だから、鍵はかけてよね、パパ。
2004年2月19日 家族 わたしは、通帳を盗まれたことがあります。キャッシュカードごと。
しかし、警察は取り合ってくれませんでした。
「事件にするのはめんどくせー」
という態度で追い払われました。
というのも、実質的な被害がなかったせい。
わたしは迂闊なことに、通帳とカードの入ったポシェットを、玄関口に置きっぱなしにしていた。
玄関には必ず鍵をかけているので、危機感がなかった。
しかし。
そのポシェットを開けてみたら、たしかに入れていたはずの通帳も、それと一緒にしていたカード類も全部なくなっている。
反対に言えば、なくなっているのは、通帳とカード類だけ。その他のものは全部そろっていた。
なんで? わたしは通帳とカードだけよそへやったりとか、してないよ?
わたしの家に毎日出入りしている家族に聞く。
「ねえ、わたしのポシェット、触った?」
通帳の扱いが悪い、って気を利かせてどこかに片付けてくれたとか?
しかし家族は全員「触っていない」と言う。
そうこうしているうちに、警察から連絡が入った。
「あなたの通帳が落とし物として届いています」
落ちていた場所は、わたしの家の近所の路上だった。
通帳とカード類がむきだしで放置されていたらしい。
そこではじめてわたしは、盗難に遭っていたことを知った。
ポシェットの中身が、「通帳とカードだけ選んで」路上に落ちるわけないじゃん。落ちるなら全部落ちるだろう。
わたしは玄関の鍵を必ずかける。
これはもう習慣だ。
無意識の域に達している。
しかし、鍵をかけないヤツがいる。
父だ。
父はわたしの家にやってきたとき、鍵をかけない。
もともと我が家では、「鍵をかける」という習慣がなかった。大阪の下町、人情命の場所だからな。出かけるときはともかくとして、在宅中は誰が来てもいいように玄関に鍵はかけない。
わたしも祖父母が存命時にはそうしていたさ。近所の人は勝手にドアを開けてあがりこみ、おしゃべりしていったさ。いつでもウェルカム、みんな仲良しだったさ。
しかしそれも今は昔の話。
祖父母は亡くなり、古いびんぼー長屋はどんどん解体され、マンションや新築住宅地になり、街の雰囲気も変わっていった。
もう、鍵をかけずにすむようなところではなくなったさ。時代は変わったのさ。
玄関に鍵をかけなかった最大の理由は、1階に人がいた、てのがある。
1階の仏壇の部屋に、祖父母が暮らしていたからね。玄関が開けば、彼らが気づく。
祖父母亡き今は、1階がただの「倉庫」と化している現状。わたしは2階にこもっているので、1階に誰かがこっそり入り込んでも、気づかない。
だから在宅中も鍵は必ずかけている。
なのに。
父は、鍵をかけない。
わたしの家の2階にあるコピー機を使っている間とか、玄関の鍵は開けたまんま。古いコピー機は大きな音をたてるから、階下の音なんて、聞こえるはずもない。
父はいつもそう。
トイレの電気は消さないし、自分の家の寝室の扉も開けたまま。
使用後は電気を消せ、開けたドアは閉めろ。
いくら言っても、なおらない。
玄関に鍵をかけろ、というのも、わたしが何度言ってもダメ。今も3回に1回は忘れている。
だからまあ、玄関口に置いてあったポシェットを、外部の人間が触る可能性はあったわけだ。
わたしは、これは盗難事件だと思った。
盗まれたんだ。
……わたしが不注意だったせいとはいえ。
しかし、被害はなかった。
犯人の行動をシミュレートしてみよう。
玄関のドアを触ったら、おや、鍵がかかってない。開けたら、無人の部屋が見え、上がり口にはポシェットが置いてある。中を見たら、なんと通帳が。横にはカードもあるぞ。
咄嗟に通帳とカードだけを握って、逃げる。
角をふたつ曲がったところで、盗んで逃げたものを確認してみた。
あれ?
キャッシュカードだと思って掴んできた、カードの束。
テレホンカードにどこかの店のポイントカード……キャッシュカードじゃない!!
