忘れ物注意。

2004年12月17日 家族
 月日は百代の過客にして、行かふ年も又旅人也。

 漂泊の思ひやまず……ってわけじゃないが、車中2泊が基本のうえ「HOTEL DOLLY」でありがたく宿泊。東宝の幕が開いてから週の半分が旅の空って感じになっているもんで、とにかくあわただしい。
 『ドラクエ』やってる時間なんかぜんぜんないし、家族の顔を見る機会も減っている。

 旅立つときはいつもなにかしら忘れ物をしているもんなんだが、今回の忘れ物は大変だった。

 ひとつ。
 弟に、『ドラクエ』返すの忘れた!!

 わたしと弟は、1枚のソフトをふたりで交代でプレイしている。
 昼間と夜中がわたし、夜帰宅してから就寝までと、休日が弟。弟は毎晩寝る前にわたしの部屋へソフトを持ってくるし、わたしは弟の帰宅時間にあわせて、彼の家にソフトを運ぶ。
 ソフトの持ち主は弟だから、あくまでも彼の都合に合わせ空いている時間だけがわたしのプレイタイム。

 なのに、親の家にソフト運ぶの忘れたっ。

 わたしは車中2泊+ドリーさんち2泊の4泊コースで旅立ったんだ。4晩もの間、ソフトを返さないわけにはいかない。

 仕方なく、車中からメールを打った。

「ごめん、『ドラクエ』返すの忘れた。わたしのパソコンの椅子の右側の、ソフトがいろいろ積み上げてあるところに置いてある」

 留守中に、弟に部屋に入られるのは、すごく嫌なんだけど、自業自得だ、仕方ない。いやその、見られるとまずいものがソコかしこにだな……ゲフンゲフン。

 そしてまた、弟は真面目というか融通の利かないヤツなんで、わたしが「部屋に入っていいよ」と言わない限り、そこに自分のゲームソフトがあることがわかっていても、勝手に部屋に入ったりしないんだよな。それを知っているだけに、こちらから先に言わなくちゃならない。

 そして弟は、気の利かないヤツなので、わたしからのメールに対して「肯」の意味での返事は書きやがらんのだ。
 返事がないということが、「OK、問題なし」の意味。

 えーと、無事にソフトを持ち帰ったんだな?
 わたしが指定した場所に、あったんだよな? わたしのカンチガイでそこになくて、あちこち探し回ったとかゆーことは、ないよな?
 部屋のあちこちにちらばっている、あーんなものやこーんなものは、見てないな? 触ってないな??

 
 そして、忘れ物のふたつめ。
 母のパソコン、ログアウトしてくるの忘れた!!

 ドリーさんちの地図をプリントアウトするために、母のパソコンを使ったんだ。わたしはプリンタを持っていないので、印刷したいときは親の家に行くことにしている。

 母のパソコンで、自分のIDでYahooにログインし、ブリーフケースに入れてあった地図をプリントアウトして……たしかそのまま、終了させてしまったよーな?

 そもそも、今緑野家のプリンタは年賀状印刷でフル稼働中、新聞に載っていた一般人の平均年賀状枚数は60数枚だったのに、何故か母は個人で300枚以上(400だっけか? 500だった? わからん)出すという変な人だし、父も数百枚は出す人なので、待ち時間が相当あった。
 ねえ、いったいいつプリンタ空くのよ? こっちは1枚だけなんだから、先に印刷させてよ〜〜。
 たかが宛名印刷(もちろん黒一色)に、「超高画質フルカラー写真印刷用」をクリックしてしまったというから、さあ大変。印刷が、遅いのなんのって。
「数時間前からずーっと印刷してるんだけど、まだ終わらないのよ」
 って、なにのほほんと言ってますか。宛名印刷なんて、「簡単スピード印刷」でいいでしょう? 超高画質でも簡単印刷でも、見た目はそれほど変わらないってば。

 中断させずに最後まで待ったのは、下手に手を出すと、中断後の作業を全部わたしがやらされることになるのがわかっていたからだ。
「年賀状に使う写真を、デジカメからパソコンに移してほしいの」
 と頼まれただけだったのに、気がついたらママの年賀状を作らされていたくらいだからな。「ここに字を入れて。そんな色は嫌。もっと大きくして」……etc. 自分でやれよーっ、わたしはママ専属の技術屋じゃないぞーっ。

 さんざん待たされたのちに、大あわてで印刷して、大あわてで旅立ったんだ。

 ……ログアウト、忘れた……。

 翌日、パソコンを立ち上げた母の悲鳴が聞こえるよーだ。
「アタシはなにもしてないのに! アタシの知らない画面が出る!!」

 弟なら、メール1本で片が付く。
 しかし、母は。

 つーことで、東宝劇場から電話をしました。
 電話で、ママをリモートコントロール。電波状況悪いから、さらに大変さ。

「ねえパソコン、変じゃなかった?」
『なに? 聞こえない』
「パ・ソ・コ・ン。変になってなかった?」
『なに言ってんの? 聞こえないんだけど』

 ぶちっ。
 ツーツーツー。
 リダイアル。

「ねえ、パソコン。もう使った?」
『聞こえないってば』

 ぶちっ。
 ツーツーツー。
 リダイアル。

 を、何度かやったね。
 携帯耳にあてながら、劇場内を移動。アンテナ3本立ってても、会話に至らないんだもん、あの建物。

 よーやくまともに会話ができるようになっても。

「ねえパソコン、変じゃなかった?」
『そうよ、変なのよ!! インターネットしようと思ったら、変な画面が出るの! **が**で**で……』
「あの、それ、わたしがログアウト忘れたせいだから」
『**が**で**なの。アタシはなにもしてないのに!』
「だから、それはわたしが昨日いじったせいで……」
『**が**で**になってて、アタシは**をしたくて』
「だーかーらー、それを直すためにはねー」
『**したいのに、**なのよ!!』

 聞けよ、ひとの話。

 母は建設的な会話ができない人だ。
 トラブルが起こったとき、「どうすれば解決できるか」を考えない。
 そのトラブルによって自分がどう感じたか、どう迷惑をこうむるかを、その日起床したときの気分から現在に至るまで全部解説しなければ気が済まない。

 母の今朝の気分や、なにを思ってパソコンを立ち上げ、今日はどのサイトを回るつもりなのかは、説明してくれなくていいんだってば。書く予定のメールや、メル友との現在の話題や、次の休日の遊びに行く予定まで、教えてくれなくていいんだってば。

 それより、問題を解決させてよ。

「……で、次に、ママのIDを四角の上の段に入れる」
『待ってよ、今名刺探すから』
「名刺? そんなもんはいいから、IDを入れて」
『名刺がないとわからないわ』
「(母の言葉は無視)カーソルを上の四角に合わせて? で、アルファベットで、まず“s”。左の方にあるから」
『s?』
「s入れた? んじゃ次、“u”。真ん中あたりにあるから」
『名刺なくてもわかるの?』
「名刺にIDは載ってない。次、“i”、これも真ん中」
『名刺に載ってないの?』
「名刺に載ってるのはメルアド。IDもパスワードも載せるわけない」
『それ、どうチガウの?』
「いいから次、“t”、これも真ん中」

 ママの遠隔操作は大変っす。
 自業自得だけどさ。

『出たわ、アタシの画面!! あっ、メールが届いてる、**さんからだわ』

 いやもう、説明してくれなくていいから! これで問題ないなら電話切るよ?

『まあ、誠意は認めてあげるわ』

 ………………ありがとうございます。

 
 めちゃくちゃ大きな忘れ物だった……。くたくた。

     

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