すずみんのウインク。@永遠の祈り
2003年12月23日 タカラヅカ「ねえアンヌ、ジェラールがコンスタンと駆け落ちしたって、ほんとう?」
仲良しのジャンヌがそう言った。
わたしは耳を疑った。
コンスタン? コンスタンですって?
そういえば、最近ジェラールはコンスタンと親密だった。ふたりで額をつきあわせるようにして話していたし、人目を気にするかのように隠れて会っているようだった。
「あなたとジェラール、うまくいってたんじゃないの?」
「も、もちろん、いつだってラヴラヴよ。彼がコンスタンと駆け落ちなんて、あるわけないじゃない」
わたしは懸命に笑ってみせる。なんでもないことだと印象づけるために。
「じゃあジェラールは今どこにいるの? 村にいないじゃない。見た人がいるのよ、ジェラールとコンスタンがふたりで手に手を取って村を出て行くところを」
「なにか、用があったのよ。それだけよ」
「だって、相手はあのコンスタンよ? 昔パリでさんざん遊んでいたっていう……」
「コンスタンがどうあれ、そんなことありえないわ」
わたしは叫ぶ。
「だってコンスタンは、男じゃない!」
わたしの許嫁ジェラールが、男と駆け落ちなんて、あるわけない!!
「でも……その男と、駆け落ちしたのよね、ジェラール」
ジャンヌの目には、善良な憐憫が浮かんでいた。
「もう村中の噂よ。ジェラールは村いちばんの美人アンヌを捨てて、遊び人のコンスタンと駆け落ちしたって」
村中の……。
わたしは目眩をおぼえた。
道理で、村人たちの視線がなまぬるかったわけだ。
「アンヌ、あなたのせいじゃないわ。コンスタンがすごかっただけのことよ。みんな噂してるわ。コンスタンは軍隊でものすごーいテクニックをおぼえてきたんだって。純情なジェラールはそれにおぼれてしまったんだろうって。相手が悪かったのよ、犬にかまれたと思って、忘れた方がいいわ!!」
やさしいジャンヌは必死になぐさめてくれる。
その気持ちはうれしい。
うれしいけれど……。
椅子によりかかりながらわたしは、心に誓っていた。
ジェラールを、ぜーーーーったいに、取り返してやるっっ!!
このままじゃわたしは身の破滅よ、男に許嫁を取られた娘として、もうお嫁にも行けやしない。
村で生きていくためには、なにがなんでもジェラールを悪の道から更正させるのよ。それしかない。
「わたし、パリへ行くわ」
ジェラールが向かった先はパリだ。以前彼はそんなことを言っていた。
パリへ行って、ジェラールを見つけて、連れて帰る!!
コンスタンになんか、負けるもんですかっ!!
☆
うわわわわわ。
星組DC公演『永遠の祈り』2回目の観劇。今回はWHITEちゃんと一緒。
今回なにがショックだったかって、すずみんよ。
あ、目があった。
と思った次の瞬間、ばちん、とウインクされてしまった……。
2列目ドセンターの出来事です。はい。
ドラマシティはオケボックスと銀橋がないぶん、大劇より舞台が近いです。そして、ステージが低い分、バウよりも舞台が近いです。
2列目は、ほんとーに舞台のすぐ近くでした。
出演者が手の届きそーな間際にいました。
しかし。
びびびびっくりしたっ。
すずみんにウインクされちゃったー。
すずみんはフィナーレでいつもノリノリだけど、客と目があったらウインクするんだ……さすがスターだわ……。
「へー。すずみんにねー。ふーん。へー。ほー。……で、落ちたの?」
WHITEちゃんは棒読みで聞いてきます。
いや、落ちるもなにも……とにかくびっくりしただけで。
あ、わたし、すずみん好きです。
好きかキライかと聞かれれば、好きです。周囲全員がすずみんに非友好的なので、大きな声では言いにくいですが。
あのノリノリのスターっぷりも、自分を信じて疑っていないキャラクターも、いい味出してると思うんだけどなー。
とにもかくにも、すずみんのウインク。
それだけで、あとの感想が全部吹っ飛んじゃった……。わたしの2列目センターは、すずみんのためにあったのか……。
退屈なプロットの芝居なのでそのまま観るのがつらくて、アンヌ側の立場で考えながら観ていたら、本日の日記の冒頭部分が浮かびました。
許嫁が村で評判の不良と共に消えたら、アンヌの立場ないよなあ。
ロザルジェはコンスタンの賭博仲間で村の人間じゃないから、彼の存在は知られていない。現にジェラールはコンスタンに紹介されるまでその存在を知らなかったわけだし。
村人にとっては、「ジェラールはコンスタンと共に消えた」ということだ。
コンスタンはいちおー色男だし、軍隊経験者だし(笑)、刺激の少ない村人たちは、コレ幸いと噂に花を咲かせることでしょう。
狭い村だもん、そんなことになりゃあもう彼女はそこで生きていけないよなあ。そりゃ、居場所を懸けて、彼女はがんばるしかないよなあ。しみじみ。
コンスタンとジェラールはべつになんでもなかったとわたしも思っているが(村人が買いかぶっているほどの色気はコンスタンにはねえよ)、アンヌは本気でそっちの心配してたりしてな。
ルイ17世を騙ろうとしていることを知って、
「男に許嫁を寝取られた女より、犯罪者の許嫁って方がまだマシよっ、よっしゃあ!!」
と思わなかったとは、誰にも言えないよね?
