正しい敵役は、主役をも光らせる。@新人公演『花舞う長安』
2004年10月20日 タカラヅカ 台風のおかげで予定がつぶれて、しょぼんな緑野です……。この盛大な雨・風の中、張り切って買い物に出かけたのに……。
ヒマになってしまったので、新公の感想の続きでも書きましょう!
新人公演『花舞う長安』。
役的に本役とずいぶんちがったのが、楊貴妃@うめちゃんと安禄山@みらんくんでした。
楊貴妃はね……仕方ないっちゅーかね……。
もともとこの作品は、檀ちゃんの存在におんぶに抱っこ、まずはじめに檀れいありき、で他はなにもないくらい、檀ちゃんあて書きだったので、檀ちゃん以外が演じるのはハンデありまくり。
うめちゃんは健闘してました。
最初の出会いのとこなんて、「気、強っ!」とびっくりした。ちっともしなしなしてない。等身大のふつーの女の子、って感じ。
伝説の美女、傾国の美女にはまったく見えなかったが……どんなに地位が上がり、皇帝の寵愛を受けても「場違い」な感じが見えている、そーゆー女の子でした。
玄宗の愛を欲しがるのも、なにしろ「場違いな立場にいる庶民の女の子」だから、彼の愛がなくなったら最後だもんな、という悲壮感がありましたわ。
そして、役の色がまったくちがったために作品のカラーまで変えてしまったのが、安禄山@みらんくん。
ははははは。
個人的に、すごいウケました。
つーかさ、本役の安禄山@トウコ、エロ過ぎ!!
トウコがエロくやりすぎてるから、作品のカラーが変化しているのね。
たぶん、みらんくんの安禄山の方が、作品的には正しいと思うの。
みらくんの安禄山は、正しく敵役でした。
有能で豪傑で、野心家。
ある意味素直で、まっすぐな男。
少年マンガのライバルキャラみたい。
トウコがひねくれまくっていて、いつもなにかたくらんでいて、台詞ひとつ言うんでも「うわ、腹の中ではチガウこと考えてやがるな」ってのがあるのに、みらんくんはストレートに「台詞通りのことを考えているんだな」とわかる。
皇甫惟明@しゅんくんとやりあうとことか、ほんとにストレート。
楊貴妃を襲うところだって、ちゃんと楊貴妃本人を欲しがっていることがわかった。楊貴妃に罵倒されて激怒したりな。
ああ、正しい敵役だわ……。
必要以上にねちこくないし、ずるがしこくもない。玄宗との距離感がふつうに「皇帝と武将」になっている。
「武」の男だから、豪快に感情を表現し、また、戦う。勝利を確信した銀橋で哄笑する。
かっこいい……。
安禄山が豪傑なので、それに対する玄宗もまた、男ぶりがあがっている。
本公演の「うわ、安禄山に丸め込まれてるよ、手のひらの上で転がされてるよ。情けねー男だなー」という皇帝ではなく、ふつーに「皇帝陛下」だった。
安禄山がねちねちとなにかたくらんでいる感を出さないと、ストレートに豪快に接していると、玄宗もさっぱりした男に見えるのね。
楊貴妃@うめちゃんが「ふつーの女の子@うっかり美人に生まれちゃって大変!」なのと、安禄山@みらんくんが「俺は英雄@世界を正しくするぜ!」なので、彼らにはさまれた玄宗@れおんくんは、本役のワタルくんとなにも変わらない役作りとキャラ感だったにもかかわらず、本役より男前に見えました(笑)。
本役はなー、あきらかにダメダメ男だからなー(そこが愉快なんだが・笑)。
安禄山がチガウだけで、玄宗がちがって見え、それゆえ作品のカラーが変わって見えた。
かっこいい立ち回りも含め、エンタメ感が増していた。
この玄宗と安禄山なら、ちがった意味で萌えられそうだわ。だってこの安禄山、受だし(笑)。楊貴妃を襲うところも力任せでちっともエロくないし。
萌えといえば、楊国忠@ゆかりちゃん。
美しすぎ。
やばいです、この子(笑)。
最初からもちろんきれいなんだけど、立ち回りのときの総髪姿。
出てくるなり、舞台の色が変わった。
アンタが美しくても意味はないだろう? なんでそう、無駄に美しいの?(笑)
楊国忠としての演技がどうだったとか、どんなキャラだったとかは、ごめん、さっぱりわかりません。ただただ、いつもとにかく、美しかった。
美貌だけで世界征服できそうだ……。楊貴妃より美しくてどうするんだ、楊国忠。傾国の美女はアンタなんじゃないの?
