『街』が終わったので、とーぜん次のゲームがプレイしたくなる。

「ねーねー、『九怨』買ってよー、『九怨』〜」

 わたしはいつものよーに弟にねだる。
 ゲームを買うのは弟の役目。わたしは借りてプレイするだけの人間。

「『九怨』はまだ高い。5000円もする」
「いいじゃん、買ってよー」
「『静岡4』の発売日も近づいてるなあ」
「『静岡』! そーだ、『静岡4』もやらなきゃ。今から『九怨』をプレイしたら、ちょーど『静岡4』の発売日に間に合うぞっ。『九怨』が終わったころに『静岡4』の発売日になるぞ」
「『4』の前に、『3』だろ……」
「はっ、そーか。まだ『静岡3』やってなかったっけ。んじゃ、『静岡3』買ってよー」
「『3』の前に、マリア編だろ……」
「あ。……そうか、忘れてた」

 『静岡』こと、『サイレントヒル2』。
 わたしまだ、エンディング2つしか見てないのだわ。『1』は全エンディング網羅したのに。

「そーゆーアンタは、どーなったのよ、『静岡2』。たしか、自殺ENDしか見てなかったよね?」

 わたしはそれでも、主人公が生還するエンディングと、自殺ENDの両方を見ていたが、弟は自殺ENDだけで投げ出していたはず。

「だから今、病院だよ……」

 彼は今、再度『静岡2』に挑戦中らしい。「サイレントヒルに辿り着くまでに寝そうになった」とか、「アパートがつらかった」とか言いながら、その次のMAPである「病院」にたどりついたらしい。

「病院? ……病院というと、消化器で姉を煙に巻いて、その隙に走り抜けるんだっけ」
「…………ソレ、『SIREN』」
「トイレに隠れるんだよね? 鏡の向こうとこちらで、クリーチャーが“ジョキジョキィ〜♪”って追っかけてくるから」
「…………ソレ、『クロックタワー3』」

 うわーんっ、わかんないよおっ、「病院」が舞台のホラーゲームありすぎ。記憶が混乱しまくってる。

「『静岡2』の病院って……なにするんだっけ?」

 わたしがマジに思い出せなくて訊ねると、弟はにやりと笑って答えた。

「トイレの窓からホースを垂らすんだ」
「…………ソレ、『SIREN』やん」

「鉄パイプで看護婦を殴り殺すんだ」
「ソレ、『静岡1』?」

「医者と求導師がたのしそーに歓談している……」
「ソレ、『SIREN』」

 だめだ。
 『静岡2』の病院がどんなとこだったか、さっぱり思い出せない。
 弟もわざと、他のゲームの病院の話をするし。

「わたしが『静岡2』の病院でおぼえてることって言ったら、マリアがどっかの病室で寝てたことぐらいだよ……」
「そのマリアに会いに行かなきゃなんないんだろ、マリアエンディング見たかったら」
「そう。マリアを大切にしなきゃなんないの」
「チェーンソーで斬っちゃったよ」
「だめじゃん」

「地下にミイラがいるのは……『SIREN』だっけか」
「消化器の使い方はよくわかんないなあ、おねーちゃんは傘で倒しちゃったから」
「だからおねーちゃんは消化器で煙に巻くんだってば! 戦わなくてもいいの。タイミングが難しいの、早すぎても殺されるし、遅すぎても効き目ないし。……傘では犬と戦ったよ。中庭で」
「脳波測定器はダストシュートに」
「落とす順番をまちがえないこと」
「缶ジュースもダストシュートな」
「缶ジュース!! 缶ジュースである必要なし!」
「脳波測定器も、脳波測定器である必要なかったさ」
「重ければそれでいいなんて……そんなアバウトな……」
「魚は0で天秤は2」
「うおおお、アバウトなんじゃー、そんな謎アバウトすぎなんじゃーっ」

 いろんなゲームの話がごっちゃになって、なにがなんやら。

 
 それでも、とりあえず。

 『静岡3』以降がやりたいです、『九怨』がやりたいです。
 弟よ、早く買ってくれ。

 あ。その前に「マリア編」か。(また忘れていた)

       

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