とくにこの、某家電量販店のポイントカード! 分厚いプラスチック製で、見た目も質感もキャッシュカードとそっくりだ! なんて紛らわしい!!
キャッシュカードがないんじゃあ、通帳だけあっても意味ないじゃないか! キャッシュカードがあれば、暗証番号にしていそうな電話番号や誕生日くらい誰だって調べられるのに!
つーことで、盗んできたものをその場に捨てる。持っていてもしょうがない。
捨てた通帳がどうなろうと、知ったことか。
……てな流れだったんじゃないか?
通帳の発見場所が、わたしの家から2つめの角を曲がったところ、というのがまた、リアリティ。わたしゃそんなとこは通らない。駅とは反対方向だし。
キャッシュカードも同じポシェットに入れてたんだけどね。それだけは、ファスナーのついた内ポケットに入れていたのよ。
ポシェットを開けて、一見できるところには入れてなかったの。
それでなんとか、最悪の事態は回避できた。
「通帳とカード類」だけ掴んで逃げずに、その場で確認していれば、ちゃんとキャッシュカードも盗めたのにねえ。
出会い頭の事故、ほんの出来心だったんだろうなあ。
てゆーか、一見してキャッシュカードがないと判断していれば、盗みなんかせずに、ポシェットから手を離したかもしれない。
「取ってください」と言わんばかりに置いてあったせいだろうな。
……それって、父のせいもあると思うけど。
わたしが玄関口に貴重品を置いたままにしていたのは、「鍵をかけている」という前提の上でよ。鍵を開けたままにしているバカがいることは、計算に入ってないわ。
通帳を受け取りに警察に行ったときに、「これはわたしが落としたモノじゃない、盗まれたモノだ」と主張したんだけど、警察は取り合ってくれなかった。
被害がないのに、わざわざ話をややこしくするな。……そーゆー感じだった。
そしてわたしは、
「アンタがうっかりして落としたんだ」
と、警察の人に言いくるめられました。
記憶の改竄をやんわりと、だが確実に強要された。やれやれ。
さあ、この「九死に一生を得た」通帳。
じつは印鑑を紛失して長い。
今日よーやく新しい印鑑を買ったので、届けを出さなきゃなー。
心機一転だ。
しかし、警察は取り合ってくれませんでした。
「事件にするのはめんどくせー」
という態度で追い払われました。
というのも、実質的な被害がなかったせい。
わたしは迂闊なことに、通帳とカードの入ったポシェットを、玄関口に置きっぱなしにしていた。
玄関には必ず鍵をかけているので、危機感がなかった。
しかし。
そのポシェットを開けてみたら、たしかに入れていたはずの通帳も、それと一緒にしていたカード類も全部なくなっている。
反対に言えば、なくなっているのは、通帳とカード類だけ。その他のものは全部そろっていた。
なんで? わたしは通帳とカードだけよそへやったりとか、してないよ?
わたしの家に毎日出入りしている家族に聞く。
「ねえ、わたしのポシェット、触った?」
通帳の扱いが悪い、って気を利かせてどこかに片付けてくれたとか?
