中日『王家に捧ぐ歌』、サウフェ語りのつづき。

 アレ、サウフェじゃない。

 だってちっともヘタレてない。弱くもない。狂気もない。
 ふつーに強そうでかっこいい、きれーな男の子だった。
 文官だなんてとんでもない、もともと兵士なんだわ、きっと。剣の達人だったりするんだわ。
 この子だったらべつに、エジプト兵に※※されてなさそう。だって健康的な少年なんだもの。嗜虐心を刺激しないわ。シマリスくんを前にしたときのアライグマくんの気持ちには、ならないわきっと@古くてすまんな、『ぼのぼの』ネタだ。

 つまんない……あんなにキャラがはっきりしていたエチオピア・トリオは、みんな似たりよったりのキャラになっていた。
 ウバルドは薄くおとなしく王子様らしくなり、カマンテとサウフェは武人設定。3人が3人とも、愛国心と復讐に燃えるかっこよくて強い男たちかよ……。
 しょぼん。

 ウバルド@まとぶんは大変だなあ。自分とキャラのかぶる子をふたり後ろに従えての孤軍奮闘。ラダメスの恋敵、ではなく、脚本通りの戦う王子様なだけに、難しいよなあ。薄く地味なキャラになっているのは、カマンテ・サウフェとキャラがかぶってるせいもあるよなー。
 まとぶんはもともと正統派の白い二枚目さんだとわたしは思っているから、薄かろうがどうしようが、王子らしさと端正さをこのまま大事にしてほしいよ。

 カマンテ@ゆかりちゃんは、キャラ立て以前に、技術がぜんぜん足りてないんじゃないかと思い、愕然としたわ。
 ゆかりちゃんがうまい人なのかどうか、美貌に目がくらんで、まったく判断ついてなかったんだもの(笑)、今までずっと。
 ひょっとして、かなり下手?
 清十郎様のよーに、持ち味にぴったりな役ならいくらでも余裕で演じられるけど、引き出しにない役はダメ?
 表情が数種類しかないらしく、カマンテになっていない。歌もものすごかった……音はずしたまま、どこまで歌うのかとうろたえたわ。途中で強引にぶっちぎったわね(笑)。
 たんに経験不足なんだと思う。磨けばいくらでも光りそう。今は下手でもいいよ。このままキャリアを積んでいい男になってくれ。

 サウフェ@しゅんくんは、なにがやりたかったのか、わたしにはまったくわからなかった。役を理解していない? なんでそこでサウフェが膝をつくのか、わかって膝をついてる? そういう演出だからとりあえず膝をついてますって感じに見えるんだけど。
 こちらもニンでなかったということかな。可憐な外見に反して、けっこー骨太な男なんだねしゅんくん。
 別人キャラを意識して作っている風でもないしな。すぐに膝をつく演出はそのままだし。ひどくアンバランスだ。演出は大劇時代と同じよーにヘタレ系なのに、演技は気の強そうなかっこいい若者、というのが。
 ゆかりちゃんと配役逆でもよかったかなあ。カマンテ@ゆかりは泣きすぎだし、サウフェ@しゅんくんは強すぎた。
 しゅんくんは美しいうえに実力もある、将来がたのしみな男の子。今この役ができないからって、まったく問題はない。何度でも壁にぶつかって、そのたびいい男に脱皮していってくれ。

 てゆーか、ほんとに「再演」なんだなと思ったよ。
 せっかく役替わりしているのに、嘆息しちゃうほど、元公演の演出にこだわっている。
 役者が変わったんだから、その個性に合わせて別キャラにしちゃってもいいだろうに、なにがなんでも元のキャラのまま再演するのね。
 キムシン、自信満々なんだろーなー。元公演が「パーフェクト」だから、「なにひとつ変える必要はない」と思ってるのかしら。
 元公演のコピーが観たいわけじゃないのに。

 進化した姿が、観たいのに。

 カマンテもサウフェも、「中日バージョン」にしちゃえばよかったのよ。

 ゆかりカマンテなら、とびきりクールに。
 それこそ、なにがあっても表情ひとつ変えない氷の男に。
 徹底して無表情なのに、激しいウバルドと同じ行動を取るの。

 しゅんサウフェなら、純粋な少年に。
 若さゆえの潔癖さで怒りに燃える少年。幼い彼が、子どもの正義感でテロへ走るのは、とても痛々しく映るだろう。

 「本役のコピーでお勉強」なんてのは、新人公演でやらせとけ。

 せっかくの「再演」なんだから、さらにおもしろくなったカタチを、「新しい可能性」として見せてくれよ。
 役者が変わるたびにわざわざ別作品創ってみせる、オギーのよーに。

 
 元の役コピーなのは、エチオピア・トリオだけじゃない。
 エジプト・コンビもそう。

 元のキャラまんまコピーしようとして、大失敗しているのが、ケペル@嶺恵斗(笑)。
 キャリアは伊達じゃないな、成功しているのが、メレルカ@みらん。

 元キャラは、陰と陽でいうなら「陽」の持ち味の役者たちが演じていた。
 だが、中日では「陰」のふたりが演じている。

 そこで、文字通り実力による明暗が分かれてしまった。

 みらんくんは、ほんとにうまい人なんだなと再確認した。
 キムシンは本来あて書きの人で、主要スターのキャラに合わせた役をうまく割り振ってくれる。
 メレルカは、元役のれおんくんのキャラに合った役。きらきらした青年将校。人生挫折ナシ、これからもエリートコースまっしぐらな若き武将。

 みらんくんは、れおんくんより「暗い」味を持つ。「重い」ともいうな。
 その「暗さ」と「重さ」を持ったまま、新しい「メレルカ」を作り上げていた。
 つまり、「若く傲慢な、毒のある青年将校」だ。
 エリートコースを歩いてきた若者の、明るさと強さ、傲慢さがしぶく光っている。
 つまり、かっこいい。
 主役的なかっこよさではなく、あくまでも「主役の友人」としてのかっこよさ。
 表情豊かに笑い、憤りもするけれど、そこにはいつも「強さ」がある。
 元キャラの「体育会的明るさ」ではなく、「エリート軍人の明るさ」だ。
 メレルカってのは、こーゆーキャラ立てもアリなのか、と感心した。
 元キャラまんまをやっていながら、自分の持ち味で勝負している。

 その横で気の毒なのが、嶺恵斗。
 えーとね。

 かなしいくらい、幼いですよ、ケペル。

 ママに叱られて泣き出した子どもみたい。
 元キャラのケペルと同じことをやろうとして、失敗してるのね。ケペルって感情が激しすぎて、びーびー泣いてる男だったから(笑)。
 でも、ただ泣かれてもこまるんだよなあ。大人の男なんだから。

 恵斗くんの引き出しに、ない役なんだろー、ケペル。
 黙っているとき、演技していないときには、意味もなく黒い表情をしていたりする。もともとの「陰」の持ち味が作用して。
 でも、「さあっ、今からケペルの演技するぞっ」てなときには、途端顔をくしゃくしゃにして子どものよーな顔をするのだわ。

 つーことで次はケペルの話。

 続く〜〜。


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