すべてが「猫語」になる。
2005年1月30日 猫 チェリさんに「ミャウリンガル」を借りた。
弟とふたりで、わくわくスイッチを入れる。
最初に猫の個別データを入力するようだ。「えーと、種類はアメショー、性別はオス、と」弟がひとりでちゃっちゃと入力していく。
「……性格?」
なんでも、入力事項に「性格」というのがあるのだわ。
「あまえんぼう、ピュア、しっかり者、クール、やんちゃ、お調子者」
選択肢を弟が読み上げる。
「どれもチガウ」
「性格。性格ねえ。猫の性格なんて、一度も考えたことないよ」
「あえて言うならどれ?」
「あえて……ですらナイだろ、ここには」
「えーと、んじゃうちの猫のことをひとことで表現したら?」
「バカ」
見事に、声がそろったよ。
見れば当の猫は、機嫌よさげに部屋のドアの前で正座してこちらを見ている。お前だ、お前の話をしているんだ。
「バカって選択肢がなんでないんだ?」
「ピュアとかクールとか、なんか夢見てない? この選択肢」
「猫に対してドリーム入ってるだろコレは」
意義を唱えたところで、選択肢から選ばなければ次へ進めない。
「消去法でいくか。しっかり者はチガウし、ピュアもちがう。やんちゃでもないし。お調子者ってなんだそりゃ、猫でそれはあり得ないだろ……残ったのは、クールとあまえんぼうだな」
「ソレ、正反対やん」
消去法でしぶしぶ選んで、両極端の選択肢が残るなんて……なんて使えない性格分類だ。
仕方ないので「あまえんぼう」にしてみる。まだこっちの方が「バカ」に近いと思うし。
設定完了、さあ猫よ、鳴いてごらん。
もちろん、鳴かない。
鳴けと言って素直に鳴いたら、ソレはすでに「猫」じゃない。
弟が必死に「ミャウリンガル」を猫の鼻先に突きつけるのだが、猫は後ずさるばかり。
ついに猫は逃げ出した。階段を駆け下り、1階から顔だけ出してこちらをうかがっている。
なにかもの言いたげに、鳴いてみせる。被害者ぶった鳴き声だ。
「おっ、『ほんやく中』になったぞ」
弟が液晶画面の文字を読み上げる。
「“うれしいニャ。だいすき”」
おおっ、翻訳したのか!
「マイクの感度、相当いいみたいだな。階段の下のあの声を拾うなんて」
「すごいね、さすが猫専用機械なだけある」
と言っていたら。
「あれ、また『ほんやく中』だ」
はい?
猫、鳴いてないよ?
「“ボクはせかいでいちばん幸せだニャー”」
………………。
「ぼくたちの声を、翻訳したようだな」
「さすが猫専用機械」
つ、使えねえ、ミャウリンガル!!
マイクカンド、ソウトウイイミタイダナ。
スゴイネ、サスガネコセンヨウキカイ。
という音を、「猫語」として認識し、翻訳すると「ボクはせかいでいちばん幸せだニャー」になるわけだ。
それでもめげずに猫を追いかけて、鳴き声を拾おうとしたんだけど。
弟が突き出すと逃げる「ミャウリンガル」だが、わたしが突き出すとなにを思うのか、猫は頬ずりをはじめる。
すりすりすり……いやあの、鳴いてほしいんであって、なついてほしいわけでは……。
「あっ、『ほんやく中』」
「“ニャンコみょうりにつきるニャン”」
そうか、「ミャウリンガル」のマイクに向かって頬ずりする音は、「ニャンコみょうりにつきるニャン」という意味なのか。
使えねえよ、ミャウリンガル!!