しかし家族は全員「触っていない」と言う。
そうこうしているうちに、警察から連絡が入った。
「あなたの通帳が落とし物として届いています」
落ちていた場所は、わたしの家の近所の路上だった。
通帳とカード類がむきだしで放置されていたらしい。
そこではじめてわたしは、盗難に遭っていたことを知った。
ポシェットの中身が、「通帳とカードだけ選んで」路上に落ちるわけないじゃん。落ちるなら全部落ちるだろう。
わたしは玄関の鍵を必ずかける。
これはもう習慣だ。
無意識の域に達している。
しかし、鍵をかけないヤツがいる。
父だ。
父はわたしの家にやってきたとき、鍵をかけない。
もともと我が家では、「鍵をかける」という習慣がなかった。大阪の下町、人情命の場所だからな。出かけるときはともかくとして、在宅中は誰が来てもいいように玄関に鍵はかけない。
わたしも祖父母が存命時にはそうしていたさ。近所の人は勝手にドアを開けてあがりこみ、おしゃべりしていったさ。いつでもウェルカム、みんな仲良しだったさ。
しかしそれも今は昔の話。
祖父母は亡くなり、古いびんぼー長屋はどんどん解体され、マンションや新築住宅地になり、街の雰囲気も変わっていった。
もう、鍵をかけずにすむようなところではなくなったさ。時代は変わったのさ。
玄関に鍵をかけなかった最大の理由は、1階に人がいた、てのがある。
1階の仏壇の部屋に、祖父母が暮らしていたからね。玄関が開けば、彼らが気づく。
祖父母亡き今は、1階がただの「倉庫」と化している現状。わたしは2階にこもっているので、1階に誰かがこっそり入り込んでも、気づかない。
だから在宅中も鍵は必ずかけている。
なのに。
父は、鍵をかけない。
わたしの家の2階にあるコピー機を使っている間とか、玄関の鍵は開けたまんま。古いコピー機は大きな音をたてるから、階下の音なんて、聞こえるはずもない。
父はいつもそう。
トイレの電気は消さないし、自分の家の寝室の扉も開けたまま。
使用後は電気を消せ、開けたドアは閉めろ。
いくら言っても、なおらない。
玄関に鍵をかけろ、というのも、わたしが何度言ってもダメ。今も3回に1回は忘れている。
だからまあ、玄関口に置いてあったポシェットを、外部の人間が触る可能性はあったわけだ。
わたしは、これは盗難事件だと思った。
盗まれたんだ。
……わたしが不注意だったせいとはいえ。
しかし、被害はなかった。
犯人の行動をシミュレートしてみよう。
玄関のドアを触ったら、おや、鍵がかかってない。開けたら、無人の部屋が見え、上がり口にはポシェットが置いてある。中を見たら、なんと通帳が。横にはカードもあるぞ。
咄嗟に通帳とカードだけを握って、逃げる。
角をふたつ曲がったところで、盗んで逃げたものを確認してみた。
あれ?
キャッシュカードだと思って掴んできた、カードの束。
テレホンカードにどこかの店のポイントカード……キャッシュカードじゃない!!
とくにこの、某家電量販店のポイントカード! 分厚いプラスチック製で、見た目も質感もキャッシュカードとそっくりだ! なんて紛らわしい!!
キャッシュカードがないんじゃあ、通帳だけあっても意味ないじゃないか! キャッシュカードがあれば、暗証番号にしていそうな電話番号や誕生日くらい誰だって調べられるのに!
つーことで、盗んできたものをその場に捨てる。持っていてもしょうがない。
捨てた通帳がどうなろうと、知ったことか。
……てな流れだったんじゃないか?
通帳の発見場所が、わたしの家から2つめの角を曲がったところ、というのがまた、リアリティ。わたしゃそんなとこは通らない。駅とは反対方向だし。
キャッシュカードも同じポシェットに入れてたんだけどね。それだけは、ファスナーのついた内ポケットに入れていたのよ。
ポシェットを開けて、一見できるところには入れてなかったの。
それでなんとか、最悪の事態は回避できた。
「通帳とカード類」だけ掴んで逃げずに、その場で確認していれば、ちゃんとキャッシュカードも盗めたのにねえ。
出会い頭の事故、ほんの出来心だったんだろうなあ。
てゆーか、一見してキャッシュカードがないと判断していれば、盗みなんかせずに、ポシェットから手を離したかもしれない。
「取ってください」と言わんばかりに置いてあったせいだろうな。
……それって、父のせいもあると思うけど。
わたしが玄関口に貴重品を置いたままにしていたのは、「鍵をかけている」という前提の上でよ。鍵を開けたままにしているバカがいることは、計算に入ってないわ。
通帳を受け取りに警察に行ったときに、「これはわたしが落としたモノじゃない、盗まれたモノだ」と主張したんだけど、警察は取り合ってくれなかった。
被害がないのに、わざわざ話をややこしくするな。……そーゆー感じだった。
そしてわたしは、
「アンタがうっかりして落としたんだ」
と、警察の人に言いくるめられました。
記憶の改竄をやんわりと、だが確実に強要された。やれやれ。
さあ、この「九死に一生を得た」通帳。
じつは印鑑を紛失して長い。
今日よーやく新しい印鑑を買ったので、届けを出さなきゃなー。
心機一転だ。
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