楊国忠の無駄な美貌と色気に、大ウケしました。おもしろい。おもしろいぞ、新公!
皇甫惟明@しゅんくんは、意外にも「武将」でした。本役のまとぶんが「貴族」って感じなのに、けっこー気の荒そうな押しの強い男だった。
安禄山もストレートな男だし、おいおいお前らふたり、皇帝の前で本気で怒鳴り合うなよ、って感じ。
だからこそ、楊貴妃を相手にしたときの「優男喋り」と違和感あったけどな(笑)。
堂々とした、たのしみな若者。
そして、いちばん感心したのが、梅妃@みなみちゃん。
匂い立つ気品。
うわ、姫だ。
貴族の姫君なんだわ、この人。
一流の家系に生まれ、一流の教育を受けてここにいる本物の姫君なんだわ。
とゆーのが、すげーわかった。
高慢な物言いも納得。だって本物のお姫様だもん。ぽっと出のなりあがり娘なんか、見下して当然でしょうよ。また楊貴妃@うめちゃんが、すげー庶民くさかったもんで余計に対比がくっきりしていた。
「楊貴妃のライバル」としての梅妃像にも感心していたというのに。
すごかったのは、そこに「玄宗への愛」が見えたこと。
梅妃って、玄宗のこと愛してたんだ!!
知らなかった!
皇帝だから寵愛を求めていたわけじゃないんだ。権力が欲しいだけじゃなかったんだ。愛していたから、一生懸命だったんだ。
「どうして陛下はあんな女を……」
の台詞で、「恋する女」としての彼女の姿が鮮明に浮かび上がった。
うわ、梅妃可哀想。こんなに愛しているのに、もともとは彼女のもとにあった男の心が、よそへ行ってしまったなんて……。
楊貴妃より、梅妃の方がいい女に見えてしまった……。
若い娘と不倫する夫と、それに堪える妻、のドラマを見て、妻に感情移入するハートで。
なんにせよ、うまいなあ、みなみちゃん。
美形で姫役者で歌がうまくて(聴きたかったのに)演技力もあるのに、何故未だにこの子の主演作が1本もないんだろう。謎だ。
せっかく素敵な梅妃だったのに、さいとーくん演出では、余計なひとことが付け加えられていた(笑)。
安禄山と梅妃が通じていた、ということにしたいのだろうが、それについてのエピソード追加はまったくナシ。ヲイヲイ。演出家の脳内でだけ完結させてんぢゃねーよ。
梅妃のシーンから安禄山の乱まで、舞台上ではどれくらいの月日が流れてんだ? その間に李林甫が死んだり楊国忠が宰相になったり皇甫惟明が死んだりしているわけでしょ? そんなに月日が経っているのに、安禄山がずいぶん前に梅妃にたきつけられたから、って楊貴妃襲いに来るの、変じゃん。
月日なんて経ってません、梅妃が「安禄山……」とつぶやいた数日後の話です、というなら、間にある「楊国忠、宰相就任おめでとー」とか、時の流れを表すシーンを削れよー。もしくは「もうとっくに宰相だったのよね」って月日の調節をしろよ。
さいとーくんってほんと、物語を構成できないんやな……。思いつきだけでやってるとしか思えん。
それでもエンタメ力があるから、いいけどさ。
ヒマになってしまったので、新公の感想の続きでも書きましょう!
