花の道と、帰りの電車で書いた。@月組『エリザベート』千秋楽
2005年3月21日 タカラヅカ 一応、さえちゃんの入り待ちをしようと思った。前夜、わたわた日記書いて、翌日の起床時間を考えてちゃんと睡眠をとった。朝、ふつーに起きた。
でも。
やっぱり、入りに行くのはやめようと思った。
もう一度、猫を抱いて布団に戻った。
さえちゃんの夢を見た。
うん。
よーするにまだ、傷口がふさがっていないのだ。
退団の入り待ちをするのがこわいのだ。
あれから、何ヶ月経ったんだっけ? もう時間の感覚がない。
花の道、白い衣装の人々、公演最後の入り待ち。
さよならの空気に飲まれるのがこわい。
まだわたし、完全復帰してないんです、だから神様、もう誰も辞めさせないでください。お願いします。
数日前、『エリザベート』を観に行こうとして、やっぱりやめた。
初日に観て、あんなによろこんで、たのしくて、わくわくしていたのに、結局二度と行かなかった。
わたしはやはり、観たくなかったんだろう。行きたくなかったんだろう。
ムラに行くのをやめて、かわりに日記を書いていた。
やめないでさえちゃん。『エリザベート』で辞めないで。そんなことを、つらつら書いていた。
結局、書くだけ書いて、その文章をUPするのはやめた。不適切だと思ったから。
距離を取って、現実との折り合いをつけよう。
急に走ると転ぶから、リハビリは慎重に。
ねえ、ケロちゃん。
わたしはずっと、タカラヅカが好きだから。
結局、『エリザベート』を観たのは、初日と新人公演と、千秋楽だけだ。わたしは『エリザベート』という作品が好きだし、ご贔屓のいた月組が好きだし、ご贔屓の「弟」ゆうひくんが好きだし、さえちゃんが好きだよ。
現在の月組が上演する、この『エリザベート』に、なんの不満があったわけでもない。劇団の思惑だとかやり方だとかへの不満や不信は、「作品」重視のわたしには関係ない。おもしろければ、すべてゆるせる。そして『エリザベート』はおもしろい作品なのだから、なんの問題もない。
さえちゃんの退団公演でさえなければ、もっと気軽に何度も観に行ったと思う。
退団公演だから、観に行けなかったんだ。
そして、『エリザベート』でない、さえちゃんのための退団作品だったら、きっと心ゆくまで通ったと思う。
『エリザベート』で、退団公演だから、ダメだった。わたしには。
きっと悔いが残ると思うよ。
あとになって、なんでもっとちゃんと観ておかなかったんだ、って、悔やむと思う。
でも今は、これが精一杯。
リハビリ中の者に、『エリザ』と退団のコンポはきつい。
『エリザベート』じゃない、さえちゃんのためのサヨナラショーは、心底たのしんだ。アゴだけ登場の水兄貴に心ふるえたしな。
豪華でたのしいサヨナラショーだったよ。
てゆーか、サヨナラショーで笑ったのははじめてだ。
誰のアイディアだ? 「さえちゃんのオスカルとアンドレひとりフィルム上映」なんてのは。笑わせてどーするんだ?? いや、まあ、ファンならうれしいのかな、アレ……。わたしにはコメント不可。
「退団公演」に通うことのできなかったわたしは、ひさしぶりに会えたいろんなさえちゃんにわくわくして、袴姿を見るまでかなしさをどこかへすっとばしていたよ。
ただ、会いたかったんだなぁ。
ちずさんの感動的な挨拶のあとの、さえちゃんのとってもシンプルな挨拶。そして、鳴りやまない拍手。
拍手は、美しい音だと思う。
人間が、自分の身体だけで出す、もっとも原始的な音。
波の音のように聞こえるね。
地球の音のように聞こえるね。
だからこんなに、美しい音なんだろう。
しつこく最後まで拍手していたよ。カーテンコールの手拍子。もっともっと、さえちゃんに会いたくて。
もう上げてはくれないだろう緞帳の横から、さえちゃんがひょこっと出てきてくれたときはうれしかった。
パレードの場所取り競争に参加する気はハナからなかったので、ゆっくりトイレに行って、ミスドで腹ごしらえして、そのうえこの日記を書いていたりして。
そのあとでよっこらしょ、と劇場前へ戻った。遠くからでも、ちらりとでも、見送ることができたら満足だから。花の道のベンチで、また日記を書きながらパレードがはじまるのを待つ。
もずえさんは、いい場所を取れたみたい。今メールがあった。よかった。
今日はものすっげーいい天気で、夕方になってなお、空が青いよ。飛行機雲も見える。
よかったな。
よかったね。
ちずさんを見送り、さえちゃんを見送った。
