ひたむきな彼。@月組新人公演『飛鳥夕映え』
2004年7月28日 タカラヅカ 最近日記を書きすぎていて(笑)、日付ズレちゃってるけど、新人公演『飛鳥夕映え』観てきましたー。
ツッコミどころの多い『飛鳥夕映え』の中で、わたしがいちばん盛大にツッコミたかったというか、椅子から落ちそうになった箇所がある。
ラヴラヴの恋人・瑪瑙がいるにも関わらず、なーんの罪の意識も葛藤もなく、年増の皇極帝と二股情事にふける鞍作。
なんでそんなおっかなそーな年増と? 悪食にもほどがあるだろう??
政治のために皇極帝を利用している、という風もない。つーか、なにも考えていないように見える。誘われたら誰とでも寝るのかな。やれやれ。
作品を通していちばん色っぽいシーンが、年増との浮気シーン、って、どういうことなのよ、タカラヅカ。と、疑問ばかりが浮かんで途方に暮れるこのシーン。
ここまでは、いいんだ。まだ。
わたしならこんな変な演出はしないけど、まあ、駄作に多くは求めないさ。
問題は、このあと。
おばさんとエッチしたあとの、帰り道の鞍作。
彼は突然、歌い出します。
「ひたむきに生きて〜〜♪」
ひたむき?!
おばさんだの芸人だの、誘ってくる女たちと節操なくヤりまくったそのアシで、言いますか、ソレを。
アンタのひたむきなところって、下半身のこと?
ひた‐むき 【▽直向き】
[形動][ナリ]一つの物事だけに心を向けているさま。忍耐強く、いちずに打ち込むさま。「―な努力」「―な情熱」
誰とでも寝るのが、ひたむきな生き方か……たしかにそりゃ、ある意味ひたむきだな……。
すばらしい生き方だ……人間というより、動物だと思うけどな……。
とまあ、この展開には両足を上げて椅子から落ちそうになりましたのよ。まさしくギャフンなキモチ。参りました、お手上げです、っていうか。
二股男がヒロイン以外の女とヤったあとで、歌っていい歌詞じゃないわな……。
「ひたむきに浮気してきました! とっても真面目にしてきました! 夢を求めて生きるボクは、下半身にひたむきです!」
と歌われてもな……。
もちろん、作者の意図が「下半身」にないことはわかっているよ。鞍作の独白とも言える歌でしょ。英雄の英雄ゆえの苦悩なんかを歌わせたかったわけでしょ。
でもそれならさ、どーしてここで歌わせるの?
おばさんとエッチしたあとで、なんでこの歌なわけ?
鎌足との溝云々のところとか、政治家は大変だニャ的なところだとか、他にいくらでも歌うべきところはあったのに。
浮気のあとのしどけない姿で歌うのは、変だよ。鞍作の仕事は女と寝ることか? 彼がホストなら、客と寝たあとで独白の歌を歌ってもいいよ。ああ、仕事に打ち込んでいるけど、大変なのよね、でも夢のためには耐えなきゃね、とか思えるけど。
鞍作、ホストじゃないし。たぶん。←弱気発言
本公演で、いつ観ても「てめーのひたむきはソレかいっ」と盛大に突っ込んでしまう、このシーンで。
新公では、ツッコミは感じませんでした。
というのもだ。
新公ではじめてわかったの。
そっかぁ、鞍作ってこーゆー人だったんだ……。
ほっくん演じる鞍作には、説得力がありました。
少年時代はやんちゃというか、腕白で利発。早熟っていうか、大人相手でもませた口を利いて議論しそうな感じ。さかしくて、ちとムカつきそう(笑)。
その後青年期に入り、若く優秀な政治家となる。
…………政治家に見えたの。ホストじゃなくて。
なんだ、政治のこと考えてんじゃん。下半身より頭脳の方がひたむきそうだわ。
何故だ。同じ脚本なのに。台詞に過不足はないのに。
同じコトをやっていて、ひとりは下半身にひたむき、ひとりは夢にひたむきに見えるのは何故?
