。
アリソン嬢は可哀想に、なんの落ち度もないまま、プライドずたずたにされて衆目の元捨てられるのだ。
ところが、この全ツ版のアリソン@音乃いづみ。
めっちゃわかりやすく、嫌な女なのっ!(笑)
すげえよ。
キツイのなんのって。
回想シーンからして、イタタなまでのいぢわる系お嬢様爆裂。そりゃまあ、このテの女がかわいい男もいるだろーけどさ。こんなきっつい女が、自分に惚れてると思えば、いい気分にもなれるかもしれんし。
にしても、アリソンの第一印象は、こわっ!!だった。
なによりすごかったのは、ステイシーとウィリアムが抱きあっているのを目撃したあとのシーン。
ホテル売却でショックを受けて、ふらふらなステイシー。そんな彼女がけなげにも、「ホテルを潰す敵」であるアリソンに対し、
「ようこそ、ステラマリスへ」
と言う。
ステイシーという女の子の性格、ホテルへの愛と誇り、そーゆーものが表現されている台詞で、ムラ版で観たときはとても感動した。ここでアリソンに「ようこそ」と言って微笑むことができるステイシーに。
なのに、全ツ版アリソンってば。
このけなげな「ようこそ、ステラマリスへ」の台詞の途中で、プイッと視線はずして、ウィリアムに話しかけるのよ!!
う・わー……。
痛い。
これは、痛い。
倒れるくらい精神的にまいってるステイシーが、それでも愛と誇りをこめて言った台詞を、無視かい。
死にかけた人間に、とどめさすくらい、すげー攻撃だ。
このときのステイシーの傷ついた顔がまた、絶品でねえ。
そしてこのいぢわるアリソン、これみよがしにウィリアムにいちゃつくのだわ。
ホテル閉鎖、それでも持っていた誇りすら踏みにじられ、そのうえ、ひそかに愛していた男も持って行かれ……ステイシー、ボロボロ。
も、萌え。
これでもかと傷つけられ、踏みにじられるステイシー、萌え。
そして、そんなステイシーを黙って見つめるオダネルさんに、萌え。
立場上、あそこでステイシーに手を差しのべられないのよね。それがつらくて、すっげー無表情なんだよね。
わりとやわらかな性格だってことがわかっているから、ステイシーがいちばん傷ついているところで、オダネルさんが無表情で淡々としているのが、ヲトメ心を刺激するのよ。
わたし、ヒロインや受が精神的に追いつめられる話、好きだからさー。痛い系の話、好みだから。
この展開は、すげーうれしい。
アリソンがわかりやすくキツイ女だから、オダネルさんが彼女ではなくステイシーを愛してしまう気持ちが、わかるのよ。
エリート志向でバリバリやっていたときは、アリソンみたいな女を征服するのがたのしーだろーけど、それ以外の生き方を考えたときには、とてもじゃないが、あの女とは一緒に歩けないだろう。
ムラ版アリソン@かなみちゃんは、名実共に「いい女」だったから、なんにも悪くない彼女が捨てられるのがわからなかったし、オダネルさんはただの不実な二股男に見えた。
いいぞ、全ツ・アリソン!
続く。
あー、『ステマリ』なぁ、もうムラで何回か観たからなぁ。十分堪能したから、べつに観なくてもいっかぁ。
「役替わりがありますよ?」
タニちゃんでしょ? いいよ、べつに……。
「アレンは、たぶんタニでしょう。問題は、ガイが誰かってことです」
えーと、誰になるんだ? てゆーかわたしゃ、誰が出るかも知らないし。
「候補は順当に行けば、七帆、和あたりですね」
あー、七・和出るんだー。それはいいねえ。
順番で行けば七かな?
