あて書きの妙。@マラケシュ・紅の墓標
2005年3月26日 タカラヅカ オギー作品を観るときのたのしみのひとつが、「あて書き」だ。
オギーはその役者からイマジネーションを受けて、役を膨らます。
それは、その役者「らしい」ものかもしれないし、「この人にこんな部分が?」と驚くよーなものであったりもする。
それが、たのしい。
オギーが表現する「役」は、残酷にもその役者本人の「持ち味」や「限界」までも、白日の下にさらす。
さて、オサ様はじめとする花組のみんなは、どんなふーに料理されちゃうのかしら。
『マラケシュ・紅の墓標』でいちばん感心したのは、ゆみこちゃんの扱いだ。
この救いのない物語のなかで、一条の光をともすのが、クリフォード@ゆみこ。ひたむきに愛し、乗り越え、自分の意志で他人の手を握る青年。
彼の存在がなければ、この作品は「大劇場で上演してはならない」ものになっただろう(笑)。
クリフォードは、仕事で行った砂漠で、遭難する。生きて戻れる可能性は少ない。彼が想うのは、残してきた妻オリガ@ふーちゃんのこと。
オリガとは、パリで出会った。雨の夜、泣きながら歩く彼女に一目惚れした。
かなしみのなかにいる女を愛した。……誰か、自分ではない男が、彼女をかなしませた。つまり、彼女の愛は、あとから出てきた自分にはないということ。
わかっていてなお、クリフォードは彼女を愛し、結婚した。愛されていないことに、気づきながら。
死の狭間で、それでも妻を想う。彼女に会うために、生きて帰ろうとする。愛してくれない女を、恋う。
おそらく彼は、いろーんなことを考えたのだと思う。このまま自分が死んだ方が妻が自由になれていいんじゃないかとか、今ごろどうしてるだろうかとか、泣いてもくれなかったらどうしようとか。それでも愛しているのか、生きて帰ったら、どうしたいか。なにがしあわせなのか、どうすれば愛する女をしあわせにできるのか。
きっとものすっげーごちゃごちゃ考えて、絶望と希望を行き来して、苦悩の果てに、たどりついたんだと思う。
もう一度、やりなおすこと。
僕は、彼女を愛している。
そこからすべて、やりなおすこと。
奇跡の生還を遂げたクリフォードの前には、妻オリガがいた。最果ての地マラケシュ。ふつーの覚悟で、上流階級の女が来られる場所じゃない。彼女の顔には、困惑が見える。クリフォードLOVEでここまで来たわけじゃないことはわかる。そう、彼女に愛されていないことは知っていた。
それでもなお、彼女はここにいる。
その事実だけで。
クリフォードは、オリガを抱きしめる。
ここからはじめよう。愛している、今、このときから。
なにか言おうとするオリガをさえぎって。なにも聞かない。懺悔も後悔もいらない。必要なのは、未来。彼女にどんな過去があろうと、関係ない。
クリフォードは、未来へ向かって、愛を選んだ。
とゆー、愛と希望の男クリフォード役が、ゆみこ。
絶望の地マラケシュを、絶望の果ての希望の宿る地に変えた男。パンドラの箱の、最後にあったもの。それが、クリフォードだ。
冒頭で絶望と戦い、タイトルを口にし、キモとなるパリの回想シーンにのみ出演し、あとはラストシーンまで出番なし。
この潔いキーパーソン。
すげー、この役をゆみこにやらせますか。
さすがオギー。
ゆみこのキャラに、合ってる。
愛を叫び、希望に向かう、暗い深刻系の持ち味。強さと繊細さ。それがゆみこ。
少ない出番ながら、見事だ〜〜。
あとあて書きでウケたのは、まっつ。
地味で真面目で堅苦しい、でも世間ずれしてない弁護士青年。オリガのお目付役その2でしかない、脇役。机の上の勉強は得意だけど、俗世のことはいまいち理解していないおぼっちゃま先生。
だから柄の悪いマラケシュでは、ろくなことにならない。街に着くなりオリガとははぐれちゃうし、スリには遭うし。自分たちから財布をすった当人レオン@樹里ぴょんに、そんなこととはカケラも疑わずになついてみたり。
うわー、イケてねえ(笑)。
そのくせ、誠実な紳士であるもんだから、たまたま出会った女の子ソフィア@彩音ちゃんにあたりまえにやさしくしてみたり。
なんかこの小物ぶりが、泣けるほどまっつ(笑)。
そして、最後はソフィアとハッピーエンド!! いよっ、婿養子!!