新人公演『花舞う長安』。
役的に本役とずいぶんちがったのが、楊貴妃@うめちゃんと安禄山@みらんくんでした。
楊貴妃はね……仕方ないっちゅーかね……。
もともとこの作品は、檀ちゃんの存在におんぶに抱っこ、まずはじめに檀れいありき、で他はなにもないくらい、檀ちゃんあて書きだったので、檀ちゃん以外が演じるのはハンデありまくり。
うめちゃんは健闘してました。
最初の出会いのとこなんて、「気、強っ!」とびっくりした。ちっともしなしなしてない。等身大のふつーの女の子、って感じ。
伝説の美女、傾国の美女にはまったく見えなかったが……どんなに地位が上がり、皇帝の寵愛を受けても「場違い」な感じが見えている、そーゆー女の子でした。
玄宗の愛を欲しがるのも、なにしろ「場違いな立場にいる庶民の女の子」だから、彼の愛がなくなったら最後だもんな、という悲壮感がありましたわ。
そして、役の色がまったくちがったために作品のカラーまで変えてしまったのが、安禄山@みらんくん。
ははははは。
個人的に、すごいウケました。
つーかさ、本役の安禄山@トウコ、エロ過ぎ!!
トウコがエロくやりすぎてるから、作品のカラーが変化しているのね。
たぶん、みらんくんの安禄山の方が、作品的には正しいと思うの。
みらくんの安禄山は、正しく敵役でした。
有能で豪傑で、野心家。
ある意味素直で、まっすぐな男。
少年マンガのライバルキャラみたい。
トウコがひねくれまくっていて、いつもなにかたくらんでいて、台詞ひとつ言うんでも「うわ、腹の中ではチガウこと考えてやがるな」ってのがあるのに、みらんくんはストレートに「台詞通りのことを考えているんだな」とわかる。
皇甫惟明@しゅんくんとやりあうとことか、ほんとにストレート。
楊貴妃を襲うところだって、ちゃんと楊貴妃本人を欲しがっていることがわかった。楊貴妃に罵倒されて激怒したりな。
ああ、正しい敵役だわ……。
必要以上にねちこくないし、ずるがしこくもない。玄宗との距離感がふつうに「皇帝と武将」になっている。
「武」の男だから、豪快に感情を表現し、また、戦う。勝利を確信した銀橋で哄笑する。
かっこいい……。
安禄山が豪傑なので、それに対する玄宗もまた、男ぶりがあがっている。
本公演の「うわ、安禄山に丸め込まれてるよ、手のひらの上で転がされてるよ。情けねー男だなー」という皇帝ではなく、ふつーに「皇帝陛下」だった。
安禄山がねちねちとなにかたくらんでいる感を出さないと、ストレートに豪快に接していると、玄宗もさっぱりした男に見えるのね。
楊貴妃@うめちゃんが「ふつーの女の子@うっかり美人に生まれちゃって大変!」なのと、安禄山@みらんくんが「俺は英雄@世界を正しくするぜ!」なので、彼らにはさまれた玄宗@れおんくんは、本役のワタルくんとなにも変わらない役作りとキャラ感だったにもかかわらず、本役より男前に見えました(笑)。
本役はなー、あきらかにダメダメ男だからなー(そこが愉快なんだが・笑)。
安禄山がチガウだけで、玄宗がちがって見え、それゆえ作品のカラーが変わって見えた。
かっこいい立ち回りも含め、エンタメ感が増していた。
この玄宗と安禄山なら、ちがった意味で萌えられそうだわ。だってこの安禄山、受だし(笑)。楊貴妃を襲うところも力任せでちっともエロくないし。
萌えといえば、楊国忠@ゆかりちゃん。
美しすぎ。
やばいです、この子(笑)。
最初からもちろんきれいなんだけど、立ち回りのときの総髪姿。
出てくるなり、舞台の色が変わった。
アンタが美しくても意味はないだろう? なんでそう、無駄に美しいの?(笑)
楊国忠としての演技がどうだったとか、どんなキャラだったとかは、ごめん、さっぱりわかりません。ただただ、いつもとにかく、美しかった。
美貌だけで世界征服できそうだ……。楊貴妃より美しくてどうするんだ、楊国忠。傾国の美女はアンタなんじゃないの?
