わたしが以前買った「ビッグイシュー」に、メグ・ライアンのインタビューが載っていたので。
 見ることに決めていました、『イン・ザ・カット』
 監督・脚本ジェーン・カンピオン、出演メグ・ライアン、マーク・ラファロ、ケヴィン・ベーコン。

 大学講師フラニー@メグ・ライアンの住居のそばで、猟奇殺人事件が起きた。フラニーはその事件の聞き込みにやってきた刑事マロイ@マーク・ラファロに惹かれるが、彼への不信感もぬぐえない。フラニーが目撃した犯人と、マロイは同じタトゥをしているのだ……。

 えーと。
 とりあえず、メグ・ライアンがメグ・ライアンらしくありません。それが彼女の目的だったんだろうけど。とりあえず、ラブコメの女王らしからぬ役であり、演技です。

 しかしなあ。
 どーなんだろうなあ、コレ。

 監督が男性なら、「またまた男が勝手に都合のいい女を描いてるよ」で済むんだが……監督、女性なんだよね。
 女が描いて、コレか……。

 というのも、物足りなかったのだわ。
 すごーく。

 描いてあるのは、「女の性」。
 過激なセックス描写、オナニーシーン、猟奇殺人、血と暴力。

 しかし、生ぬるい。
 女の赤裸々な性ってのは、欲望ってのは、こんなもんか? チガウだろ?
 もっとどろどろしてていいと思うんだけどなあ。
 すげえ半端なので、男が想像して描いたえっちな女、みたいだ。

 フラニーがマロイに興味を持ったのって、「バーで女にしゃぶらせるような男」だからでしょ?
 そこをもっと、突き詰めて描いてほしかったなあ。エロい男に惹かれる、お堅い女教師。いいじゃん! それを女性の感性で描ききってくれたら、気持ちのいい作品になったと思うんだ。
 彼に対する不安と疑いと、それでもいったんついた官能の火は消せないわ的な内面を、じーっくりねーっとり容赦なく、描いてほしかった。

 でも結果は、フラニーにまったく感情移入できないまま終わった……。

 
 惜しいなぁ。
 同じプロットで、わたしならもっとこうするのに、が山ほどあった。
 心理描写することで、補完したいことばかり積もったので、小説向きの題材なのかもな。あ、原作が小説だってのは置いておいて。

 とりあえず、事件サスペンスと女の性モノ、両方やろうとしたのがまずかったのかも?
 どっちかにしておけば、まだなんとかなったのかもなー。しかし、事件モノとするには、メリハリに欠けるから、やっぱ女モノに焦点絞って、事件はスパイス程度にしておくべきだったのでは?
 ……まあ、わたしがたんに、ねっとりした女の性モノを見たかっただけかもしれんが(笑)。

 
 あ、映像はきれいだった。
 最初から最後まで、「赤」の使い方がいい。
 花の赤、服の赤、血の赤。
 ヒロインはわりと地味めの色ばかり着ているんだが、最後によーやく「赤いドレス」を着るのさ……そしてそのドレスは、もうひとつの赤に濡れるのさ……。
 この色の使い方は、好き。

 あと、最後の最後に流れる歌も。
 ブラックでイイ(笑)。
    
   

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