それにしても、なつかしタイトルがどんどんリメイクされちゃうね。
 というのも、今最前線で活躍するクリエイターたちが、わたしと同世代だってことなんだよねえ。
 だから同時代意識を共有できちゃうんだねえ。

 たぶん今がいちばんいい時代なんだと思う。
 人生の充実期ってやつ。

 あと10年もすれば、ひとつ下の世代のクリエイターたちが活躍する時代になって、わたしがぜんぜん知らない文化を「なつかしいでしょう?」と発表されたりするんだわ。
 時代はそうやって流れていくんだわ。

 今が人生の夏。
 青春ではなく、激しく熱い夏なの。
 ガキではなく、大人として、社会の中にいる者として。

 ……わたし自身はちっとも充実してないが、世の中的に30代はもっとも充実した年代でしょう。
 年々精神年齢は低くなってきてることだし、寿命は延びていることだし。

 人生の夏を、たのしむべし。

 
 とまあ、能書き垂れつつ、『キューティーハニー』。監督・庵野秀明、出演・佐藤江梨子、市川実日子。

 こーゆー映画は、絶対映画館で見なきゃ魅力半減。わかっているからいそいそと映画館へ。
 
 
 さて、この21世紀によみがえった実写版『キューティーハニー』。実写とアニメの融合、「ハニメーション」とやらで元気な画面。
 いちいちアニメのお約束や名シーンを再現してくれるたのしみに満ち、実写ゆえのはったりとバカバカしさもすばらしく。

 それでもアニメと完璧にちがっていることがひとつあった。
 いくらチガウったって、これがちがったらまったく別物でしょうってくらいの、相違点。

 ハニーに、のーみそがなかった。

 如月ハニー@佐藤江梨子は美人でおっぱいばいんばいんだが、のーみそは3歳児並。今日もまた、からっぽののーみそを入れたナイスなバディでOL業。あまりの低脳さゆえに周囲にひんしゅくをかっても、ぜんぜん平気。てゆーか、それすら理解できていない、のーみそないから。
 何故ハニーはそこまでバカですか。
 理由はひとつ、本物のハニーはすでに死んでいて、今ここにいるハニーは天才如月博士によって作られた“愛の戦士・キューティーハニー”だったからだ!!
 如月博士の研究を狙って、謎の秘密結社パンサークローの魔の手が……さあ大変!!

 
 いやあ、ここまで別人だとはおどろきました。
 昔見たアニメのハニーは、聡明でやさしく理性的で、常識をわきまえた女の子だったんだがなー。
 かっこいい女の子だったんだがなー。

 まさか、3歳児並とはな……おそれいった。

 3歳児だから、人前で裸になっても平気なの。恥じらったりしないのー。

 
 いや、それが悪いと言ってるワケじゃない。
 びっくりしただけ。
 
 ハニーを白痴にすることでストーリーを成立させているので、それはそれでヨシ。
 ハニーに年相応の知性があると、物語が暗くなってしまうんだと思う。年頃の女の子が人間以外の姿になって悪と戦うわけだから。人(怪人)を殺すわけだから。リアルにやると、ヒロインのダークサイドも描かなくてはならなくなる。
 それじゃ、『CASSHERN』みたいになっちゃうから、ハニーにのーみそがないのも計算として正しいと思う。

  
 たのしく見ました。
 潔いバカっパワーを堪能。

 ハニーよりも、パンサークローの四天王たちにウケました。
 しょっぱなから片桐はいりだもんよ!
 いいなあ、片桐はいり。
 怪人のごついコスチュームが似合い過ぎ。

 そして、もっともすばらしかったのが、なんつってもミッチー王子!!

 四天王のひとり、ただひとりの男性キャラ。
 美形悪役とはかくあるべき。
 突然歌い踊る姿にクラクラ。

 ミッチー王子を見るためだけでも、この映画の価値があったわ……!!

 なにしろハニーが白痴なので、恋愛とか色っぽい話にはなりようがない。
 かわりになっちゃん警部@市川実日子と、謎の男・青児@村上淳がいい感じでかわいい。
 恋愛も好きだけど、女同士の友情も大好きなので、なっちゃんとハニーのラヴラヴっぷりは見ていてたのしかった。

 白痴ハニーは白痴ゆえにかわいい。白痴ゆえに物語が成立している。
 それをちゃーんとたのしんだ。

 続編があったら見に行くぞー(笑)。

 
 この物語はこの物語で成功だと思う。
 思うけど。

 やっぱり、ちょっと残念だ。
 ハニーが白痴であることが。

 ……白痴って使っちゃいけない言葉だっけ? 無神経な使い方をしてしまっているのだろうか。
 えーと、物語の計算としてあえて、成人女性を3歳児並の精神年齢に描いていることを客観的事実のみの意味で、白痴と書きました。侮蔑の意味はないです。障害を持つ人を指しているつもりもないです。

 ハニーが外見年齢に相応しい精神的発達を遂げていないために、原作が持つ「淫靡さ」がなくなっているのね。
 それがわたし的には残念だった。

 『キューティーハニー』といえば「おねえさま」なんだもん。
 女同士で、「おねえさま」と呼び合う世界なんだよー。コメディ部分は多分にあっても、「エッチ」だけではない「淫靡さ」にどきどきしたもんだよ……。

 この映画の世界観はアリだと思うし、評価もしている。
 原作とはべつもん上等、そうでなくては作る意味ナシと思っている。

 だからほんと、ただのつぶやきさ。

 のーみそのあるハニーが見たかった……。

         

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