皇極帝と寝たあとに、「ひたむきに生きて〜〜♪」と歌われても、なんとも思わなかった。
皇極帝との情事は彼の人生の小さな出来事に過ぎず、観客であるわたしは「蘇我鞍作」という人物の全体を観ているので、んな小さな出来事のあとに、大筋である彼の独白がきても、ぜんぜん変だと思わなかったんだ。
そ、そうか……あのタイミングであの歌を歌っても、「ひたむき」と「直前までの情事」はイコールにならないんだ……。
鞍作はちゃんと優秀な、若きリーダーに見えた。
その堂々とした立ち居振る舞い、落ち着いた言動、なによりも説得力となる豊かな歌声。
歌のポイントは、ほんとに大きい。
この芝居、ここぞってとこで歌が入る。
この歌を歌いこなせるかどうかで、盛り上がりがぜんぜんチガウ。
すげえや、駄作なのに、ちゃんと盛り上げてるよ。
力尽くで辻褄を合わせてるよ。
主役としての仕事を、きちんとこなしているよ。
ちょっとわたし、口が開いたままでした。
うまいことは知っていたけどね、ほっくん。ほんまにうまかったんやな。
今までは、本役がリカちゃんで、ほっくんとは致命的に合わない役ばかり新公で演じることになっていたから、どんなに技術的にうまくても観ていてつらいものがあったんだが。
こーゆー骨太な英雄キャラは、ハマるんだ……。
ほんと、すばらしかったです、ほっくん。
彼に足りないものは、美貌と華だけです。
…………うまいんやけどな。
こんなにこんなに、うまいんやけどな。
でも、ごめん、ほっくん。
君やっぱり、真ん中に立つにはビジュアルつらすぎるよ…………。
「芝居の最後でさ、瑪瑙が鞍作のこと、『青年』って言うでしょ。アレ聞いてはっとしたよ。そうか、青年なんだ、って。おじさんにしか見えなかったからさー」
帰りの電車で、WHITEちゃんは言う。
「熟年夫婦の物語だと思って観てたから、ラストで正気に返ったよ」
熟年夫婦……。鞍作と瑪瑙がですか……。
肯定はしても、否定はできないわたし。
そんな新人公演。
ツッコミどころの多い『飛鳥夕映え』の中で、わたしがいちばん盛大にツッコミたかったというか、椅子から落ちそうになった箇所がある。
ラヴラヴの恋人・瑪瑙がいるにも関わらず、なーんの罪の意識も葛藤もなく、年増の皇極帝と二股情事にふける鞍作。
なんでそんなおっかなそーな年増と? 悪食にもほどがあるだろう??
政治のために皇極帝を利用している、という風もない。つーか、なにも考えていないように見える。誘われたら誰とでも寝るのかな。やれやれ。
作品を通していちばん色っぽいシーンが、年増との浮気シーン、って、どういうことなのよ、タカラヅカ。と、疑問ばかりが浮かんで途方に暮れるこのシーン。
ここまでは、いいんだ。まだ。
わたしならこんな変な演出はしないけど、まあ、駄作に多くは求めないさ。
問題は、このあと。
おばさんとエッチしたあとの、帰り道の鞍作。
彼は突然、歌い出します。
「ひたむきに生きて〜〜♪」
ひたむき?!
おばさんだの芸人だの、誘ってくる女たちと節操なくヤりまくったそのアシで、言いますか、ソレを。
アンタのひたむきなところって、下半身のこと?
ひた‐むき 【▽直向き】
[形動][ナリ]一つの物事だけに心を向けているさま。忍耐強く、いちずに打ち込むさま。「―な努力」「―な情熱」
誰とでも寝るのが、ひたむきな生き方か……たしかにそりゃ、ある意味ひたむきだな……。
すばらしい生き方だ……人間というより、動物だと思うけどな……。
とまあ、この展開には両足を上げて椅子から落ちそうになりましたのよ。まさしくギャフンなキモチ。参りました、お手上げです、っていうか。
二股男がヒロイン以外の女とヤったあとで、歌っていい歌詞じゃないわな……。
「ひたむきに浮気してきました! とっても真面目にしてきました! 夢を求めて生きるボクは、下半身にひたむきです!」
と歌われてもな……。
もちろん、作者の意図が「下半身」にないことはわかっているよ。鞍作の独白とも言える歌でしょ。英雄の英雄ゆえの苦悩なんかを歌わせたかったわけでしょ。
でもそれならさ、どーしてここで歌わせるの?
