必殺技は、空回り。@ランダウン
2004年5月25日 映画 試写会は好きです。
誘われれば大抵なんでも見ます。
交通費その他もろもろを考えれば、ふつーに映画館で見た方が快適で安い場合も多いけど、それでも試写会に誘われるとよろこんで行きます。
出会いだと思っているから。
自分で選んでお金を出すならば、絶対に選ばない、そもそも選択肢にのぼらないよーなものに出会える可能性があるから。
自分で選ばないような映画だから、まあおおむねハズレなんだけど、たまに愉快なモノに出会えたりもする。
福袋が好きなわたしとしては、そーゆーサプライズをたのしみたいんだ。
つーことで、誘われるままに出かけていった試写会、『ランダウン ロッキング・ザ・アマゾン』。
試写会場は家の近く。でもたしか、雪組千秋楽の日だったんだよねー。ムラで『スサノオ』観たあとに、あわてて大阪の自宅まで帰り、自転車にまたがったっけ。ぎりぎりだったわ。
監督ピーター・バーグ、出演ザ・ロック、ショーン・ウィリアム・スコット、クリストファー・ウォーケン。
賞金稼ぎのベック@ザ・ロックは、依頼を受けてトラビス@ショーン・ウィリアム・スコットを探しにジャングルへやってきた。
トラビスはジャングルに眠る秘宝を探しているトレジャーハンター。秘宝を狙うのはトラビスだけじゃなく、ジャングルの現地人たちを不当に支配している悪人ハッチャー@クリストファー・ウォーケンや、それに対するレジスタンスたちもだった。トラビスを探すベックは、その三つ巴の争いに巻き込まれるが……。
あー……ここまでなにもかも中途半端だと、いっそ愉快かも。
わたしは終始、首をひねっていたよ。
最初はLAで、暗黒街の肉弾戦。なにしろ主役ベックを演じるのはプロレスラーあがりのタフガイだ。やりたいのは男たちをちぎっては投げする巨漢ヒーローのアクションなんだろーなー。なんか意味もなくセンスもなくどったんばったん。
この調子でずっといくのかと思いきや、いきなり舞台はジャングルへ。
あ、あれ?
ジャングルの街では、「えーと、今って21世紀だよね?」と首を傾げるよーなアナクロな世界が展開中。進んだ文化を持った白人たちが現地人たちを奴隷のよーに働かせ、暴力と恐怖で君臨する独裁国家を建設中。
しかもそこで、もうひとりの主要キャラ・トラビスは秘宝探しときたもんだ。
秘宝ってなに? どーゆー文化で、どーゆーことがあってそんなモノが存在して、どーゆー経緯で君はそんなことをしているんだ?
まったくわからないまま、ベックとトラビスはふたりでジャングルの奥地へ。
ベックは依頼されているわけだけだから、トラビスをLAへ連れて帰るのが仕事。トラビスは帰りたくない。いわば敵同士のよーな、殺伐とした関係だが、とりあえず今は手を取り合って進むわけだ。
わたしは「手錠でつながれた刑事と犯人の逃避行」萌えとゆーものを持っている。敵同士なんだけど事情があって仕方なくひとつの目的のために協力し合う、という関係萌えだ。
だからこのベックとトラビスの関係は、萌えの範疇なんだが。
萌えなかった……。
ベックにしろトラビスにしろ、あまりにも魅力に欠ける人物だった。
キャラ立てに失敗した見本のよーなふたりだった。
それぞれ類型的だとはいえ、「売り」を持ったキャラであるというのに、「押し」に欠け、ただのご都合主義キャラで終わってしまっている。
個人的に、彼らのキャラのいちばんの失敗は、愛のなさだと思う。
ベックもトラビスも、言動にあまりにも愛がなかった。誠実さに欠ける、と言ってもいい。
自己中心的である、というより、たんにストーリーの都合上その場しのぎの言動を繰り返す、そーゆー「愛のなさ」であり「不誠実さ」だった。彼らの自己中な言動に意味があればよかったんだけど、どー見ても「だってここはそーした方がなんとなくおもしろいしぃ」「ここでそう言わせないと、話が進まないしぃ」という、制作上の都合が透けて見える。
結果、ふたりの主人公は自己中心的で誠実さに欠け、かといってそれが魅力には繋がらず、場面ごとに別人格のよーな言動を繰り返すキャラとなった。
……ひでえ。
さて、この魅力に欠けるふたりの男は、ジャングルの中でレジスタンスと出会う。リーダーはセクシーでワイルドな美女だ。
なにしろ現地人たちを支配しているハッチャーは、水戸黄門に出てきてもいいくらいのわかりやすい悪党だ。虐げられた現地人を解放するため、レジスタンスの勇気ある若者たちは、今日も正義の戦いを挑む。
そのレジスタンスの若者たちと、ベックは拳で語り合って友情を掴んでしまったりする。……まあ、肉弾戦をやってなんぼの映画だとわかってはいるが、ものすごい強引な展開。
LA暗黒街ではじまった物語はいまや、20世紀の香りのする「我らに独立を!」もの風に変貌。
するかと思いきや、今度は秘宝探検もの風に変貌。ベックとトラビス、そしてレジスタンスの女リーダーは、秘宝探しでGO!
