『TCAスペシャル2004「タカラヅカ90−100年への道−」』の感想その3です。

 予備知識なく観ていたので、舞台の上だけがすべて。
「お稽古の都合で、各2番手・専科は特出した組での出演になる」と舞台上で解説されたので、「そうなんだ」とそのまま納得した。

 そして、この最初の解説があったもんだから。
 信じていたのよ。
 2番手さんはみんな、それぞれの特出組に出演、と。出演するんだからそりゃ、「お芝居」にも出るんだと。

 雪組の芝居『星の牧場』において。
 わたしこの芝居、なにがなんやらさっぱりわからなかったんですが。
 ストーリーも舞台もなにもわからないし、コム姫の歌詞は相変わらず初見ではなに言ってんだかさっぱり聞き取れないし(わたしの耳と相性が悪いんだろうな)、まーちゃんのナレーションは立て板に水で情報量が多すぎて、予備知識のないものには「??」でしかなかったし。
 さっぱりわかんないけど、モブの人々がきれーだなー、ということと、コムちゃんその格好はどうなのよ、その靴思い切りふつーの靴だよね、あたしソレと同じよーなの持ってたわ、とか、服装が微妙過ぎてこまるけど……なのにどーしてそんなにかわいいの?! と、いろいろ困惑して観ていたんですわ。
 わけわかんないなりに、コムちゃんがなにかしらラヴい台詞を言っている。
「会いたかった」「もうお前を離さない」「ずっと一緒だ」……てな意味のことを。

 に。

 馬……?
 馬相手に、ラヴラヴ?
 コムちゃん、愛を語りまくり? その笑顔は全部馬のもの?

 で、馬役って、誰よ。

 わたしの頭の中には、たったひとりの顔しか浮かびません。

 馬役って、水くんっ!?

 
「いくら水くんが顔長いからって、ソレはないですよ」
 雪組パートが終わったあとの幕間、デイジーちゃんに一蹴されました。
「特出組は、芝居には出ないんですよ」
 そ、そんなの知らなかったもん。てっきり芝居にも出ると思い込んでたから。

 馬は水くんだと信じてた。

 
 結局、舞台に馬は登場せず、コムちゃんはいもしない馬にずっとひとり語りかけ、最後はまたがって走り出しました。
 笑顔きらきらの美少年。

 ……きらきらなのはいいんだけど……やっぱかなり微妙……いもしない馬にまたがって「ハイヨー!」とかやっちゃうのって。そしてまた、やたら長いし、馬にまたがってますシーン。

 もと芝居がどうなのか知りようもありませんが、この雪組芝居パートはかなり特異な感じがしました。
 ヅカっぽくないというか、どこぞの小劇団っていうか、ダンスアクトのノリっていうか。
 過去作品のダイジェストorハイライト、であるはずが、「テーマを表現するためだけの、雰囲気重視」。ストーリー性、エンタメ性無視。なにやら昇華したいモノがあって、それを優先して抽象的な世界を作りましたっていうか。

 演出家の名前を見て、納得。
 木村信司。

 …………とことんまでキムシンやな、こいつ。
 あまりにキムシンがキムシンらしいことをしているので、苦笑しちゃいましたさ。そっか、そんなに君は自分自身が好きか。いつもいつも「俺は俺が好き!」って叫び続けられると、思わず笑っちゃうよ。微笑ましいやら、脱力するやら。
 まあ、彼の個性は、ソレはソレでアリだと思っている。「恥ずかしいヤツだ」とも、心から思っているが。

 なんにせよ、コムちゃんはかわいかった。
 そしてわたしは。

 馬@水夏希が見たかった。

 馬に愛を語るモミイチ@コム。
 馬を撫で、頬ずりし、ちゅうなんかもしちゃうモミイチ。
 馬とラヴラヴ追いかけっこなんかをしちゃうモミイチ。「つかまえてごらんなさぁい♪」「こいつぅ♪」
 馬と草原を転げ回るモミイチ。抱き合っちゃったり、上になったり下になったり、脚からめたり見つめ合ったり。

 ……馬。
 馬を出せ!!
(鼻息ッ!)

 雪組芝居パートを眺めながら、わたしの心は宙を飛んでいました……馬の登場を待ちわびて。

 
 ちがったんや……。がっくり。

 
 そういえば、それより前に上演された宙組『虞美人』にも星組『霧深きエルベのほとり』にも、特出組は出てなかったね……。
 でも宙組はたかちゃんとお花様だけの組だから、誰が出ていなくても気にならないし、星組の特出はタニちゃんでしょ、タニはほとんど星組生って気がしているから、これまたあえて出てなくても気にならなかった。
 そんなことより、雪組に水くんが出ないことの方が、わたし的には異様に映ったよ……ふふ…ふ…。

 
 宙組『虞美人』は、すばらしゅーございました。
 項羽@たかこと虞姫@花ちゃん、超ラヴラヴ。
 うっわー、世界がふたりだけのためにあるバカップルがしあわせそーにいちゃくらしてるよー。それだけのシーンだよー。
 正直、ものすごいツボでした(笑)。
 元がどんな作品なのかは知りませんが(昭和26年作品じゃ知りようがないわな)、現代感覚で過不足なくエンタメとして盛り上げてくれるなら、こんなワンシーンだけでなく全部観たいわ、と思えるくらいいい感じ。
 世界を壊しても誰を不幸にしても、互いの愛だけが大事、という傍迷惑きわまりない「権力を持ったバカップル」の姿が浮き彫りにされて、「英雄ってのは、歴史大作ってのはこうでなきゃね(笑)」って感じがして、とても愉快でした。
 わたしはそーゆーの好きよ(笑)。
 お衣装も派手で美しく、ハッタリがきいて小気味いい。お花様は文句なく美しいし、たかこの武将ぶりもまたくぅわーっこいい。

 こういう派手くさいコスチュームものは、どんなに古くさくてもイベントで再演する意義があると思う。
 コスプレものは古びないんだよね、ビジュアル的に。

 再演芝居トップバッターの宙組『虞美人』を観て、「おや、わりといい感じじゃない?」と思っていただけに、衝撃は大きかった。
 

 次は、星組『霧深きエルベのほとり』、昭和38年初演。

 これが、もお。
 文字数ないので、翌日欄につづく。

     

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