父のセクハラ。

2004年1月25日 家族
 うちの父は、うちの猫にめろめろ。
 されど、うちの猫は父が嫌い。

 今日もまた、父はいやがる猫を抱きしめては猫パンチをくらっていた。
 キックではない。パンチだ。
 前足で叩くのだ。
 右利きらしい。猫のパンチは、いつも右前足。

 猫の気持ちもわかる。
 脂ぎったおっさんに抱きしめられたら、そりゃ嫌だろう。うちの猫はオスだしな。

「パパ、それってセクハラだよ」

 と、つねづね言っているんだが、改める気はまったくないらしい。

 猫は、外出するときは必ずわたしの肩に乗る。
 肩に乗せて、親の家に行くと、まず父がよろこんで寄ってくる。目尻を下げて、猫の名前を猫なで声で連呼する。

 だから猫は、わたしの肩の上。
 だから父は、わたしの肩のすぐそばに顔を寄せる。

「パパ、おなか。おなか当たってる!!」

 なにがいやかって、あーた。
 父の腹が、わたしの背中に当たるんですよ!! 腹が出てるもんだから、他の部分が触れなくても、腹だけは当たってしまうのよ!
 想像してみてよ、あなたの「父親」の腹が背中に当たる感触を!!

 うっきゃ〜〜っ。
 気持ち悪い〜〜っっ!

 しかし父はわたしの悲鳴なんぞ無視して、猫なで声で猫を呼びつづける。

 耳元で連発される、ちゅっ、ちゅっ、という音。

 なにがいやかって、あーた。
 父のチューの音が、わたしの耳元でするんですよ!! 

 想像してみてよ、あなたの「父親」のチューを!!

 おぞぞぞぞっ。 鳥肌。

 もちろん猫も心底嫌がって、必死の形相で顔を背けています。わたしの肩の上で、不自由そうに身をよじっています。

「パパ、それってセクハラだよ」

 愛に夢中な姿は、こうも滑稽に映るのです。溜息。

 

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