まあジャングルだし秘宝だし、遺跡が出てきて、遺跡ならではの罠なんかが待ち受けていて……インディ・ジョーンズを期待してちょっとわくわくしたら。
あれ? も、もう終わり?
早っ。てゆーかお手軽っ。
見つけた秘宝も脱力風味。ものすげー宝に見えねえ……バックボーンの説明も設定も薄いから……。
んで次はなにがくるかと思えば、街の支配者、悪のハッチャー一味にベックが単身殴り込みときたもんだ。たったひとりで、悪の帝国の本拠地に突撃なのよ。正義のために。
えーと、そんな話だっけ、コレ……。
たぶん物語中、いちばんの見せ場になる1対100くらいの大決闘なんだけど、これがまた、盛り上がらない……。
ベックのいいところは、その巨体でもって素手で戦うことだったんだか、さすがに素手では無理なんで、ついに銃を使うのねー。
無理なのはわかるけど、ここで銃を使っちゃったら、ベックというキャラの意味が崩壊するんだけどなー。あーもー、なにがやりたかったんだか。
アクションものであり、ジャングルという治外法権で絶対悪の帝国との対決であり、秘宝探検ものであり……と、ものすっげー盛りだくさんなんだけど、見事にすべて空回り。
ここまで中途半端だと、かえって愉快かもしれない。
まあ、とりあえずわたしは。
トラビスを連れて帰れとベックに命令したLA暗黒街のボス。トラビスとは親子だと言ってたけど、わたしは最後まで信じてなかった。
息子? 恋人なんじゃないの?
息子を連れ戻すために、という設定はなんかものすげー嘘くさかったからさ。
ま、それくらい妄想して見なきゃ、やってられないよーな作品でした(笑)。
でも、これもまた、出会いのひとつ。
試写会あったら、誘って下さい。なんでも見ます(はぁと)。
誘われれば大抵なんでも見ます。
交通費その他もろもろを考えれば、ふつーに映画館で見た方が快適で安い場合も多いけど、それでも試写会に誘われるとよろこんで行きます。
出会いだと思っているから。
自分で選んでお金を出すならば、絶対に選ばない、そもそも選択肢にのぼらないよーなものに出会える可能性があるから。
自分で選ばないような映画だから、まあおおむねハズレなんだけど、たまに愉快なモノに出会えたりもする。
福袋が好きなわたしとしては、そーゆーサプライズをたのしみたいんだ。
つーことで、誘われるままに出かけていった試写会、『ランダウン ロッキング・ザ・アマゾン』。
試写会場は家の近く。でもたしか、雪組千秋楽の日だったんだよねー。ムラで『スサノオ』観たあとに、あわてて大阪の自宅まで帰り、自転車にまたがったっけ。ぎりぎりだったわ。
監督ピーター・バーグ、出演ザ・ロック、ショーン・ウィリアム・スコット、クリストファー・ウォーケン。
賞金稼ぎのベック@ザ・ロックは、依頼を受けてトラビス@ショーン・ウィリアム・スコットを探しにジャングルへやってきた。
トラビスはジャングルに眠る秘宝を探しているトレジャーハンター。秘宝を狙うのはトラビスだけじゃなく、ジャングルの現地人たちを不当に支配している悪人ハッチャー@クリストファー・ウォーケンや、それに対するレジスタンスたちもだった。トラビスを探すベックは、その三つ巴の争いに巻き込まれるが……。
あー……ここまでなにもかも中途半端だと、いっそ愉快かも。
わたしは終始、首をひねっていたよ。
最初はLAで、暗黒街の肉弾戦。なにしろ主役ベックを演じるのはプロレスラーあがりのタフガイだ。やりたいのは男たちをちぎっては投げする巨漢ヒーローのアクションなんだろーなー。なんか意味もなくセンスもなくどったんばったん。
この調子でずっといくのかと思いきや、いきなり舞台はジャングルへ。
あ、あれ?