周囲で「きれい」「かわいい」の声があがるのが小気味いいよね。やっぱりきれいだ。
さえちゃんの乗ったオープンカーが、花の道横の道路を、遠く消えて行くまで見送った。テールランプが黄昏に消えるまで、しつこく見送ったよ。
ガイチはすてきな笑顔で手を振ってくれて。あさこちゃんは横顔だけ。振り向いてくれなかった分、わたしの周りではガイチの株がにょきにょき上がっていたぞ(笑)。「ガイチさん、いい人だねー!」「ずっと手を振ってくれてたよ」花の道を歩いていると、そんな会話が耳につく。疲れてたんだろーなぁ、あさこちゃん。
トップスターのサヨナラパレードは正門。だからわたしは安心して眺めていられた。
楽屋口だと、つらくて逃げ帰っていたかもしれない。……だからまだ、リハビリ中。
チェリさんは今日、息子さんの体調ゆえに楽を観るのあきらめちゃったの。
わたしはチェリさんに会いたかった。
チェリさんと一緒なら、入り待ちもできたかな。
退団者FCの人たちの、白い服を、チェリさんと眺めたかった。
チェリさん、檀ちゃんのMSは万難を排して一緒に行こうね。
帰りに何気なく入った店で、わたしはアタマの中で歌を歌っていることに気がついた。
「夜は危険なジャングル 早く子どもはお帰り
男は腹を空かせて ぎらつく狼」
あれ? なに歌ってんだわたし?
アタマの中にあるのは、帽子をかぶって大暴れしているワタル兄貴。
そして。
長い手を回して、踊っているケロ。
その店のBGMが、あの曲だった。
原曲は知らない。そもそも原曲があるのかどうかすら、知らない。
だけどあの曲。
『ドルチェ・ヴィータ』、夜の花市場、逃げる少女とコーザノストラ。銀橋のワタル兄貴。
あの、青いせつない空間。
BGMはただの有線放送みたいで、すぐに次の音楽に変わってしまった。
だけどわたしは、あの空間にトリップしたままで。
まったく、なんてこったい。わたしはまだ、リハビリ中だってのに。
あの空間から、帰ってこられなくなるよ。それはそれで幸福だけど、かなしいよ。泣けてこまるよ、そんな、なんでもない店の中で。
今日は、退団公演の千秋楽。
退団者とそのファンが、やすらかでありますように。その心が、ゆたかに満たされますように。救われますように。
別れの悲しさとはべつに、この特別な日が、やさしいものになりますように。
でも。
やっぱり、入りに行くのはやめようと思った。
もう一度、猫を抱いて布団に戻った。
さえちゃんの夢を見た。
うん。
よーするにまだ、傷口がふさがっていないのだ。
退団の入り待ちをするのがこわいのだ。
あれから、何ヶ月経ったんだっけ? もう時間の感覚がない。
花の道、白い衣装の人々、公演最後の入り待ち。
さよならの空気に飲まれるのがこわい。
まだわたし、完全復帰してないんです、だから神様、もう誰も辞めさせないでください。お願いします。
数日前、『エリザベート』を観に行こうとして、やっぱりやめた。
初日に観て、あんなによろこんで、たのしくて、わくわくしていたのに、結局二度と行かなかった。
わたしはやはり、観たくなかったんだろう。行きたくなかったんだろう。
ムラに行くのをやめて、かわりに日記を書いていた。
やめないでさえちゃん。『エリザベート』で辞めないで。そんなことを、つらつら書いていた。
結局、書くだけ書いて、その文章をUPするのはやめた。不適切だと思ったから。
距離を取って、現実との折り合いをつけよう。
急に走ると転ぶから、リハビリは慎重に。
ねえ、ケロちゃん。
わたしはずっと、タカラヅカが好きだから。
結局、『エリザベート』を観たのは、初日と新人公演と、千秋楽だけだ。わたしは『エリザベート』という作品が好きだし、ご贔屓のいた月組が好きだし、ご贔屓の「弟」ゆうひくんが好きだし、さえちゃんが好きだよ。
現在の月組が上演する、この『エリザベート』に、なんの不満があったわけでもない。劇団の思惑だとかやり方だとかへの不満や不信は、「作品」重視のわたしには関係ない。おもしろければ、すべてゆるせる。そして『エリザベート』はおもしろい作品なのだから、なんの問題もない。
さえちゃんの退団公演でさえなければ、もっと気軽に何度も観に行ったと思う。
退団公演だから、観に行けなかったんだ。
そして、『エリザベート』でない、さえちゃんのための退団作品だったら、きっと心ゆくまで通ったと思う。
『エリザベート』で、退団公演だから、ダメだった。わたしには。
きっと悔いが残ると思うよ。
