さて、今回の『エリザベート』の配役は、いろんな意味で劇団がファンを裏切っている、と思う。
 発表見るなり爆笑するよーな配役って、どうよ?
 そりゃ地震は起こるし台風も来るでしょうよ。あさこがシシィをやるんだから。
 ヅカファンの受けた衝撃が天候を動かし、天変地異を起こしたって不思議じゃないわ(この地震で数センチ陸が動いたんだって?)。

 あさこは客寄せパンダなの、とか、そこまでしないと動員できない組ってどうなのよ、とか、娘役の立場はどうなのよ、とか、『エリザベート』という作品のクオリティと名前と歴史をなんだと思っているのよ、とか、言いたいことはいろいろあるし、それは先日の発表を見て空に向かってぶっとんだ全国100万人のヅカファンの心はひとつだろうから、語るまでもないこととして。

 「萌えや受や攻を専売特許としている緑野」(もずえさん談)が語るべきなのはひとつ。

 劇団スタッフには、腐女子はおらんのか!!

 ということですわ。

 
 今回のあさこシシィを知り、わたしは某AAのように、がっくりと大地に膝をつきましたよ。

 わかってない……っ、わかってないわ劇団!!(血涙)

 たしかに、女性のサガとして、美青年を女装させると「きゃ♪」てなよろこび方をします。
 これは腐女子属性のみならず、女子の遺伝子に多かれ少なかれ組み込まれているのでしょう。「美しいものが好き」の発展系ですよ。「女装した美青年」というのは。

 でもな、心して聞けよおやぢたち。
 誰でもいいわけではないんだ。

「攻男を女装させるなーっ、キモいだけじゃ〜〜!!」

 と、拳を握って断言したら、本日のデート相手のチェリさんにたしなめられました。
「なんでもかんでも受攻で考えちゃだめですよ」と。彼女はとてもノーマルな人です(笑)。

 いやその。
 わたしは腐女子なのでこの世のすべてを「受」と「攻」に分類して眺める習性があります。
 しかしそれは、ふつーの「女性」のなかにも、無意識にあるものだと思っていますのよ。
 
 つまり、コムちゃんは女装してもOK、ワタルはNG。
 男のワタルに、女の子のコムちゃんはカップル役でOK。

 って、コレ、みんなふつーに思うでしょ?
 コムちゃんは小柄だし華奢だしかわいい妖精タイプだから、ヒロインやっても感情移入して見られる。
 反対に、ワタルくんは男役をヒロインにしても「どーんと来い!」な包容力で受け止めて違和感ないよねー、男らしいよねー。と、素直に思える。

 これって、無意識レベルにあるのよ、「受」と「攻」が。
 コムは受キャラ、ワタルは攻キャラ。
 妄想系とかやほひとかじゃなく、女の本能で区別している。感じている。
 個人差はあるし、趣味のちがいはあるから、「コムがヒロインなんて、男臭くて気持ち悪いわ!」と思う人だっているだろうけど、まあ一般的な感覚として。
 フェアリー系と野郎系の区別をつけるのは、女の本能だと思うのよ。

 だから女性のための「タカラヅカ」では、男役が美しい女性に扮し、男役と恋をするシチュエーションが多く演じられてきた。
 女の子は、好きだからだ。そーゆーのが。
 いつもソレばっかじゃヤだけど、たまにやってくれるとうれしいのだ。どきどきするのだ。

 男役ふたりがからむのは、ファンサービスなわけだ。

 劇団も、わかってやってきたわけだ。

 しかし。

 誰でもいいわけではないんだ。

 美青年なら誰でもいいわけじゃないの。色男ならなんでもいいわけじゃないの。

 すべての男には、属性があるのよ。「受」と「攻」という!

 女装させていいのは、受。
 これは基本。

 男と恋に落ちていいのは、受。
 これは基本。

 攻はダメ。
 絶対にダメ。
 現実の男を女装させても気持ち悪いのと同じ。トリックスター的に使うとか、あるいはギャグで使うならよくても、マジで可憐な美少女なんぞをやらせてはダメ。最悪。

 そんでもって。

 あさこは押しも押されぬ攻キャラだろう!!

 攻キャラを女装させてもギャグにしかなんないって!
 オカマにしかなんないって!

 もちろん、あさちゃんがこれから女らしい仕草や立ち居振る舞い、着こなしや声を完璧にマスターして、絶世の美女になるかもしれないことは、今は置いておく。
 素顔のあさちゃんがかわいー女の子だとか、じつはとっても女らしいのよん、とかも、別の話。
 役者としての持ち味の話をしているわけだから。

 観客が望んでいるのは、攻としてのあさこだ。つまり、男らしくかっこいいあさこだ。バリバリの色男のあさこだ。

「人気の美形男役をヒロインにすれば、女たちはよろこぶはずだ」
 って、安直に考えただろう、歌劇団。
 耽美の「た」の字も理解しない、センスのないおやぢ頭で考えただろう?

 痴れ者め。腐女子道はそんなに甘くないのだ。

 立ち役をさせるべきなのは、攻。
 これは基本。

 女装した男役だろうと、まんま男役だろうと、その腕の中で転がしていいのは、攻。
 これは基本。

 観客があさこに求めているのは、コレなんだってば。
 あさこなら、男役を抱いても愛しても**しても、かまわないんだってば。

 そして。

 さえちゃんこそが、受属性の人。

 男らしいあさこが、妖美したたるさえこを抱くのはいいんだ。
 それが耽美ってもんだ。
 女の子が見て「きゃあ♪」な世界だ。

 なのに。

 どうして逆なの? それじゃギャグじゃない。

 男装した女がよたよたと、女装した男を抱きしめていても、ロマンティックじゃないでしょう?
 どうしてそれがわからないの、おやぢたち。

 そしてこのうえ、ゆうひまでもが女装あさことからんできたら、どうすればいいですか。
 観客が望んでいるのは、あさこ×ゆうひです。男のあさこと美女ゆうひがからむなら萌えですが、逆はギャグです。勘弁してください。

 おやぢたちからすれば、所詮みんなただの女の子で、かっこつけていようといまいと同じなんでしょうけど。
 チガウの。属性があるの。
 そして女の子は、その属性に沿った役割を求めているの。

 わたしは腐女子だから、わかりやすく「受」だの「攻」だの叫んでいるけど、腐女子でない人たちだって、無意識に区別しているのよ。求めているのよ。

 本気でさえちゃんを売り出したいなら、人気を出させたいなら、正しく彼女を「受」として売りなさいよ。
 色男の攻に添わせるのよ。その昔、音子ちゃんとのカップリングで人気が出たように。
 『飛鳥夕映え』なんて柄にない攻男役をやらせてる場合じゃないわよ。

 あさこを正しく集客力として使いたいなら、「攻」として売りなさいよ。
 フェロモン大放出で女や受青年をはべらせて、色悪路線極めさせなさいよ。
 エリザベートなんて娘役の集大成みたいな役やらせてる場合じゃないわよ。

 劇団スタッフには、腐女子はおらんのか!!

 腐女子のアンテナをふるわせるものは、一般女性のハートもしびれさせるんだってば。
 ああ、がっくり。

 
 とまあ、さんざん語っているわりに、わたし個人としては、あさこは受キャラだと思ってるけどなっ。漢くさい男受好きなの。オヤジ受とか。女装は×だが、受は好きだぞ、あさこ。

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