それにしても、公式HPは見にくいわ…。@かりんとうブルース/新しい予感
2004年8月8日 映画 映画の感想、続けて書いておこう。……つっても、あんまりため込みすぎて、すでにわけわかんなくなりつつあるんだけど。
日比谷シャンテシネで行われた「第26回 ぴあフィルムフェスティバル」とゆーのを、1回だけ見ました。
コミケで同人誌を買うノリで、プロ予備軍映画監督作品を見てみよう、と。いちおーふるいにかけられたあとの作品だから、ちゃぶ台を返したくなるよーな駄作はないだろうし。
……東宝劇場で『スサノオ』の当日券に並んだあと、幕が上がるまでの間に、ちょーどよい上映時間だったから、なんて単純な理由だけではありませんてば(笑)。
わたしが見たのは、『かりんとうブルース』監督・川西良子(24歳)と、『新しい予感』監督・浅野晋康(25歳)の2作品。ああ、若いっていいわねえ。
「ぴあフィルムフェスティバル」っつーのがどういうものなのか、いまいちわかってなかったんで、「どんなもんじゃらほい」と映画館に入ったわけなんだけど。
客席、さむっ。
ガラガラでした。いやはや。
平日の午前中だから仕方ないけど。……それにしても、そーゆーもんなのか。
そして、思った通り、客席、関係者率高すぎっ。
ほんとーになんの関係もない、純粋な客は何人いたんでしょう……わたしひとりでないことを祈るばかり。
制作者や出演者の友人知人だけでなく、映画や芝居に関係していない、ほんとーにただの素人客って、わたしの他にいたんだろうか……。地方開催の小さな同人誌即売会みたいに、お客は書き手ばかり、みたいな感じ……サークル参加者が同時にお客でもある、つーか。
わたしひとり場違いじゃないかい? と居心地悪さも感じつつ、それでも鑑賞、わたしはただの映画好き。
1本目は『かりんとうブルース』。
舞台は1軒のおんぼろアパート。味のあるおばあちゃんが大家さん。そこに住んでいるミュージカル女優志望の女の子と、不倫女子大生のそれぞれの人生と物語。R−15指定がついてたのは、こっちの映画かな? 女子大生の女体盛りがあったぞ(笑)。
なんつーか、「ああ、キタキタ」と思った。
わたしは今、たしかに同人誌即売会にいるんだな、と。
商業作品が販売されている書店ではなく、アマチュアの書き手さんが自費出版している同人誌の、即売会。
商業ベースにのっていないからこそ制約なく自由に才能をほとばしらせているんだろーけど、とどのつまり「こりゃわざわざ出版社が金を出して商品にしようとは思わないわ」と思えるよーな、そんな同人誌を読んだ気分。
興味深くはあるけど、ちーっともおもしろくないんだわ。
コレを「売れ」と言われたらわたし、途方に暮れるなあ。一般視聴者はコレを求めてないもんなあ。
いっそ一般人お断りの純文学路線なら、「わからない人が低俗なのよ」と高尚ぶりたい人をターゲットにした宣伝方法もあるだろうけど、そこまでも行ってないしなあ。
半端にカジュアルで、半端に好き勝手。
作者が「おもしろい」と思っているものを、他の人も「おもしろい」と思うかどうか、客観性に欠けているというか。もしくは、他の人に「おもしろい」と思わせるほど技量が足りていないというか。
創造者なのだから、作者が面白いと思うモノ・書きたいモノを描けばいい。
だけどわたしなんかは俗物だから、作者ひとりがたのしいモノより、より多くの人がたのしいと思うモノの方が好き。そーゆースタンスがある作品が好き。
てゆーか、この作者はどちらの方向を目指しているのかなあ。わかる人だけがわかればそれでいい路線ってやつかな? 同人誌にはありがちなやつ。きっと琴線に触れる人には、とても素敵な作品になるんだろうと思う。
残念ながら、わたしの琴線にはかすらなかった。
1本目がソレだったので、わたしも耐性がついた。
そうか、ここは同人誌即売会なんだ。プロじゃない、ってことは、客観性とかエンタメ性とかは関係ない場合があるんだ。ネタ一発の「ちょっといいじゃん」みたいな作品が「作品」として上映されちゃう場所なんだ。
それをわかったうえで、たのしもう。
と思った矢先の2本目、『新しい予感』。
「少年バット」(笑)を思い出させる通り魔殺人事件から物語ははじまり、ダメ男のヘタレ恋の告白(大阪弁がちと寒い)、職業=空き巣・住居=車のこまったちゃんな男ふたり(片割れが告白していたダメ男)と、なんか泥沼な恋愛模様の女子大生が出逢い、ふつーにありそでなさそな彼らの物語が転がり出す。
……ええ?
これって、同人誌?
