今度のことで、しみじみ思った。

 わたしは、タカラヅカの『ベルばら』が大嫌いだ。

 チェリさんから速報メールもらって、ヘコんだのよ。泣きたい気分で乾いた笑いを浮かべている、そんな状態。

 そうか、そこまでキライだったか……。

 いや、もちろんキライだと自覚してはいたけど。
 ほんっとーに、キライやったんやな……感心したわ。

 
 2001年の『ベルばら』フェルゼンとマリー・アントワネット編。

 人形のように美しいたかちゃんフェルゼンで目を洗われ、その美しさとさえちゃんオスカル見たさに劇場へ足を運びましたさ。
 すでに『ベルばら』はキライだったので、「ネタ」としてたのしむだけ、目で眺めるだけ、真剣に作品を観ようとか味わおうとか感じようとかは、全放棄、の覚悟で行きました。
 ええ、うれしがって初日に。ネタ公演だもん、最初に観なきゃなー。
 

 初日は、さえカルではありません。水カルでした。

 ええ、水しぇんオスカル……なんかみょーに強くて前向きで、フェルゼンを押し倒すんぢゃないかといらん心配をしてしまうよーな、オカマ色全開の愉快なオスカルでした。

 あー、水カルってそのうち野太い男声で啖呵きりそーだなー。てゆーか、喉仏あるんぢゃねーか? たかこフェルゼン、逃げなきゃヤられちゃうよー、あんた絶対負けるよー。

 そんなものすげーオスカルの横には、とても控え目な、やさしげなアンドレがおりました。
 大変やなー、さえドレ……雰囲気ですでに負けてる……。存在感薄……。あの強烈な光の影なわけかー、ははは。

 と、初日は笑っていられたんだけど。なにしろネタ公演でしかないわけだし。
 

 2回目の観劇も、よせばいーのにまた水カルとさえドレだった。
 あたしはさえちゃんオスカルが観たいのにー。なんで水カルのチケットしか持ってないのよー。友会で当たったのが水カル日程だけだったんだもんよー。

 2回目はヅカ初心者と一緒で気を遣いつつも、かなり作品に辟易。
 水カルに笑えなくなったら、駄作ぶりばかりが目についてつらい。

 ああそして、運命の新人公演。

 何故かわたし、新公まで観に行ったんだよな……リッキー・アンドレ目当てに。

 リキくんはうまかったよ。新公のアンドレとして納得の出来さ。なんで本公でろくに役がつかないのか疑問でしょーがなかったさ。
 あいりオスカルの壊滅ぶりに震撼しつつ、さららんフェルゼンの暴走ぶりに大爆笑していたさ。

 新人公演の特色として、駄作が剥き出しで駄作になる、ということがある。
 本公演ではスターがスター力でなんとか補ってしまっている部分が、観客にありのまま差し出されてしまうのな。

 駄作は、救いようもない駄作になる。

 役者の力による底上げナシに『ベルばら−フェルゼンとアントワネット編』を観てしまったわたし。

 ギブアップした。

 もうダメだ、これ以上観られない。

 大嫌いだ。

 これ以上、こんなキチガイ作品を観ていたら、わたしの感性が汚染される。

 自分を大切にしなくては。感受性を破壊される前に、観るのをやめなければ。

 ネタ公演なんだから、真面目に観なくていいんだから。がんばっている、美しい生徒さんだけを観るのよ。作品は観ちゃダメ、考えちゃダメ。
 ……そう思っていてなお、ギブアップした。

 
 新公は時間の関係で、本公演の一部分だけの上演になっている。
 どこのシーンがカットになっているか、知らずに観たんだ。
 幕が開くたび、「あ、このシーンやるんだ」「ああ、今1シーンとんだな」とかがわかる。

 そのとき、思ったんだよ。
 幕が開くたび、「あ、このシーンやるんだ。やらなくていいのに」と。
 幕が開くたび開くたび、そう思っている自分に気づいたのよ。

 「今宵一夜」と「バスティーユ」以外のシーンは全部、観たくないと思っている自分に。

 「今宵一夜」と「バスティーユ」ってソレ、イベントで上演しているよーなとこだけじゃん。イベントで十分ってことじゃん。

 つまりわたし、ほんっとーにキライなんだ。

 宙組新公で、思い知ったのよ。
 役替わりだとかネタだとかで、笑って観られるのは1〜2回まで。それ以上はアタマがおかしくなるから観られない(笑)。

 おかげで。

 さえちゃんオスカルを観られなかった。

 観たかったのにぃ。
 もう『ベルぱら』を観たくない一心で、観に行けなかったのよ。水カルは2回も観てしまったのにな……。

 宙ベルばら2001のお楽しみは、麗しのたかちゃんフェルゼンと、さえちゃんオスカルだったのに……!! がっくり。

 生徒さんへの好意を覆すほどの、嫌悪感。
 それがわたしにとっての『ベルばら−フェルゼンとアントワネット編』。

 『オスカルとアンドレ』はまだマシなんだ。『フェルゼン』が最悪なのよ。

 だって「フェルゼン主役」のフェルゼンって、キチガイなんだもの……!
 人としておかしいよ、気持ち悪いよ、あんな男。偽善者。卑劣漢。暴君。ストーカー。自分だけが正義で、自分とちがう考えを持つ者はすべて悪。
 ここまで壊れきった男なのに、物語は「彼こそが正義。まちがっているのは彼以外のすべて」という描き方をする。
 観ていると、自由な感性を破壊される気がする。歪んだ大地。

 今まで観た「フェルゼン」のなかで、キャラとしてよかったのは、さららん@宙ムラ新公だけだ。東宝は観てないから知らない(たぶんさららんは、計算してあのキャラ立てにしたわけではないだろーから、東宝では別物だった可能性もある)。
 それ以外のフェルゼンは、人として気持ち悪かった。

 
 ああ、その最低最悪の人格破綻者の役を、ワタさんがやるんですか……。がっくり。

 わたしの大好きな星組が、わたしの大嫌いな『ベルばら−よりによってフェルゼンとアントワネット編』をやるんですか。がっくり。

 
 とまあ、ここまでヘコみ、かつ毒を吐いてますがな。
 ぶっちゃけ、わたしも『平成ベルばら』でタカラヅカにハマったクチなので、初心者向きの演目であることは認めてますよ。
 集客力があることも、わかってる。

 まあせいぜいがんばって金儲けしてください。
 新規ファンを増やしてください。1公演だけなら、我慢しましょー。
 決まったものは仕方ない。

 ただ。

 神様お願い。
 こんな超絶嫌悪作で、誰も退団しませんように!!

 1回は笑えるからまだ、観られる。最悪2回までなら、なんとかなる。キャスティングがちがえば、またなんとかなる。
 しかし、ヘヴィ・リピートはできない。
 だからお願い、これで退団だけはやめて。

 『ベルばら』は、初心者や一般人のための演目なんだから。
 退団公演っちゅーのは、ディープファン向けにやるものでしょう?
 その棲み分けさえ、区別さえしてくれるなら、もうなにも言わないから。

 もう、願いはそれだけです。


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