忘れられないタイトルとゆーものがある。
 なにがどうじゃなく、心に残る。

 マリア・グリーペの『鳴りひびく鐘の時代に』がそうだ。

 20年ほど前に発行された本で、たしか当時、図書館の「しんちゃくとしょあんない」で見た。掲示板に、表紙カバーが貼ってあったと思う。うちの最寄り図書館は、カバーをこうやって切り刻むことがよくあった。

 マリア・グリーペが好きだったことと、印象的なタイトル、そして表紙の少年の顔に惹かれて、予約カードを出したなー。

 ものすっげーおもしろかった、というほどの記憶はない。
 主人公の少年王のまなざしの先にあるモノに思いを馳せた。タイトルと表紙の意味を噛みしめた。……それぐらい。

 押入を探せば、15のときから書きつづっていた読書感想ノートがあるはずだが、そこまでする気力はない(笑)。感想ノートは30冊を越えているので、そこから該当記述を探すのも気が遠くなるしな。
 20年前のわたしは、そりゃーもー、ものすごい勢いで、いろーんな本を読みあさってたからなあ。遠い目。
 図書館の職員が嫌いだった(高慢で威圧的な人たちが多かった)ため、図書館は嫌いだったが、それでも本が読みたくてよく通っていたわ。

 マリア・グリーペは好きだったけど、『鳴りひびく鐘の時代に』はそれほど好きなワケじゃない。
 なのにこのタイトルだけが、記憶から消えない。

 
 『ドルチェ・ヴィータ!』を観ているときに、何度もこのタイトルが頭に浮かんだ。

 「サテリコン」で。
 出会ってしまった男とドルチェ・ヴィータ。
 運命を告げる鐘の音を聞きながら。

 枷のなかで。
 檻のなかで。
 囚われたままで。
 足首にからみついているものはなに、腕を押さえているものはなに。自由なんてない。心さえ真の意味での翼なんか持たない。
 現在。現代。今。この瞬間。そしてわたし。
 この、鳴りひびく鐘の時代に。

 …………てなところまで打って、そこで日記は放置、ぼーっと関係ないサイトを眺めていたら。

「最近なオレな、ゴルフにも凝ってんねやんか」

 あー、窓の外で近所のおばちゃんがなんか言うてる……日曜の昼間やもんなあ。

「またよう跳ぶねんオレ」

 おばちゃんやなくて、おっちゃんかな……でもなんか、英真組長の声に似てるなぁ……。

「ただなあ、グリーンに乗ってから、パットが苦手やねんなあ」

 ってコレ、組長の声やんっ?!
 窓の外から聞こえてんのとちゃうやん!

 パソコンのスピーカから聞こえとるがなっ。

 組長と女の子たちのお喋りは、わずかの間で終わり、スピーカは沈黙した。

 実況CD買って、パソコンに取り込んだのはたしかだ。
 でも別に今、流してなかったのに?
 なにも触ってなかったのに?

 なんで勝手に再生されたの?
 なんで勝手に停止したの?

 てゆーか。

 よりによって組長のオヤジギャグだけ再生して止まったのは、どーゆーことですかっ。

 うううう運命?
 これもなんかの運命ですか、英真組長ぉっ。

 あー、びっくりした。
 なにをしてくれるんだ、Myパソコン。

 …………なんの話をしてたんだっけな?
 鳴りひびく鐘の時代に?

 もういいや(笑)。

          ☆

 ちはる兄貴のことをぼーっと考えてみる。
 かなしくなるので、こんなときにいっそ、Myパソが気を利かせてオヤジギャグを再生してくれればいいのに、とか思う。

 ケロちゃんのことをぼーっと考えてみる。

 みんなみんな、よい日だといいね。
 今日がおだやかに幸福に過ぎるといいね。

 外は明るい。
 おだやかなお天気。

           ☆

 最後に私信。
 もずえさんの愛に歓喜の舞。大阪から投げキッスですわん。

       

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