ふつーに、おもしろいんですけど。
てゆーか、おもしろかった。
かわいくて、ちょっぴりせつなくて、ちとテーマ全開だったりして(笑)、起承転結きちんと計算されてクライマックス盛り上がって、未来につながる気持ちのいいハッピーエンド。
3人の主人公たち、みんな好き。それぞれかわいい。
わかりやすいエンタメ映画。テーマの前向きさとか、基本となる物語のベースがほんとに「お約束」の安定感がある。
わたし、エンタメの基本は、見終わったあとに「ああ、おもしろかった。わたしもがんばって生きるぞー」と思わせてくれるものだと思ってる。アンハッピーだろうと暗かろうと、ちゃんとエンタメしていたら、見終わったあとはそう思えるから。
この『新しい予感』という作品は、ちゃんとそう思わせてくれた。
うまい作品だと思う。いちいち小技が利いている。作者の人、アタマいいんだー、って感じ。感性云々より、「アタマいいんだろうな」と思った(笑)。そーゆー作り方。作者……つーか監督、25歳かぁ、すごいなー。この映画撮ったのはもっと前だろうし、そんなに若くして、これだけの技量があるんだ。そーだよなあ、オギーだって『凍てついた明日』を演出したときはまだ20代半ばとかだったんだよねえ、才能はトシじゃないよねえ。
『かりんとうブルース』も『新しい予感』も、根っこにあるテーマは同じだと思う。
「それでも、がんばって歩いていこうよ」てな。
それでも、ってのが、ポイント。
人生いろいろ、トラブル、アクシデントいろいろ、傷も痛みもいろいろ。それら全部ひっくるめて風呂敷で包んでよいしょっと背負って、ちょっとよろめいて、なんとか踏ん張って、歩き出す。前へ。
それでも、前へ。
エンタメというか、世の創作物の大半はそーゆーもんだ。お約束の中のお約束、基本の中の基本。
問題は、その規定演技を、どう組み立て、演出するか。
『新しい予感』がおもしろかったのは、その基本軸を、「見ているお客が気持ちいいように」過不足なく飾り立ててあったからだろう。
通り魔殺人、ストーカー、ピッキング、自殺未遂、ヤクザ、という見た目に派手な要素を使い、だけどえげつなくはせず、風が通るくらいの密度で「青春」を描く。普遍的なものを、現代感覚で描く。
なるほどなー。
この2本をつづけて見たおかげで、大変勉強になりました。
商業作品じゃないからこそ、よりテキストとしてわたしの血肉になる感じ。
他のエントリー作品も見てみたかったわ、受賞結果の出る前に。
この2作品は、フェスティバルの各賞にまったく入りませんでした。
そんなもんなんだー。
今度大阪でフェスティバルが開催されるので、グランプリ受賞作品ぐらいは見に行くかな〜。
日比谷シャンテシネで行われた「第26回 ぴあフィルムフェスティバル」とゆーのを、1回だけ見ました。
コミケで同人誌を買うノリで、プロ予備軍映画監督作品を見てみよう、と。いちおーふるいにかけられたあとの作品だから、ちゃぶ台を返したくなるよーな駄作はないだろうし。
……東宝劇場で『スサノオ』の当日券に並んだあと、幕が上がるまでの間に、ちょーどよい上映時間だったから、なんて単純な理由だけではありませんてば(笑)。
わたしが見たのは、『かりんとうブルース』監督・川西良子(24歳)と、『新しい予感』監督・浅野晋康(25歳)の2作品。ああ、若いっていいわねえ。
「ぴあフィルムフェスティバル」っつーのがどういうものなのか、いまいちわかってなかったんで、「どんなもんじゃらほい」と映画館に入ったわけなんだけど。
客席、さむっ。
ガラガラでした。いやはや。
平日の午前中だから仕方ないけど。……それにしても、そーゆーもんなのか。
そして、思った通り、客席、関係者率高すぎっ。
ほんとーになんの関係もない、純粋な客は何人いたんでしょう……わたしひとりでないことを祈るばかり。
制作者や出演者の友人知人だけでなく、映画や芝居に関係していない、ほんとーにただの素人客って、わたしの他にいたんだろうか……。地方開催の小さな同人誌即売会みたいに、お客は書き手ばかり、みたいな感じ……サークル参加者が同時にお客でもある、つーか。
わたしひとり場違いじゃないかい? と居心地悪さも感じつつ、それでも鑑賞、わたしはただの映画好き。
1本目は『かりんとうブルース』。
舞台は1軒のおんぼろアパート。味のあるおばあちゃんが大家さん。そこに住んでいるミュージカル女優志望の女の子と、不倫女子大生のそれぞれの人生と物語。R−15指定がついてたのは、こっちの映画かな? 女子大生の女体盛りがあったぞ(笑)。
なんつーか、「ああ、キタキタ」と思った。
わたしは今、たしかに同人誌即売会にいるんだな、と。
商業作品が販売されている書店ではなく、アマチュアの書き手さんが自費出版している同人誌の、即売会。