あとになって、なんでもっとちゃんと観ておかなかったんだ、って、悔やむと思う。
でも今は、これが精一杯。
リハビリ中の者に、『エリザ』と退団のコンポはきつい。
『エリザベート』じゃない、さえちゃんのためのサヨナラショーは、心底たのしんだ。アゴだけ登場の水兄貴に心ふるえたしな。
豪華でたのしいサヨナラショーだったよ。
てゆーか、サヨナラショーで笑ったのははじめてだ。
誰のアイディアだ? 「さえちゃんのオスカルとアンドレひとりフィルム上映」なんてのは。笑わせてどーするんだ?? いや、まあ、ファンならうれしいのかな、アレ……。わたしにはコメント不可。
「退団公演」に通うことのできなかったわたしは、ひさしぶりに会えたいろんなさえちゃんにわくわくして、袴姿を見るまでかなしさをどこかへすっとばしていたよ。
ただ、会いたかったんだなぁ。
ちずさんの感動的な挨拶のあとの、さえちゃんのとってもシンプルな挨拶。そして、鳴りやまない拍手。
拍手は、美しい音だと思う。
人間が、自分の身体だけで出す、もっとも原始的な音。
波の音のように聞こえるね。
地球の音のように聞こえるね。
だからこんなに、美しい音なんだろう。
しつこく最後まで拍手していたよ。カーテンコールの手拍子。もっともっと、さえちゃんに会いたくて。
もう上げてはくれないだろう緞帳の横から、さえちゃんがひょこっと出てきてくれたときはうれしかった。
パレードの場所取り競争に参加する気はハナからなかったので、ゆっくりトイレに行って、ミスドで腹ごしらえして、そのうえこの日記を書いていたりして。
そのあとでよっこらしょ、と劇場前へ戻った。遠くからでも、ちらりとでも、見送ることができたら満足だから。花の道のベンチで、また日記を書きながらパレードがはじまるのを待つ。
もずえさんは、いい場所を取れたみたい。今メールがあった。よかった。
今日はものすっげーいい天気で、夕方になってなお、空が青いよ。飛行機雲も見える。
よかったな。
よかったね。
ちずさんを見送り、さえちゃんを見送った。
周囲で「きれい」「かわいい」の声があがるのが小気味いいよね。やっぱりきれいだ。
さえちゃんの乗ったオープンカーが、花の道横の道路を、遠く消えて行くまで見送った。テールランプが黄昏に消えるまで、しつこく見送ったよ。
ガイチはすてきな笑顔で手を振ってくれて。あさこちゃんは横顔だけ。振り向いてくれなかった分、わたしの周りではガイチの株がにょきにょき上がっていたぞ(笑)。「ガイチさん、いい人だねー!」「ずっと手を振ってくれてたよ」花の道を歩いていると、そんな会話が耳につく。疲れてたんだろーなぁ、あさこちゃん。
トップスターのサヨナラパレードは正門。だからわたしは安心して眺めていられた。
楽屋口だと、つらくて逃げ帰っていたかもしれない。……だからまだ、リハビリ中。
チェリさんは今日、息子さんの体調ゆえに楽を観るのあきらめちゃったの。
わたしはチェリさんに会いたかった。
チェリさんと一緒なら、入り待ちもできたかな。
退団者FCの人たちの、白い服を、チェリさんと眺めたかった。
チェリさん、檀ちゃんのMSは万難を排して一緒に行こうね。
帰りに何気なく入った店で、わたしはアタマの中で歌を歌っていることに気がついた。
「夜は危険なジャングル 早く子どもはお帰り
男は腹を空かせて ぎらつく狼」
あれ? なに歌ってんだわたし?
アタマの中にあるのは、帽子をかぶって大暴れしているワタル兄貴。
そして。
長い手を回して、踊っているケロ。
その店のBGMが、あの曲だった。
原曲は知らない。そもそも原曲があるのかどうかすら、知らない。
だけどあの曲。
『ドルチェ・ヴィータ』、夜の花市場、逃げる少女とコーザノストラ。銀橋のワタル兄貴。
あの、青いせつない空間。
BGMはただの有線放送みたいで、すぐに次の音楽に変わってしまった。
だけどわたしは、あの空間にトリップしたままで。
まったく、なんてこったい。わたしはまだ、リハビリ中だってのに。
あの空間から、帰ってこられなくなるよ。それはそれで幸福だけど、かなしいよ。泣けてこまるよ、そんな、なんでもない店の中で。
今日は、退団公演の千秋楽。
退団者とそのファンが、やすらかでありますように。その心が、ゆたかに満たされますように。救われますように。
別れの悲しさとはべつに、この特別な日が、やさしいものになりますように。
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