きゃー・きゃー・きゃー。

 緑野、回っております。
 くるくる回っております。

 月組公演『エリザベート』初日。

 幕間からすでにわたしゃ、きゃーきゃー騒いでました。
 終演後も黄色い声を張り上げてました。
 仲間内で。
 チェリさんとkineさん相手に。
 きゃー・きゃー・きゃー。

 さえちゃん、素敵っっ!!

 
 たぶんわたしは、1年分のチケット運を使い果たしたと思います。
 何故かこの日、わたしは最前列にいました。
 いつもの下手タケノコ。

 ええ、「闇が広がる」をかじりつきで見られる席@花組『エリザ』で実証済みですわ!

 ほほほ、タケノコとはいえいちばん中寄り、隣の席はすでに1万円のSS席、しかも「1列目」とは名ばかりの2列目、なのにわたしの席は7500円で最前列なのよー、こっちの方がずーっといいもんねー(宙組でSS1列目に坐ってろくに見えなかったことを、まだ根に持っているらしいよ)。

 千秋楽よりなにより、いちばん観たかった、月『エリザ』初日!!
 それを自力で手に入れられる最高峰の席で観られるなんて。
 きゃっほう。

 あ、のちになってさえちゃんの退団発表があったので、千秋楽も絶対行きたい日になりましたけど、最初の段階では、初日が最重要だった、わたし的に。

 絵の中から出てくる少女シシィ@あさこを、誰よりも先に見るというのが、なによりの希望だったのよ(笑)。

 最前列で、どきどきの初日。
 出し物は歌劇団あげてのキワモノ『エリザベート』。
 たのしみでたのしみでしょーがなかったってば。

 
 すばらしかったです。

 
 わたしはときめきっぱなしでした。
 どーしよーってくらい、どきどきした。

 だってだって、トート@さえちゃんが、あまりに美しいんだもの!!

 さえちゃんだから、美しいことは予想していた。つか、期待していた。
 でも期待以上。
 ほんとにきれい……。

 腰まである長い髪、無垢な表情。闇に歪んでいよーと、無垢なのよ。不器用な男の子。

 さらにポイントは、トート様がけっこーでかくてごついことかしらねっ。鼻息。

 銀橋歩かれちゃうと、目と鼻の先なわけですよ。
 そのカラダが、「血肉を持った存在」として、鼻先を歩いていくわけですよ。

 この世のモノとは思えないキレイキレイなだけの中性フェアリーさんだと、ここまでときめかなかった。
 ちゃんと「男の肉体」を持ちながら、あれほどまでに美しく、無垢であること。
 それにときめいたの。
 めろめろ〜〜。

 やっぱさ、こちとら女だからさ、「あのたくましい胸に抱きしめられたい」とかゆーキモチはあるわけよ。恋愛モード、ヲトメモードにはね。
 あまりに華奢でオンナオンナした男には、そーゆーキモチになれないじゃない。

 トートという役は中性でもいい役だとは思うけど、ちゃんと「男のカラダ」があってももちろんいいと思うのよ。
 どこかに「男」を感じさせるからこそ、よりその存在と、彼の恋の禁忌が際立つというか。

 さえちゃんの中性的な魅力と美しさ、それと相反するよーな男っぽいガタイ、が、たまりません。
 ハァハァ。

 ビジュアルがあまりに好みなので、あとは全部吹っ飛びました(笑)。

 歌も台詞も、いつ消えてしまうかとハラハラするよーな、あのかすれ声がいいんですよ(笑)。

 もちろん、歌がうまいなんてカケラも思わないし、時折苦笑しつつ観てたけどさ。
 さえちゃん的にすっげーうまくなってたから、それ以上は言うまい。
 努力と覚悟が見えるから、それでいいの〜〜。

 
 さて。
 もうひとりの主役、エリザベート@あさこさんですが。

 えー、最初の「絵の中から出てくるシーン」。
 わたしゃめーっちゃ素で、
 あれ? 15歳のシシィ役って、子役だっけ?
 と思った。

 あさこ本人だとは、思わなかった。

 えええっ?!
 かっ、かわいいんですけどっ?!
 うろたえ。

 ネタ公演だと思ってたのに。
 劇団の捨て身のギャグだと思ってたのに。

 マジだったんだ……。
 少なくとも、あさこは。
 ネタでもギャグでもなく、あさちゃんは本気で挑んでました。娘役の集大成ともいえる、エリザベート役に。

 スカーレットやって、オカマのゴジラでしかなかった、あのあさこが。

 ここまで、エリザベートを演じてのけるなんて。

 
 ちゃんと女になってました。
 少女時代はかわいいし、フランツに恋したのも、フランツ本人にではなく「夢の王子様が喋ってる〜〜ぽわわん」って感じでひとの話聞いてね〜〜! なところも、チャーミングだった。
 ちゃんと女に見える。……それだけでおどろきなんだから、すごいキャスティングだよ、ほんと。

 そりゃまあ、正直「美しい」かどうかは、わたしにはよくわからなかったけど。
 だって「美しい」「美貌の皇后」というには、ごつすぎて……ゲフンゲフン。
 肩幅旦那より広いし、ウエストはまちがいなく息子(成人後)よりたくましいし。

 「美しい」かどうかはわからなくても、「きれい」で、「かわいい」のはたしかよ。

 だってエリザベートは、いつも抜き身の剣のように、追いつめられた真剣さが輝いているんだもの。
 
 
 わたしが初日を好きなのは、こーゆーことがあるからだ。
 格別の空気。
 張りつめた緊張感。
 舞台の上と客席が一体となる時間。

 観客は、あさこの一挙手一投足を固唾をのんで見守っていたよ。
 あさこもまた、痛々しいまでの悲壮感を漂わせて、それでも活き活きと舞台の上にいたよ。

 
 できるわけない。
 ありえない。

 とてつもないハードルを目の前に積まれて、それでも壁に爪立てて歯を食いしばって、乗り越える。

 すげえ。
 人間って、こんなことができてしまうもんなの?

 だって、あれだけのハードルだよ? ふつー無理だって、絶対!!

 不可能を、自分の力で可能にする、その精神力。

 肉体の鍛錬も、精神力あってこそ。
 作品の重み、役割の重み、あらゆるプレッシャー、それらを全部受け止め、背負い、ここにいる。
 逃げ出さずに、戦っている。

 その姿に。

 感動した。

 技術じゃない。主役ふたりは歌も決してうまくないし(「私だけに」のクライマックス、あさこシシィに変なトコで息継ぎされて椅子から落ちそーになった・笑)、舞台として『エリザベート』という作品としてどうなのかは、初日のあの空気ではまったくわからない。
 ただ、そんなもん棚上げしていい空間だった。

 高校球児に拍手を送る観客のよーなもんさ。
 よくやった! たった1回限りの試合。負けたらソコで終わりのトーナメント、あとのない崖っぷち、よくぞ戦い抜いた!!

 見守る者と戦う者の、あの空気、あの空間。
 それゆえにトートにときめき、シシィにエールを送ったよ。


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