ジャングルの街では、「えーと、今って21世紀だよね?」と首を傾げるよーなアナクロな世界が展開中。進んだ文化を持った白人たちが現地人たちを奴隷のよーに働かせ、暴力と恐怖で君臨する独裁国家を建設中。
しかもそこで、もうひとりの主要キャラ・トラビスは秘宝探しときたもんだ。
秘宝ってなに? どーゆー文化で、どーゆーことがあってそんなモノが存在して、どーゆー経緯で君はそんなことをしているんだ?
まったくわからないまま、ベックとトラビスはふたりでジャングルの奥地へ。
ベックは依頼されているわけだけだから、トラビスをLAへ連れて帰るのが仕事。トラビスは帰りたくない。いわば敵同士のよーな、殺伐とした関係だが、とりあえず今は手を取り合って進むわけだ。
わたしは「手錠でつながれた刑事と犯人の逃避行」萌えとゆーものを持っている。敵同士なんだけど事情があって仕方なくひとつの目的のために協力し合う、という関係萌えだ。
だからこのベックとトラビスの関係は、萌えの範疇なんだが。
萌えなかった……。
ベックにしろトラビスにしろ、あまりにも魅力に欠ける人物だった。
キャラ立てに失敗した見本のよーなふたりだった。
それぞれ類型的だとはいえ、「売り」を持ったキャラであるというのに、「押し」に欠け、ただのご都合主義キャラで終わってしまっている。
個人的に、彼らのキャラのいちばんの失敗は、愛のなさだと思う。
ベックもトラビスも、言動にあまりにも愛がなかった。誠実さに欠ける、と言ってもいい。
自己中心的である、というより、たんにストーリーの都合上その場しのぎの言動を繰り返す、そーゆー「愛のなさ」であり「不誠実さ」だった。彼らの自己中な言動に意味があればよかったんだけど、どー見ても「だってここはそーした方がなんとなくおもしろいしぃ」「ここでそう言わせないと、話が進まないしぃ」という、制作上の都合が透けて見える。
結果、ふたりの主人公は自己中心的で誠実さに欠け、かといってそれが魅力には繋がらず、場面ごとに別人格のよーな言動を繰り返すキャラとなった。
……ひでえ。
さて、この魅力に欠けるふたりの男は、ジャングルの中でレジスタンスと出会う。リーダーはセクシーでワイルドな美女だ。
なにしろ現地人たちを支配しているハッチャーは、水戸黄門に出てきてもいいくらいのわかりやすい悪党だ。虐げられた現地人を解放するため、レジスタンスの勇気ある若者たちは、今日も正義の戦いを挑む。
そのレジスタンスの若者たちと、ベックは拳で語り合って友情を掴んでしまったりする。……まあ、肉弾戦をやってなんぼの映画だとわかってはいるが、ものすごい強引な展開。
LA暗黒街ではじまった物語はいまや、20世紀の香りのする「我らに独立を!」もの風に変貌。
するかと思いきや、今度は秘宝探検もの風に変貌。ベックとトラビス、そしてレジスタンスの女リーダーは、秘宝探しでGO!
まあジャングルだし秘宝だし、遺跡が出てきて、遺跡ならではの罠なんかが待ち受けていて……インディ・ジョーンズを期待してちょっとわくわくしたら。
あれ? も、もう終わり?
早っ。てゆーかお手軽っ。
見つけた秘宝も脱力風味。ものすげー宝に見えねえ……バックボーンの説明も設定も薄いから……。
んで次はなにがくるかと思えば、街の支配者、悪のハッチャー一味にベックが単身殴り込みときたもんだ。たったひとりで、悪の帝国の本拠地に突撃なのよ。正義のために。
えーと、そんな話だっけ、コレ……。
たぶん物語中、いちばんの見せ場になる1対100くらいの大決闘なんだけど、これがまた、盛り上がらない……。
ベックのいいところは、その巨体でもって素手で戦うことだったんだか、さすがに素手では無理なんで、ついに銃を使うのねー。
無理なのはわかるけど、ここで銃を使っちゃったら、ベックというキャラの意味が崩壊するんだけどなー。あーもー、なにがやりたかったんだか。
アクションものであり、ジャングルという治外法権で絶対悪の帝国との対決であり、秘宝探検ものであり……と、ものすっげー盛りだくさんなんだけど、見事にすべて空回り。
ここまで中途半端だと、かえって愉快かもしれない。
まあ、とりあえずわたしは。
トラビスを連れて帰れとベックに命令したLA暗黒街のボス。トラビスとは親子だと言ってたけど、わたしは最後まで信じてなかった。
息子? 恋人なんじゃないの?
息子を連れ戻すために、という設定はなんかものすげー嘘くさかったからさ。
ま、それくらい妄想して見なきゃ、やってられないよーな作品でした(笑)。
でも、これもまた、出会いのひとつ。
試写会あったら、誘って下さい。なんでも見ます(はぁと)。
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