商業ベースにのっていないからこそ制約なく自由に才能をほとばしらせているんだろーけど、とどのつまり「こりゃわざわざ出版社が金を出して商品にしようとは思わないわ」と思えるよーな、そんな同人誌を読んだ気分。
興味深くはあるけど、ちーっともおもしろくないんだわ。
コレを「売れ」と言われたらわたし、途方に暮れるなあ。一般視聴者はコレを求めてないもんなあ。
いっそ一般人お断りの純文学路線なら、「わからない人が低俗なのよ」と高尚ぶりたい人をターゲットにした宣伝方法もあるだろうけど、そこまでも行ってないしなあ。
半端にカジュアルで、半端に好き勝手。
作者が「おもしろい」と思っているものを、他の人も「おもしろい」と思うかどうか、客観性に欠けているというか。もしくは、他の人に「おもしろい」と思わせるほど技量が足りていないというか。
創造者なのだから、作者が面白いと思うモノ・書きたいモノを描けばいい。
だけどわたしなんかは俗物だから、作者ひとりがたのしいモノより、より多くの人がたのしいと思うモノの方が好き。そーゆースタンスがある作品が好き。
てゆーか、この作者はどちらの方向を目指しているのかなあ。わかる人だけがわかればそれでいい路線ってやつかな? 同人誌にはありがちなやつ。きっと琴線に触れる人には、とても素敵な作品になるんだろうと思う。
残念ながら、わたしの琴線にはかすらなかった。
1本目がソレだったので、わたしも耐性がついた。
そうか、ここは同人誌即売会なんだ。プロじゃない、ってことは、客観性とかエンタメ性とかは関係ない場合があるんだ。ネタ一発の「ちょっといいじゃん」みたいな作品が「作品」として上映されちゃう場所なんだ。
それをわかったうえで、たのしもう。
と思った矢先の2本目、『新しい予感』。
「少年バット」(笑)を思い出させる通り魔殺人事件から物語ははじまり、ダメ男のヘタレ恋の告白(大阪弁がちと寒い)、職業=空き巣・住居=車のこまったちゃんな男ふたり(片割れが告白していたダメ男)と、なんか泥沼な恋愛模様の女子大生が出逢い、ふつーにありそでなさそな彼らの物語が転がり出す。
……ええ?
これって、同人誌?
ふつーに、おもしろいんですけど。
てゆーか、おもしろかった。
かわいくて、ちょっぴりせつなくて、ちとテーマ全開だったりして(笑)、起承転結きちんと計算されてクライマックス盛り上がって、未来につながる気持ちのいいハッピーエンド。
3人の主人公たち、みんな好き。それぞれかわいい。
わかりやすいエンタメ映画。テーマの前向きさとか、基本となる物語のベースがほんとに「お約束」の安定感がある。
わたし、エンタメの基本は、見終わったあとに「ああ、おもしろかった。わたしもがんばって生きるぞー」と思わせてくれるものだと思ってる。アンハッピーだろうと暗かろうと、ちゃんとエンタメしていたら、見終わったあとはそう思えるから。
この『新しい予感』という作品は、ちゃんとそう思わせてくれた。
うまい作品だと思う。いちいち小技が利いている。作者の人、アタマいいんだー、って感じ。感性云々より、「アタマいいんだろうな」と思った(笑)。そーゆー作り方。作者……つーか監督、25歳かぁ、すごいなー。この映画撮ったのはもっと前だろうし、そんなに若くして、これだけの技量があるんだ。そーだよなあ、オギーだって『凍てついた明日』を演出したときはまだ20代半ばとかだったんだよねえ、才能はトシじゃないよねえ。
『かりんとうブルース』も『新しい予感』も、根っこにあるテーマは同じだと思う。
「それでも、がんばって歩いていこうよ」てな。
それでも、ってのが、ポイント。
人生いろいろ、トラブル、アクシデントいろいろ、傷も痛みもいろいろ。それら全部ひっくるめて風呂敷で包んでよいしょっと背負って、ちょっとよろめいて、なんとか踏ん張って、歩き出す。前へ。
それでも、前へ。
エンタメというか、世の創作物の大半はそーゆーもんだ。お約束の中のお約束、基本の中の基本。
問題は、その規定演技を、どう組み立て、演出するか。
『新しい予感』がおもしろかったのは、その基本軸を、「見ているお客が気持ちいいように」過不足なく飾り立ててあったからだろう。
通り魔殺人、ストーカー、ピッキング、自殺未遂、ヤクザ、という見た目に派手な要素を使い、だけどえげつなくはせず、風が通るくらいの密度で「青春」を描く。普遍的なものを、現代感覚で描く。
なるほどなー。
この2本をつづけて見たおかげで、大変勉強になりました。
商業作品じゃないからこそ、よりテキストとしてわたしの血肉になる感じ。
他のエントリー作品も見てみたかったわ、受賞結果の出る前に。
この2作品は、フェスティバルの各賞にまったく入りませんでした。
そんなもんなんだー。
今度大阪でフェスティバルが開催されるので、グランプリ受賞作品ぐらいは見に行くかな〜。
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