がんばれアンヌ(笑)。
仲良しのジャンヌがそう言った。
わたしは耳を疑った。
コンスタン? コンスタンですって?
そういえば、最近ジェラールはコンスタンと親密だった。ふたりで額をつきあわせるようにして話していたし、人目を気にするかのように隠れて会っているようだった。
「あなたとジェラール、うまくいってたんじゃないの?」
「も、もちろん、いつだってラヴラヴよ。彼がコンスタンと駆け落ちなんて、あるわけないじゃない」
わたしは懸命に笑ってみせる。なんでもないことだと印象づけるために。
「じゃあジェラールは今どこにいるの? 村にいないじゃない。見た人がいるのよ、ジェラールとコンスタンがふたりで手に手を取って村を出て行くところを」
「なにか、用があったのよ。それだけよ」
「だって、相手はあのコンスタンよ? 昔パリでさんざん遊んでいたっていう……」
「コンスタンがどうあれ、そんなことありえないわ」
わたしは叫ぶ。
「だってコンスタンは、男じゃない!」
わたしの許嫁ジェラールが、男と駆け落ちなんて、あるわけない!!
「でも……その男と、駆け落ちしたのよね、ジェラール」
ジャンヌの目には、善良な憐憫が浮かんでいた。
「もう村中の噂よ。ジェラールは村いちばんの美人アンヌを捨てて、遊び人のコンスタンと駆け落ちしたって」
村中の……。
わたしは目眩をおぼえた。
道理で、村人たちの視線がなまぬるかったわけだ。
「アンヌ、あなたのせいじゃないわ。コンスタンがすごかっただけのことよ。みんな噂してるわ。コンスタンは軍隊でものすごーいテクニックをおぼえてきたんだって。純情なジェラールはそれにおぼれてしまったんだろうって。相手が悪かったのよ、犬にかまれたと思って、忘れた方がいいわ!!」
やさしいジャンヌは必死になぐさめてくれる。
その気持ちはうれしい。
うれしいけれど……。
椅子によりかかりながらわたしは、心に誓っていた。
ジェラールを、ぜーーーーったいに、取り返してやるっっ!!
このままじゃわたしは身の破滅よ、男に許嫁を取られた娘として、もうお嫁にも行けやしない。
村で生きていくためには、なにがなんでもジェラールを悪の道から更正させるのよ。それしかない。
「わたし、パリへ行くわ」
ジェラールが向かった先はパリだ。以前彼はそんなことを言っていた。
パリへ行って、ジェラールを見つけて、連れて帰る!!
コンスタンになんか、負けるもんですかっ!!
☆
うわわわわわ。
星組DC公演『永遠の祈り』2回目の観劇。今回はWHITEちゃんと一緒。
今回なにがショックだったかって、すずみんよ。
あ、目があった。
と思った次の瞬間、ばちん、とウインクされてしまった……。
2列目ドセンターの出来事です。はい。
ドラマシティはオケボックスと銀橋がないぶん、大劇より舞台が近いです。そして、ステージが低い分、バウよりも舞台が近いです。
2列目は、ほんとーに舞台のすぐ近くでした。
出演者が手の届きそーな間際にいました。
しかし。
びびびびっくりしたっ。
すずみんにウインクされちゃったー。
すずみんはフィナーレでいつもノリノリだけど、客と目があったらウインクするんだ……さすがスターだわ……。
「へー。すずみんにねー。ふーん。へー。ほー。……で、落ちたの?」
WHITEちゃんは棒読みで聞いてきます。
いや、落ちるもなにも……とにかくびっくりしただけで。
あ、わたし、すずみん好きです。
好きかキライかと聞かれれば、好きです。周囲全員がすずみんに非友好的なので、大きな声では言いにくいですが。
あのノリノリのスターっぷりも、自分を信じて疑っていないキャラクターも、いい味出してると思うんだけどなー。
とにもかくにも、すずみんのウインク。
それだけで、あとの感想が全部吹っ飛んじゃった……。わたしの2列目センターは、すずみんのためにあったのか……。
退屈なプロットの芝居なのでそのまま観るのがつらくて、アンヌ側の立場で考えながら観ていたら、本日の日記の冒頭部分が浮かびました。
許嫁が村で評判の不良と共に消えたら、アンヌの立場ないよなあ。
ロザルジェはコンスタンの賭博仲間で村の人間じゃないから、彼の存在は知られていない。現にジェラールはコンスタンに紹介されるまでその存在を知らなかったわけだし。
村人にとっては、「ジェラールはコンスタンと共に消えた」ということだ。
コンスタンはいちおー色男だし、軍隊経験者だし(笑)、刺激の少ない村人たちは、コレ幸いと噂に花を咲かせることでしょう。
狭い村だもん、そんなことになりゃあもう彼女はそこで生きていけないよなあ。そりゃ、居場所を懸けて、彼女はがんばるしかないよなあ。しみじみ。
コンスタンとジェラールはべつになんでもなかったとわたしも思っているが(村人が買いかぶっているほどの色気はコンスタンにはねえよ)、アンヌは本気でそっちの心配してたりしてな。
ルイ17世を騙ろうとしていることを知って、
「男に許嫁を寝取られた女より、犯罪者の許嫁って方がまだマシよっ、よっしゃあ!!」
と思わなかったとは、誰にも言えないよね?
がんばれアンヌ(笑)。
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