さて、『TCAスペシャル2004「タカラヅカ90−100年への道−」』の感想ですが。

 ひとことで言うと、最悪でした。苦笑。

 なんつーかねー、身の置きどころのない恥ずかしさに満ちてました。
 わたしはこんなもんを観ていていいんだろうか、いいかげん足洗うべきなんじゃないだろうか、という厭世観と、それでもたのしいしなあ、というファン真理が交互に襲ってくる、なんとも複雑な時間でした。

 去年のTCAはたのしくて、大絶賛したじゃない。デイジーちゃんとふたり、大喜びしてたじゃない。

 なのに今年は、ふたりで絶望したよ……。
 あまりに悪趣味で。

 つまらないだけならまだしも、ファンの背筋を凍らせるってのは、すごいよなあ。

 宝塚歌劇は「変わらない」ことを指標にあげている劇団だ。伝統を守る、ということな。
 それはそれでいい。世の中には変わらないものも必要だ。
 しかし、それでも時代は流れているんだ。「変わらない」ゆえに「現代に必要ない」と判断されて絶滅したらどうするんだろう。
 このあたりのさじ加減はむずかしいだろうさ。
 むずかしいのはわかるが、あまりに古くさいものを古くさいまま出されても、観ている側はつらいだけだ。

 古くさいものを、現代人が拒絶反応を示さない表現で、差し出せばいいのに。
 何故、それをしないんだ?

 今、古くさいモノは現代人に愛されている。
 昭和時代を感じさせるものだとか、レトロなものは癒し系として立派に商売になっているじゃないか。
 古くさい作品を板にあげるなら、それを踏襲すればよかったのに。
 すなわち、「レトロ感」「郷愁」「癒し」に包み込み、ファンタジーとして成立させるんだ。セピア色の古い写真を見るような、愛しいせつなさを全面に押し出せばいいんだ。
 
 なのに、なんの努力も工夫もせずに、ただ古くさいモノを差し出して、悪趣味さを「伝統だから」と開き直っている。
 それでいいのか。がっくり。

 いくらでもすばらしく味付けできる素材を持ちながら、土や虫の付いたままテーブルに並べられた料理みたいだ。あの、せめて洗ってください、切って盛りつけてください、このままじゃどんなにすばらしい由緒正しい食材でも、食べられません。
 昔の人は土の付いたまま生で食べていたのかもしれないけど、現代人は洗って切って火を通したものを食べるんですよ。……え、それが「伝統」ですか……嫌なら食うな、ですか……いや、そーゆーことが言いたいんじゃなくて、全否定しているわけじゃなくて、ここをこうすればずっとよくなるのにっていう……すみません、余計なお世話ですね。

 そう。
 TCAってのは、参加することに意義がある。
 毎年必死にチケ取りするけど、そうやってがんばった末に大抵、実物を観てがっくり肩を落とすのさ。
 あたし……こんなもんのために、あんなにがんばってチケ取りしたのか……。
 わかっているのに、毎年参加したくて奔走する。
 何年かに一度、たのしいモノを観られるから。その低い確率のために、観続けるのさ、TCA。

「コレ、あたしたちは定価だからいいですけど、高いお金出して手に入れた人とか、どう思って観てるんでしょうねえ」
「価値観はひとそれぞれだから……」
「これなら、立ち見でもよかったですね」
「そうだね……」
 デイジーちゃんとふたりして、怒りなんだか失望なんだかを幕間から語り合う。

 今年はハズレの年でした。
 もー、華麗なまでに大ハズレ。
 毎年バクチだ、TCA。去年が大当たりだったから、しばらくはハズレが続くのが世の常ってやつかもしれん。
 来年もまた、がんばってチケ取りするさ〜。
 惚れた弱みさ。泣。

 
 とまあ、文句ばかり言っていても仕方ないので。
 ふつーに感想行きます。

 オープニングのみ、組単位でした。

 特出としていろんな組に出稼ぎ中の2番手たちが、それぞれの組にいるの。

 なんか。
 なんか、泣きそうだったんですが。

 トップバッター花組で、おさちゃんの隣にあさちゃんがいるんですよ。
 
 う・わー……。

 なんか、泣きそう。
 自分で自分におどろいた。
 そんなに、この並びが好きだったのか。
 そりゃオサアサが好きだったけど、なければないで仕方ないっていうか、ふつうに受け止めている現実だと思っていたのに。
 いざこうして、在りし日のオサアサな並びを観て、こんなにせつなくなるなんて。

 ここまでは、ふつうっていうか、「そうか、あたしはそんなにもオサアサが好きだったんだ」ってことで納得していたんだけど。

 雪組で、コムの隣にかしげがいるのを観て、さらに泣きたくなった、事実におどろいた。

 だってあたし、コムちゃんもかっしーも好きだけど、このふたりの並びは好きじゃなかったんだよ! お互いのいいところを相殺するコンビだから。
 組替え希望ってくらい、このふたりの並びは好きじゃなかったんだ。

 なのに。
 今年はかっしー試練の年、星だの月だの狸だのと休みナシ武者修行中で。
 こうしてひさしぶりに雪に帰ってきて、コムの隣にいるのを観て。

 なんか、泣きたいくらい、せつない。

 ああ、特出ってのは、そういうことなんだと思った。
 オサアサだからじゃなくて、コムかしげだからどうなんじゃなくて。

 2番手特出、ってのは、それくらい特異なことで、気持ちを無意識にでも磨り減らしている状態なんだ。

「早く自分の組に戻ってほしいですよねえ」
 と、幕間にデイジーちゃんも言う。オサアサやたか水の並びに泣きたくなったらしい。
 同じだよデイジーちゃん。わたしも、組が組としてひとつになっている、あたりまえの「タカラヅカ」の姿に泣きたくなった。
 「伝統」を守るというなら、それこそを守って欲しいよ。古くさい作品をマンセーするばかりじゃなくて。

 オープニングとそのあとの2番手6人のシーンが、今回のTCAでいちばんよかった……って、かなしい事実だなあ。ソレだけかい……通常の公演より3割もチケット代割高なのに……。
 つまり、出演者のキャラだけがよかったってことで、演出でよかったところはひとつもないってことなんだよね。溜息。

 お客が観たいモノ、なんてまったく考えずに、劇団がやりたいこと、をやっただけなんだと思う。
 大衆演劇じゃないな、こりゃ。

 
 なんにせよ。
 「スター」勢揃いに意義があるTCA。

 トップスターは6人。
 …………6人って。
 多いよ。
 なんともすわりが悪いっちゅーか、観ていて落ち着かない並び。

 だって中央、トド様なんだもん。

 学年順って、残酷だ。
 トド様の両脇、たかことワタルなんだよ?!(笑)


 う・わー……トド様、埋もれてる……。

 おさコムの間ならまだしも、巨人ふたりの間かよ。
 背が低いだけじゃなく、スタイルの悪さも際立ってますがな。

 トップ5人と並ばず・一緒に出てきて喋らず、別格で最初と最後に少し歌うとかだけでよかったのでわ……?
 いやわたし、トド様ファンだからこそ思ったんですけど。
 なんか、彼ひとりあきらかに「時代がチガウ」のがかなしくて。
 変だな、たかちゃんとトド様、同い年(学年)なのにな……なんであんなに、世代がちがって見えるんだろう……。
 
 期待していなかったにしろ、トップ6人のMCは超絶サムかったです。

 翌日欄につづく。

   

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