おばさんとエッチしたあとで、なんでこの歌なわけ?
鎌足との溝云々のところとか、政治家は大変だニャ的なところだとか、他にいくらでも歌うべきところはあったのに。
浮気のあとのしどけない姿で歌うのは、変だよ。鞍作の仕事は女と寝ることか? 彼がホストなら、客と寝たあとで独白の歌を歌ってもいいよ。ああ、仕事に打ち込んでいるけど、大変なのよね、でも夢のためには耐えなきゃね、とか思えるけど。
鞍作、ホストじゃないし。たぶん。←弱気発言
本公演で、いつ観ても「てめーのひたむきはソレかいっ」と盛大に突っ込んでしまう、このシーンで。
新公では、ツッコミは感じませんでした。
というのもだ。
新公ではじめてわかったの。
そっかぁ、鞍作ってこーゆー人だったんだ……。
ほっくん演じる鞍作には、説得力がありました。
少年時代はやんちゃというか、腕白で利発。早熟っていうか、大人相手でもませた口を利いて議論しそうな感じ。さかしくて、ちとムカつきそう(笑)。
その後青年期に入り、若く優秀な政治家となる。
…………政治家に見えたの。ホストじゃなくて。
なんだ、政治のこと考えてんじゃん。下半身より頭脳の方がひたむきそうだわ。
何故だ。同じ脚本なのに。台詞に過不足はないのに。
同じコトをやっていて、ひとりは下半身にひたむき、ひとりは夢にひたむきに見えるのは何故?
皇極帝と寝たあとに、「ひたむきに生きて〜〜♪」と歌われても、なんとも思わなかった。
皇極帝との情事は彼の人生の小さな出来事に過ぎず、観客であるわたしは「蘇我鞍作」という人物の全体を観ているので、んな小さな出来事のあとに、大筋である彼の独白がきても、ぜんぜん変だと思わなかったんだ。
そ、そうか……あのタイミングであの歌を歌っても、「ひたむき」と「直前までの情事」はイコールにならないんだ……。
鞍作はちゃんと優秀な、若きリーダーに見えた。
その堂々とした立ち居振る舞い、落ち着いた言動、なによりも説得力となる豊かな歌声。
歌のポイントは、ほんとに大きい。
この芝居、ここぞってとこで歌が入る。
この歌を歌いこなせるかどうかで、盛り上がりがぜんぜんチガウ。
すげえや、駄作なのに、ちゃんと盛り上げてるよ。
力尽くで辻褄を合わせてるよ。
主役としての仕事を、きちんとこなしているよ。
ちょっとわたし、口が開いたままでした。
うまいことは知っていたけどね、ほっくん。ほんまにうまかったんやな。
今までは、本役がリカちゃんで、ほっくんとは致命的に合わない役ばかり新公で演じることになっていたから、どんなに技術的にうまくても観ていてつらいものがあったんだが。
こーゆー骨太な英雄キャラは、ハマるんだ……。
ほんと、すばらしかったです、ほっくん。
彼に足りないものは、美貌と華だけです。
…………うまいんやけどな。
こんなにこんなに、うまいんやけどな。
でも、ごめん、ほっくん。
君やっぱり、真ん中に立つにはビジュアルつらすぎるよ…………。
「芝居の最後でさ、瑪瑙が鞍作のこと、『青年』って言うでしょ。アレ聞いてはっとしたよ。そうか、青年なんだ、って。おじさんにしか見えなかったからさー」
帰りの電車で、WHITEちゃんは言う。
「熟年夫婦の物語だと思って観てたから、ラストで正気に返ったよ」
熟年夫婦……。鞍作と瑪瑙がですか……。
肯定はしても、否定はできないわたし。
そんな新人公演。
コメント