スパークヒップス公演『暴力と夜、雨の中で』初日観劇。

 あらすじを説明する気はないので、興味のある方は公式HPを見てください。よろしくです。

 
 なんつーかわたしは、ちと悩みをかかえておりまして。
 それはもう、わたしという人間の根元に関することなので、出口なんてもんははなからないので、悩むために悩んでいるよーなもんですな。
 わたしが特別ナイ〜〜ヴなわけではなく、きっとすべての人たちが、なにかしら自己の根元的なことで日々悩んでいるんだろうから、わたしだけ深刻ぶっても仕方ないよな、というよーな、ある意味達観した部分もあって。
 まあとにかくわたしは、けっこうドロドロな状態で、劇場に行きました。

 舞台は大変身。数日前に、『マルゴ』を上演していたとは思えないデコラティヴっちゅーか、愉快な造形。
 わたしはあらゆるものに不勉強で、予備知識ナシでたのしむことをモットーとしているので、舞台美術についての知識ももちろんありません。
 そんなわたしにとっても、愉快な舞台装置でした。
 劇場に入るなり、高まる異世界感。
 ここにいるわたしは、たしかにわたしでありながら、現実のわたしではないような。
 テーマパークのアトラクションに入ったときみたい。実際、そんなセットだし。
 非現実で美しい、森の中。

 そこではじまる、ソウルフルな演奏。
 『左眼の恋』や『人魚姫』と同じ、贅沢な生演奏。しかもヴォーカル増えてるし。
 BGMというくくりに収まりきらない、たしかな出演者のひとりである演奏者のみなさんが、上演に先立ってびしばし聴かせてくれる。
 劇場の椅子に坐っている、こちら側にいるわたしを、あの鬱蒼とした森の中へ連れて行くんだ。

 ひとさらいめ。

 わたしはさらわれて、森の中。
 わたしは悩んでいて、わけもなくかなしくて、くるしくて、生きているのがつらい。
 わたしはオタクでたのしいことをいっぱい知っていて、好きなモノや人がいっぱいで、毎日たのしくしあわせに生きているけれど、それとは別に、くるしくてつらい。
 ま、そんな平凡なわたしは、森の中で美しい絶望に出会う。

 うつくしかったんだ。

 『暴力と夜、雨の中で』っちゅー芝居は。

 わたしはアタマがよくないので(てゆーか、かなり悪い方だろ)、わかんないことてんこ盛りっちゅーか、あーこれは考えるより感じた方がいい芝居だとわかった時点でのーみそ手放してぼーっと眺めていたんだが。

 うつくしかった。

 こんなに美しい舞台を観るのは、ひさしぶりだ。
 役者個人の美醜ではなく、個々の美術や衣装じゃなく。

 わたしは「ことば」というものに関心があるし、こだわりもある。
 物語をたのしむときは、「ことば」にまず注目し、それによって読み解く。

 だからこそ、「ことば」の届かない部分にある作品には、憧憬と嫉妬を感じるんだ。

 わたしには、どーすることもできない次元にあるからだ。

 いっそ「ことば」とは関係ないジャンルにあるなら、接点のなさゆえに無関心でいられるんだけどね。
 この芝居はまがりなりにも「ことば」も手段のひとつとして使っているので、いろいろ引っかかるなあ。
 くそー、引っかかるぞー。

 
 好きかキライかでいうなら、この芝居はキライです(笑)。
 てゆーか、わたしのジャンルじゃない。
 わたしは必要としない。
 オギー作品でなかったら、出会わなくてもかまわなかったよ。

 わたしは、徹底的にエンタメ志向なんだ。
 エンタメ性を廃したものは、はじめから畑ちがい、興味なし。
 だから『ゼルダ』『マルゴ』までならぎりぎりOKだけど、『暴力』まで行くと範囲外。

 範囲外だから、わたしはこの芝居を理解するに至らない。すまん、アタマ悪いんだ。

 理解することなく、わたしは勝手にこの芝居の中で迷う。
 だって、さらわれて来ちゃったんだもん。

 わたしは森の中。
 現実でありながら、現実ではない空間で、ひとり放り出されている感じ。

 わたしは、悩んでいた。
 答えははじめからわかっていて、出口なんかはじめからなくて、それでも悩むために悩んでいた。
 答えははじめからわかっていて、道はひとつしかなくて、それでも悩むために悩んでいた。

 降り続ける雨のなかで。

 
 わたしは、背中を押される。

 わかった、行くよ。
 アタマ悪いから、理解なんかしてないけどな。
 でも、森の中で背中を押されてしまったの。
 行くよ。
 
 
 芝居を観ながら、だーだー泣きながら、わたしは勝手にひとりで思う。
 わかった、行くよ。

 いま、わたしがここにいること、それが、意味なんだと思ったから。

 
 …………えー、大変抽象的っちゅーか、ひとりよがりの文章なので、きっとわけわかんないと思いますが、自分のために書いておく。

 あの暗く美しい森で、雨の音を聴きながら、わたしは決めたんだ。
 とりあえず、すすむことを。

 忘れるな、わたし。
 わたしは、自分で決めたんだ。

  
 ところで。
 あいっかわらずスパークヒップス公演、寝転がりまくり!!

 寝転がってもかまわないから、それならそれが見える劇場で上演してよ。
 出演者が寝転がるたび、視界から消失。1列目の人以外、見えない芝居。

 幸いわたしとツレのオレンジは2列目で、前列は何故か空席だったので、ほとんどの場合も見ることができたんだが、わたしたちより後ろの人はなにも見えなかったろうなと思う。

 
 でもって。
 ある意味、わたしにとって芝居よりも心を乱してくれた出来事がありやした。

 客席に、Myダーリンがっっ。

 わわわわわ、ななめ後ろにケロちゃん坐ってますよーーっっ。わーん。
 ななめ後ろっすよ、首を動かせば、顔が見えるんすよ。

 心臓ばくばく(笑)。

 一緒にいるのがヅカに興味のないオレンジだったので、盛り上がることはできなかったのですが。
「いちばん好きな人が、後ろにっ!」
 とだけささやいて、わたしは気もそぞろ。
 水曜日だからジェンヌさんと会えるかも♪とは思ってたんだけどな。それにしても、本命様単体で遭遇だなんて、祝福のベルが鳴り響いているわ。

 わたしの背中を押したのは、ケロちゃんでもあるよ。もー。今、ここで会えるなんて。

 今までも他の劇場でジェンヌさんとはよく遭遇するけれど、大抵彼らは複数で行動していて、芝居が終われば速攻消えていく。
 なのに何故なのケロちゃん。
 なんでひとりなの?
 つれもおつきの人もなしなの?
 しかも。
 なんで、舞台終わったあと、ふつーにロビーにいるの?
 速攻消えないの?
 帽子もサングラスもなし、素顔まんまで携帯電話出して、メール打ってるの?
 む、無防備すぎ。
 
 ヅカファンの常識も美徳かなぐり捨てて、突撃かましたいくらい、あったりまえに生ケロちゃんが横にいました……くらくら。

 ああ、小さい……ああ、細い……ああ、そのみょーちくりんな服はなんなの……(笑)。

 もちろん、好きな人の迷惑になどなりたくないので、自制心総動員して早々にその場を去りましたとも。

 ああ、思いがけないMyダーリン遭遇。
 しかも単体、しかも至近距離、しかも長時間。

 なんて幸福なんでしょう、わたし。
 …………舞い上がっていたわたしは、折りたたみ傘のカバーをブディストホール周辺で紛失した模様。がっくり。
<…

コメント

日記内を検索