発売当初以外、人の口に上らないわけだわ……ここまでバカだと。
猫が実際に鳴き、翻訳されたとしても。
それがほんとうに猫の声を翻訳したのか、わからない。
外の車の音かもしれないし、テレビの音かもしれない。部屋の中を歩く音かもしれないし、マグカップをテーブルに置いた音かもしれない。
猫自身のたてた音かもしれない。
「ミャウリンガル」は、この世のすべての音を、「猫語」として認識し、日本語に翻訳し続ける。
すげえや……この世のすべての音を翻訳。
グローバルでファンタスティックだわ。
てゆーか、使えなさすぎ。
ありがとうチェリさん。
「ミャウリンガル」堪能しました。
弟とふたりで、わくわくスイッチを入れる。
最初に猫の個別データを入力するようだ。「えーと、種類はアメショー、性別はオス、と」弟がひとりでちゃっちゃと入力していく。
「……性格?」
なんでも、入力事項に「性格」というのがあるのだわ。
「あまえんぼう、ピュア、しっかり者、クール、やんちゃ、お調子者」
選択肢を弟が読み上げる。
「どれもチガウ」
「性格。性格ねえ。猫の性格なんて、一度も考えたことないよ」
「あえて言うならどれ?」
「あえて……ですらナイだろ、ここには」
「えーと、んじゃうちの猫のことをひとことで表現したら?」
「バカ」
見事に、声がそろったよ。
見れば当の猫は、機嫌よさげに部屋のドアの前で正座してこちらを見ている。お前だ、お前の話をしているんだ。
「バカって選択肢がなんでないんだ?」
「ピュアとかクールとか、なんか夢見てない? この選択肢」
「猫に対してドリーム入ってるだろコレは」
意義を唱えたところで、選択肢から選ばなければ次へ進めない。
「消去法でいくか。しっかり者はチガウし、ピュアもちがう。やんちゃでもないし。お調子者ってなんだそりゃ、猫でそれはあり得ないだろ……残ったのは、クールとあまえんぼうだな」
「ソレ、正反対やん」
消去法でしぶしぶ選んで、両極端の選択肢が残るなんて……なんて使えない性格分類だ。
仕方ないので「あまえんぼう」にしてみる。まだこっちの方が「バカ」に近いと思うし。
設定完了、さあ猫よ、鳴いてごらん。
もちろん、鳴かない。
鳴けと言って素直に鳴いたら、ソレはすでに「猫」じゃない。
弟が必死に「ミャウリンガル」を猫の鼻先に突きつけるのだが、猫は後ずさるばかり。
ついに猫は逃げ出した。階段を駆け下り、1階から顔だけ出してこちらをうかがっている。
なにかもの言いたげに、鳴いてみせる。被害者ぶった鳴き声だ。
「おっ、『ほんやく中』になったぞ」
弟が液晶画面の文字を読み上げる。
「“うれしいニャ。だいすき”」
おおっ、翻訳したのか!
「マイクの感度、相当いいみたいだな。階段の下のあの声を拾うなんて」
「すごいね、さすが猫専用機械なだけある」
と言っていたら。
「あれ、また『ほんやく中』だ」
はい?
猫、鳴いてないよ?
「“ボクはせかいでいちばん幸せだニャー”」
………………。
「ぼくたちの声を、翻訳したようだな」
「さすが猫専用機械」
つ、使えねえ、ミャウリンガル!!
マイクカンド、ソウトウイイミタイダナ。
スゴイネ、サスガネコセンヨウキカイ。
という音を、「猫語」として認識し、翻訳すると「ボクはせかいでいちばん幸せだニャー」になるわけだ。
それでもめげずに猫を追いかけて、鳴き声を拾おうとしたんだけど。
弟が突き出すと逃げる「ミャウリンガル」だが、わたしが突き出すとなにを思うのか、猫は頬ずりをはじめる。
すりすりすり……いやあの、鳴いてほしいんであって、なついてほしいわけでは……。
「あっ、『ほんやく中』」
「“ニャンコみょうりにつきるニャン”」
そうか、「ミャウリンガル」のマイクに向かって頬ずりする音は、「ニャンコみょうりにつきるニャン」という意味なのか。
使えねえよ、ミャウリンガル!!
発売当初以外、人の口に上らないわけだわ……ここまでバカだと。
猫が実際に鳴き、翻訳されたとしても。
それがほんとうに猫の声を翻訳したのか、わからない。
外の車の音かもしれないし、テレビの音かもしれない。部屋の中を歩く音かもしれないし、マグカップをテーブルに置いた音かもしれない。
猫自身のたてた音かもしれない。
「ミャウリンガル」は、この世のすべての音を、「猫語」として認識し、日本語に翻訳し続ける。
すげえや……この世のすべての音を翻訳。
グローバルでファンタスティックだわ。
てゆーか、使えなさすぎ。
ありがとうチェリさん。
「ミャウリンガル」堪能しました。
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