「トウコちゃんのおヒゲを観に行こう!」

 ってことで、1泊2日の東京。
 どーせ観に行くなら千秋楽よね、ってことで、千秋楽観劇。

 宙組公演『白昼の稲妻』『テンプテーション!』

 作品については、語る気ナシ。大劇版を語ったのでもうおなかいっぱい。
 なんつーかもー、眠い芝居です……。
 ショーはふつーです……。

 目的はなんといっても、トウコちゃん。
 おヒゲの侯爵ランブルーズ。
 トウコちゃんが、おヒゲ。
 あのトウコちゃんが、ヒゲの悪役!!

 世間様で騒がれ、危惧されているほど、心配はしていませんでした。
 だってトウコちゃんってもともと、立役系の人だと思っていたので。黒い役、濃い役、オヤジ役のできる人。
 下級生のころは、そうだったよ?
 小柄なのと美貌が災いして、いつのころからか少年専科になり、星組に行ってからは総受役者として開花しちゃったけど。
 もともとオヤジくさい人じゃん。雪組で下級生やってたころは、くどくてうまい、脇のオヤジを演じられるタイプの人だったよ?
 わたしが最初にトウコちゃんに注目したのはなんといってもその、濃い顔。「松村雄基に似てる……」だったし、友人のBe-Puちゃんがトウコちゃんに注目したきっかけは「てっぺいちゃんに似てる……」だったんだから。(注・てっぺいちゃん、つーのは、カールスモーキー石井氏のことです)

 ああ、トウコちゃん。
 あなたほど遍歴を重ねた人はめずらしいよね……。
 松村雄基だのカールスモーキー石井だのという、くどくて男っぽい顔のおっさんだったのに、ちょっと目を離した隙に美少年専科になり、よーやく本来の立役がつくくらいの学年になったと思ったら星組に組替えになって、総受姫になっちゃって……。
 体格と芸風がマッチしていなかったための回り道よね。
 体格は少年、しかし芸風はこってり大人の男。若かったからくどい顔立ちや芸風は封印して、少年役ばかり割り振られる。少年役でハマったファンたちは、もちろん彼女に少年役を求める。
 年齢を重ね、よーやく大人の男を割り振られる学年になったというのに、ファンも劇団も「少年役者」のイメージを引きずりつづける。トウコ=美少年。もしくは、繊細な青年。
 ……そもそも、オヤジ系の人だったのに。攻男だったのに。アイドル系の「華」を持ち合わせていないのも当然よ、だってオヤジ系役者だったんだから。なのに、後付けでいろいろ変わっていっちゃって……。
 年月と経験は、彼女を立派な美青年(少年)役者、総受姫に育て上げた。

 それがよかったのか、わるかったのか。

 わたしは大昔の、攻でオヤジなトウコちゃんも好きだったからさ。
 今の可憐な受姫ぶりも愛してはいるけれど、ちと複雑だったりもする。

 それをしみじみと感じさせる、ヒゲ侯爵ぶりだったんだわ。

 いやあ、濃い。

 薄い芸風の宙組の皆さんの間で、ランブルーズ@トウコはひとりで、濃い。
 ビジュアルOK、かっこよくも美しいエロオヤジぶり。ええ、ええ、昔取った杵柄よね、そもそもはこーゆー芸風の人だったわね。雪組にはチャルさんという、濃くてかっこいいエロオヤジの大先輩がいたものね。

 そして、そのうえで見える歳月。

 ランブルーズ侯爵。
 アンタ、悪役でしょう? 冷酷なスケベオヤジよね?

 なのにどーして、そんなに瞳うるうるしてるのっ?!(笑)

 悪巧みしていても、うるうる。
 冷酷なときでも、うるうる。
 余裕かましているときでも、うるうる。

 なんでそんなに、瞳揺らしまくるの?

 受ですか。
 ヒゲでもオヤジでも、やっぱりアナタ、総受なんですか。

 ああ、トウコちゃん……。
 どこまでもハズさない人だ……。

 水くんの役にスライドしたもんだから、あまりの歌の少なさにおどろいた。
 そっか、水くんがやってた役だもん、歌は少ないよねえ。それでも、その少ない歌で椅子から転げ落ちそうになっていたわけだけど。
 せっかくトウコちゃんなんだから、もっと歌ってほしかったよ。芝居のプロローグとかさ、「なんでそこで歌わないのっ?!」と歯がみしたもんよ。……水くんの場合、歌わなくてほっとしたのに……(水しぇんは歌わない方が、より男前・笑)。

 ショーでも、やはり異彩を放ってたなあ……。
 小さいのも、スタイルの悪さがキビシイのも、わかっていたことだからどーでもいいんだが、それ以外でもあそこまで「異分子」なのはびっくり。

 濃い……。

 ひとりだけ、濃いわ……。

 千秋楽のご挨拶で、組長さんがトウコのことを紹介したとき、たかこがそりゃーもーうれしそーにトウコを振り返って笑っていたのが、印象深いです。

 なつかしいよなあ。
 『嵐が丘』以来なのか、このふたりがトップと2番手なのって。
 あれから何年経ってんだ……?
 なのにまだ、たかこはトップやってて、トウコはトップになれてないんだ……。なんか、人生山あり谷ありだよなあ。

 『嵐が丘』……いろいろ文句はあったが、それでも好きだったよ、あの作品。
 痛いものを含んだ、きつい芝居だった。
 たかこが入り込んでいて、激しく熱いヒースクリフだったよ……カーテンコールのときまで、眼をぎらぎらさせて笑顔ひとつない、こわい姿だった。
 狂言回しのゆみこちゃんの実力と美貌に脱帽し、トウコの出番の少なさに肩を落とし、そーいやたしか、坂本九氏の娘さんのエラの立派さに愕然としたっけな。

 たかちゃん……あのころの熱さは、どこいっちゃったのかなあ……遠い目。

 とまあ、とてもたのしみましたわ、宙組公演。
 いろんな意味で。

 

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