いいなあ、ものすげーまっつらしい役だわー。好き〜。
幕間にデイジーちゃんと話してたんだけど。
「この芝居のポイントってゆーと、主役がヘビ@としこさんで、ヒロインがイヴェット@あすかちゃんってことですかね?」
「見事なトップスターぶりだったね、あすかちゃん」
「オサ様はその相手役ってとこですか」
「それと、わたし的トピックスは、まっつの白燕尾姿が、完璧に衣装に負けていたこと」
「地味でしたねーっ、あすかちゃんが華やかな分、見事に負けちゃって……」
「そのくせ、どさくさにまぎれて、ハッピーエンドになってるし」
「まぎれてましたねー(笑)」
ああ、ヘタレ男のまっつが愛しい(笑)。大好きだぞ、この小人物。なんでも及第点、破綻はないけど地味で華のない優等生。つくづく好みだ。
その他の人については、またいずれ。
オギーはその役者からイマジネーションを受けて、役を膨らます。
それは、その役者「らしい」ものかもしれないし、「この人にこんな部分が?」と驚くよーなものであったりもする。
それが、たのしい。
オギーが表現する「役」は、残酷にもその役者本人の「持ち味」や「限界」までも、白日の下にさらす。
さて、オサ様はじめとする花組のみんなは、どんなふーに料理されちゃうのかしら。
『マラケシュ・紅の墓標』でいちばん感心したのは、ゆみこちゃんの扱いだ。
この救いのない物語のなかで、一条の光をともすのが、クリフォード@ゆみこ。ひたむきに愛し、乗り越え、自分の意志で他人の手を握る青年。
彼の存在がなければ、この作品は「大劇場で上演してはならない」ものになっただろう(笑)。
クリフォードは、仕事で行った砂漠で、遭難する。生きて戻れる可能性は少ない。彼が想うのは、残してきた妻オリガ@ふーちゃんのこと。
オリガとは、パリで出会った。雨の夜、泣きながら歩く彼女に一目惚れした。
かなしみのなかにいる女を愛した。……誰か、自分ではない男が、彼女をかなしませた。つまり、彼女の愛は、あとから出てきた自分にはないということ。
わかっていてなお、クリフォードは彼女を愛し、結婚した。愛されていないことに、気づきながら。
死の狭間で、それでも妻を想う。彼女に会うために、生きて帰ろうとする。愛してくれない女を、恋う。
おそらく彼は、いろーんなことを考えたのだと思う。このまま自分が死んだ方が妻が自由になれていいんじゃないかとか、今ごろどうしてるだろうかとか、泣いてもくれなかったらどうしようとか。それでも愛しているのか、生きて帰ったら、どうしたいか。なにがしあわせなのか、どうすれば愛する女をしあわせにできるのか。
きっとものすっげーごちゃごちゃ考えて、絶望と希望を行き来して、苦悩の果てに、たどりついたんだと思う。
もう一度、やりなおすこと。
僕は、彼女を愛している。
そこからすべて、やりなおすこと。
奇跡の生還を遂げたクリフォードの前には、妻オリガがいた。最果ての地マラケシュ。ふつーの覚悟で、上流階級の女が来られる場所じゃない。彼女の顔には、困惑が見える。クリフォードLOVEでここまで来たわけじゃないことはわかる。そう、彼女に愛されていないことは知っていた。
それでもなお、彼女はここにいる。
その事実だけで。
クリフォードは、オリガを抱きしめる。
ここからはじめよう。愛している、今、このときから。
なにか言おうとするオリガをさえぎって。なにも聞かない。懺悔も後悔もいらない。必要なのは、未来。彼女にどんな過去があろうと、関係ない。
クリフォードは、未来へ向かって、愛を選んだ。
とゆー、愛と希望の男クリフォード役が、ゆみこ。
絶望の地マラケシュを、絶望の果ての希望の宿る地に変えた男。パンドラの箱の、最後にあったもの。それが、クリフォードだ。
冒頭で絶望と戦い、タイトルを口にし、キモとなるパリの回想シーンにのみ出演し、あとはラストシーンまで出番なし。
この潔いキーパーソン。
すげー、この役をゆみこにやらせますか。
さすがオギー。
ゆみこのキャラに、合ってる。
愛を叫び、希望に向かう、暗い深刻系の持ち味。強さと繊細さ。それがゆみこ。
少ない出番ながら、見事だ〜〜。
あとあて書きでウケたのは、まっつ。
地味で真面目で堅苦しい、でも世間ずれしてない弁護士青年。オリガのお目付役その2でしかない、脇役。机の上の勉強は得意だけど、俗世のことはいまいち理解していないおぼっちゃま先生。
だから柄の悪いマラケシュでは、ろくなことにならない。街に着くなりオリガとははぐれちゃうし、スリには遭うし。自分たちから財布をすった当人レオン@樹里ぴょんに、そんなこととはカケラも疑わずになついてみたり。
うわー、イケてねえ(笑)。
そのくせ、誠実な紳士であるもんだから、たまたま出会った女の子ソフィア@彩音ちゃんにあたりまえにやさしくしてみたり。
なんかこの小物ぶりが、泣けるほどまっつ(笑)。
そして、最後はソフィアとハッピーエンド!! いよっ、婿養子!!
いいなあ、ものすげーまっつらしい役だわー。好き〜。
幕間にデイジーちゃんと話してたんだけど。
「この芝居のポイントってゆーと、主役がヘビ@としこさんで、ヒロインがイヴェット@あすかちゃんってことですかね?」
「見事なトップスターぶりだったね、あすかちゃん」
「オサ様はその相手役ってとこですか」
「それと、わたし的トピックスは、まっつの白燕尾姿が、完璧に衣装に負けていたこと」
「地味でしたねーっ、あすかちゃんが華やかな分、見事に負けちゃって……」
「そのくせ、どさくさにまぎれて、ハッピーエンドになってるし」
「まぎれてましたねー(笑)」
ああ、ヘタレ男のまっつが愛しい(笑)。大好きだぞ、この小人物。なんでも及第点、破綻はないけど地味で華のない優等生。つくづく好みだ。
その他の人については、またいずれ。
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