楊国忠の無駄な美貌と色気に、大ウケしました。おもしろい。おもしろいぞ、新公!
皇甫惟明@しゅんくんは、意外にも「武将」でした。本役のまとぶんが「貴族」って感じなのに、けっこー気の荒そうな押しの強い男だった。
安禄山もストレートな男だし、おいおいお前らふたり、皇帝の前で本気で怒鳴り合うなよ、って感じ。
だからこそ、楊貴妃を相手にしたときの「優男喋り」と違和感あったけどな(笑)。
堂々とした、たのしみな若者。
そして、いちばん感心したのが、梅妃@みなみちゃん。
匂い立つ気品。
うわ、姫だ。
貴族の姫君なんだわ、この人。
一流の家系に生まれ、一流の教育を受けてここにいる本物の姫君なんだわ。
とゆーのが、すげーわかった。
高慢な物言いも納得。だって本物のお姫様だもん。ぽっと出のなりあがり娘なんか、見下して当然でしょうよ。また楊貴妃@うめちゃんが、すげー庶民くさかったもんで余計に対比がくっきりしていた。
「楊貴妃のライバル」としての梅妃像にも感心していたというのに。
すごかったのは、そこに「玄宗への愛」が見えたこと。
梅妃って、玄宗のこと愛してたんだ!!
知らなかった!
皇帝だから寵愛を求めていたわけじゃないんだ。権力が欲しいだけじゃなかったんだ。愛していたから、一生懸命だったんだ。
「どうして陛下はあんな女を……」
の台詞で、「恋する女」としての彼女の姿が鮮明に浮かび上がった。
うわ、梅妃可哀想。こんなに愛しているのに、もともとは彼女のもとにあった男の心が、よそへ行ってしまったなんて……。
楊貴妃より、梅妃の方がいい女に見えてしまった……。
若い娘と不倫する夫と、それに堪える妻、のドラマを見て、妻に感情移入するハートで。
なんにせよ、うまいなあ、みなみちゃん。
美形で姫役者で歌がうまくて(聴きたかったのに)演技力もあるのに、何故未だにこの子の主演作が1本もないんだろう。謎だ。
せっかく素敵な梅妃だったのに、さいとーくん演出では、余計なひとことが付け加えられていた(笑)。
安禄山と梅妃が通じていた、ということにしたいのだろうが、それについてのエピソード追加はまったくナシ。ヲイヲイ。演出家の脳内でだけ完結させてんぢゃねーよ。
梅妃のシーンから安禄山の乱まで、舞台上ではどれくらいの月日が流れてんだ? その間に李林甫が死んだり楊国忠が宰相になったり皇甫惟明が死んだりしているわけでしょ? そんなに月日が経っているのに、安禄山がずいぶん前に梅妃にたきつけられたから、って楊貴妃襲いに来るの、変じゃん。
月日なんて経ってません、梅妃が「安禄山……」とつぶやいた数日後の話です、というなら、間にある「楊国忠、宰相就任おめでとー」とか、時の流れを表すシーンを削れよー。もしくは「もうとっくに宰相だったのよね」って月日の調節をしろよ。
さいとーくんってほんと、物語を構成できないんやな……。思いつきだけでやってるとしか思えん。
それでもエンタメ力があるから、いいけどさ。
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