「でも、全ツにははっちゃんも出ますから。宙組には初嶺マジックというのがあります。ドラマシティの『箱男』、全ツの『風共』で、何故か今さら路線でもない上級生が、2番手娘役をやったりする、謎の配役。はっちゃんがいる限り、他劇場公演で若手男役に役が付く日はこないかもしれません」
若手を売り出さなくてはならない時期に、何故か大事にされまくる上級生……。
もちろん、上級生は大切にされるべきだけど、若手路線の見せ場を奪うのはまちがってる……。
「あと主立った役は、リンドンぐらいですね。ガイとリンドンを、七・和で分けるのが正しい配役だとは思いますが……リンドンが似合うのは七の方ですね。性格的にもキャラ的にも、ガイはきついでしょうから」
ガイとゆーと、あのナチュラル・ボーン・ハンター、トンデモお笑いキャラだよね。
たしかにそれを七帆くんにやれというのは、酷な気もする……。
そしてリンドンは、シリアスな大人の男。七帆くんはハマりそうだ。
てな会話を、宙担のデイジーちゃんとうだうだやったあと。
わたしの結論。
ガイが七帆だったら、観る。
「だから、七はキャラ的にガイよりリンドンなんですってば」
だから、ガイが見たいんだよーん。七帆のリンドンなんか、見る前から想像つくよ。
「じゃあ、リンドンは和でいいんですね」
それも想像の範囲内で、つまんないなあ。
「誰ならいいんですか?」
リンドンが暁郷だったら、見る。
「GOですかっ!!」
リンドンの暁郷。
想像するだけで愉快じゃないか。
絶対ものすげえ、濃いぞぉ。顔ゆがめまくって、苦悩しまくるぞぉ。
「ありえないと思いますが……暁郷の配役次第で、観るかどうかを決める人がいるなんて!!」
いや、そんなに愕然としなくても。
七帆くんがガイなら、観るってば〜〜。あの表情少ないぼーっとした男の子が、あのトンデモキャラをやるなんて、ものすげー愉快だから。
つーことで、観に行きました、『ステマリ』全ツ版。
目当ては、ガイ@七帆。
GOは残念ながら、十の役でしたね。その役は、新公でやったからもういいんやってば……。
イロモノとしてじゃなく、美形役を見たかったのよ、GOで(笑←笑うのか)。
正塚作品の再演を他劇場で観るときいつも思うことだが、人数も劇場の大きさも、とっても適正。
中劇場と半分のキャストで十分な話なんだよなー、正塚作品って。
小さな劇場で観れば、この意味もストーリーもろくになく、ただみんなで歌い踊りまくる作品は、けっこーたのしいんじゃないかな。
後ろの席からでは、ただのモブシーンの連続にしか見えないからつらいのよ。
前方席&小さな劇場なら、ひとりずつのキャラや小芝居がわかってたのしくなると思う。
まあそれでも、ストーリーなさすぎなんだけど。
それにしても。
いやあ、いい感じに変化がありましたねっ。
ストーリーも展開も同じなんだけど。
アレンとアリソンが別人なんで、いい感じに、主役のオダネルさんとステイシーの恋愛が際立ってました。
大劇版のウィリアム・オダネル氏の、もっとも引っかかる部分は、「婚約者への不誠実さ」だった。
てめえで惚れてプロポーズした女のことを、簡単プーに捨ててしまえるいい加減さが、理解できなかった。そこのところをちゃんと描いてなかったからさ。
アリソン嬢は可哀想に、なんの落ち度もないまま、プライドずたずたにされて衆目の元捨てられるのだ。
ところが、この全ツ版のアリソン@音乃いづみ。
めっちゃわかりやすく、嫌な女なのっ!(笑)
すげえよ。
キツイのなんのって。
回想シーンからして、イタタなまでのいぢわる系お嬢様爆裂。そりゃまあ、このテの女がかわいい男もいるだろーけどさ。こんなきっつい女が、自分に惚れてると思えば、いい気分にもなれるかもしれんし。
にしても、アリソンの第一印象は、こわっ!!だった。
なによりすごかったのは、ステイシーとウィリアムが抱きあっているのを目撃したあとのシーン。
ホテル売却でショックを受けて、ふらふらなステイシー。そんな彼女がけなげにも、「ホテルを潰す敵」であるアリソンに対し、
「ようこそ、ステラマリスへ」
と言う。
ステイシーという女の子の性格、ホテルへの愛と誇り、そーゆーものが表現されている台詞で、ムラ版で観たときはとても感動した。ここでアリソンに「ようこそ」と言って微笑むことができるステイシーに。
なのに、全ツ版アリソンってば。
このけなげな「ようこそ、ステラマリスへ」の台詞の途中で、プイッと視線はずして、ウィリアムに話しかけるのよ!!
う・わー……。
痛い。
これは、痛い。
倒れるくらい精神的にまいってるステイシーが、それでも愛と誇りをこめて言った台詞を、無視かい。
死にかけた人間に、とどめさすくらい、すげー攻撃だ。
このときのステイシーの傷ついた顔がまた、絶品でねえ。
そしてこのいぢわるアリソン、これみよがしにウィリアムにいちゃつくのだわ。
ホテル閉鎖、それでも持っていた誇りすら踏みにじられ、そのうえ、ひそかに愛していた男も持って行かれ……ステイシー、ボロボロ。
も、萌え。
これでもかと傷つけられ、踏みにじられるステイシー、萌え。
そして、そんなステイシーを黙って見つめるオダネルさんに、萌え。
立場上、あそこでステイシーに手を差しのべられないのよね。それがつらくて、すっげー無表情なんだよね。
わりとやわらかな性格だってことがわかっているから、ステイシーがいちばん傷ついているところで、オダネルさんが無表情で淡々としているのが、ヲトメ心を刺激するのよ。
わたし、ヒロインや受が精神的に追いつめられる話、好きだからさー。痛い系の話、好みだから。
この展開は、すげーうれしい。
アリソンがわかりやすくキツイ女だから、オダネルさんが彼女ではなくステイシーを愛してしまう気持ちが、わかるのよ。
エリート志向でバリバリやっていたときは、アリソンみたいな女を征服するのがたのしーだろーけど、それ以外の生き方を考えたときには、とてもじゃないが、あの女とは一緒に歩けないだろう。
ムラ版アリソン@かなみちゃんは、名実共に「いい女」だったから、なんにも悪くない彼女が捨てられるのがわからなかったし、オダネルさんはただの不実な二股男に見えた。
いいぞ、全ツ・アリソン!
続く。
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