わたしにこの芝居を見せろっっ!!(鼻息)
 

 さえちゃん主役で、なにが見たいですか?
 オギー演出のセンシティヴ・ストーリーが見たいです。はかなくも美しいものが見たいです。
 ああ、だけど。

 そうよ、そうなのよ。
 さえちゃんは、ソレだけじゃないのよ。

 さえちゃん主役で、江戸川乱歩『黒蜥蜴』!! しかも黒蜥蜴は美青年でよろしく!

 彩輝直バウ・パフォーマンス『熱帯夜話』初日に行って来ました。
 退団発表ゆえチケットが手に入らないにちがいないとヘコんだわたしでしたが、現実って不思議、バウホール下には「当日券発売中」の文字が。あ、ありえねえよ、そんな……。
 ファンはいくらでも何回でも観ることができるってことだけど、それってうれしいやらかなしいやら……。

 しかもどういうことなの、「プログラム発売延期」。入り口で、キャスト表のコピーを配ってました。これがほんとに、ただのコピー。なんの工夫もない、ただの白黒コピー。事務所のコピー機であわてて刷りました、てなびんぼーくささ。
 プログラム売場では、他に売るものがないので、「彩輝直のクリアファイルいかがですか?」と、おねーちゃんたちが呼び込みをやっていた。

 なんかいろんな意味で、ものがなしい幕開き。

 でもそんなこと、どーでもいいんだ。

 たのしかったからっ!!

 2幕の最初に「劇中劇(ショー)」があるんだけどねっ、これがもー、もろツボ!!

 「美賊・黒薔薇」よ?!

 舞台は大正期くらいの館の舞踏会。
 伯爵夫人だの男爵夫人だのが、ドレス姿で踊っているのよ。カーキ色の軍服を着た帝国軍人もいるわ。振り袖姿の令嬢と、その恋人らしいスーツ姿の青年。
 館の主は、妖艶な和服の美女。
 まさに江戸川乱歩の世界。「黒蜥蜴」の世界。

 美賊・黒薔薇のターゲットは、舞踏会に招待されていた美しい令嬢。

 館の主・黒瀧夫人とは仮の姿。彼女……いや、「彼」こそが、黒薔薇なのだ。

 美しい青年の姿となり、黒薔薇は令嬢を弄ぶ。
 黒薔薇を追う探偵、令嬢を追う恋人の青年。

 令嬢を「コレクション」の一部に加えた黒薔薇は、次に彼女の恋人の青年までを毒牙にかける。妖しいまでの美青年・黒薔薇に翻弄され、恋人青年もまた、彼の「コレクション」に……。

 そして探偵と黒薔薇の戦い。黒薔薇を捕らえるはずの探偵もまた、彼の手のひらの上で踊るのだった……。

 という。

 あるときは妖艶な美女、あるときは美貌の青年……美賊・黒薔薇が、さえちゃん。
 和服姿がたまりません。洋館に和服の女主よ? 螺鈿のよーな暗いきやびやかさ。
 美青年のときはもちろん洋服だしねっ。

 これだけでもたまらないのに。

 いちばんツボを直撃した配役は。

 探偵@越リュウ!!

 ホームズを彷彿とさせるフロッグコートで登場、端正なスーツ姿。
 冷静に館に立ちながらも、次第にかき乱されていく様がもう。

 「探偵と怪盗」ってのは、永遠の萌えシチュエーションよね?!

 究極の愛憎、エロスよね?!

 探偵@越リュウ×美賊@さえちゃんっすよ?!
 大正ロマンっすよ?!

 萌え〜萌え〜萌え〜。

 くるくる回っちゃうわ。
 これぞ耽美ってもんですわ。

 この話を、1本の芝居として見せろっっ!!
 ショーの一場面じゃなくて、バウでいいから、ふつーに芝居として公演として独り立ちさせて。お願い神様。
 観たいよ。観たいよ、この芝居。

 ストーリーはありがちワンパタでいいから。
 ただ美しく妖しく、耽美をきわめてくれればいいの。
 漆に金箔、とかの暗い日本の美しさを見せてくれればそれでいいの。

 悪のさえちゃんと、悪を追うはずがいつの間にか惹かれているリュウ様が見たいの〜〜っ、じたばた。

 他のキャスティングもそのままでいいから。
 黒薔薇に籠絡される青年がほっくんなのは、正直どうよ、と思うけど、それすらそのままでいいぞ。
 ほっくんに耽美は似合わないけど、彼の健康さが「僕ノンケです」と言いたげな真っ当な青年らしさに合っていたとは思うから。

 
 思いがけず、堪能しました、『熱帯夜話』。
 なにをやるのか、どーゆーコンセプトの催しなのかもわからないまま観に行ったんですが。
 素直に、おもしろかった。

 切っても切っても彩輝直、さえちゃんを好きなら至福のとき。
 他のみなさんもみんなそれぞれ見せ場があり、オイシイぞ。

 出演者のファンなら、見て損はないっしょ。
 チケットまだあるみたいだから、行くがよろし。

 とくに、さおたさん、ほっくん、越リュウはオイシイぞ〜〜。
 ヒロインのあーちゃん見るのもひさしぶりだしな。
 新公シシィ役の夢咲ねねちゃんをチェックしたい人も、見るがヨシ。

 あと個人的に愉快だったのが、愛を語る越リュウが見られたこと。

 越リュウってほら、キャラ的に、恋人がいてラヴラヴで、マジに告白して、って役をやらない人じゃん? 脇役者だから、と言ってしまえばそれまでだが。

 しかし今回、劇団員リュウ@越リュウには、恋人がいるんですよ。男一匹、本気で惚れたたったひとりの女なわけですよ。
 その彼女に向かって、愛を語るのよ。

 女の子と向かい合っていちゃつくんじゃなくて、その場にいない恋人に向けて独白するわけだから、客席に向かって、愛を語るのよ。

 リュータロー様の熱っぽい視線が、愛の言葉が、わたしに向かっている?! てなカンチガイをさせてもらえますよ?!(笑)

 愛に濡れる越リュウ……ハァハァ。

 
 濃くていいステージでした。
 他の語りはまたのちほど。

     

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