母が言った。
「アタシは今まで、かわいいとかきれいとか言われたことが一度もないわ」
 かなしいことを、胸を張っての断言。
「でもおかげで、嘆くことがなにもないわ」
 はい?
「他のおばさんたちはみんな、『昔は美人だったのに』『若いころは**に自信があったのに』って、嘆いてばかりよ。『今はこんなに衰えてしまった』って。その点アタシは、若いころから容姿に恵まれてなかったから、トシをとっても堂々としたものよ」
 …………。
 いろいろつっこみたいことはあるが、あえて黙す。
 そして母は、さらに言う。

「だからアンタも、大丈夫よ。アタシと同じで、おばさんになってから嘆かずにすむわ」

 そう来ますか!!
 わるかったわね、ブスで!!

          ☆

 ところで、『零〜赤い蝶〜』めちゃくちゃこわいです。
 たいていのホラーじゃ動じないわたしが、震えまくってます。
 つーか、もう真夜中にはやらない。こわすぎ。
 桐生家ではマジ悲鳴あげた……。

 『SIREN』とちがって『零』は易しいゲーム。誰でもプレイできる。アクションは易しいし、謎も決して難解じゃない。ヒントをくれるシステムもあるし、つまづいて先へ進めない、なんてことがないように作られている。ゲームとしてはとても間口が広い。心霊写真のコンプリートなど、クリア後のやりこみ要素は別にちゃんとあるし、広く深く遊べるゲームだ。
 『SIREN』は「1ヶ月かけても終わらないかも」と絶望したけど、『零』は「その気になれば、一晩でクリアできるかも」と思える。
 やろと思えば、とっととクリアできそうなんだ。1プレイにかかる時間なんて、きっと大したことない。
 物理的には。

 精神的に、すごく大変なんだわ……。
 プレイしていると、ゲーム内のキャラクタではなく、わたし自身のHPがじわじわ減っていく気がする。
 ほんの1時間ほどプレイするだけで、ものすごーく消耗する。
 も、いいや。今日はこれぐらいにしておこう。と、スイッチを切ってしまう。

 ああ、こわいー。
 桐生家を歩いてるときなんかね、もーやめたくてやめたくてしょうがなかった。もういやだ、早くここから出たい、安全なところに行きたい。そればっか考えてたよ。
 日本人形、こわすぎ……。振り返るとそこに、女の子の日本人形が無言で立っている……。小さな子どもの霊が笑いながら走り去る。誰もいない部屋に「ころさないで」のすすり泣き。どこかから聞こえる足音、ふすまの閉まる音。人形だらけの部屋、そしてその人形たちは全部一点を凝視している……。「首吊り人形の間」なんて、こわくてこわくて、二度と入りたくなかったよ。中ボスとのバトルフィールドだったから、否応なく再度入るはめになったが。

 今は立花家。押入の中にいる泣いてる女の子の霊とえんえん戦ってる……。押入や戸棚から出てくるなよー。こわいじゃんかよー。高床座敷の鈴の音と女の子の泣き声はこわかったよ。この下に誰かいる、って、誰だよ。畳だよ、ふつーの部屋だよ、下にいるって言ったら霊しかないじゃん。納戸もこわかったよ。「たすけて」「たすけて」って、女の子のすすり泣きが聞こえて、入ってみても誰もいない。なにごともない。で、カメラのファインダーをのぞくと。壁一面に「タスケテ」の文字がびっしり! ここここわいってばーっ。

 『零』は易しいゲーム。ゲームが苦手な人も初心者も、誰でもクリアできる難易度。
 しかし。
 このゲームの真の難易度は、ゲームとはべつのところにある。
 これだけこわかったら、人を選びまくるよなあ。

 でも、『零』は美しいよ。
 真におそろしいものは、美しいものでもあるのだと思う。
 一面の死体なかで、狂気の哄笑に身をよじる血まみれの白い着物の少女だとか。
 血ぬられた儀式に集まる顔を隠した神官たち、オブジェのように吊られた生贄だとか。
 それは、凄惨な美しさ。

 わたしは『零』が大好きだけど……萌えはないんだよなあ。
 萌えたのは、『SIREN』の方。
 未だに弟と『SIREN』の話ばっかりしてる。赤い水とはなんだったのか、キャラたちの語られていない背景の謎、どこがどーしてどうなって……話題は尽きない。
 『SIREN』はパロ小説とかやりたい媒体だよなあ。穴がいっぱいあいてるから、そこを自己流に補完したい。キャラもみんないいしなあ。
 宮田くん(無敵のダークヒーロー、汚れ役上等の青年医師27歳)が好きだけど、その双子の兄、牧野(呼び捨てだ、こんな奴。ゲーム中最弱のヘタレ男、求導師27歳)も好きさ。
 普段のかっこよさと最後のギャップが素敵な竹内教授(ニヒルな民俗学者、何故か拳銃標準装備の34歳)も好き。ツッコミ最高の眼鏡っ娘・依子(竹内先生の金魚のフン。先生ラヴでどこまでも。金属バットはこの娘のためにある、小うるさい女子大生22歳)も愛しい。
 須田少年(ふつーの高校生。いちおー主人公16歳)も、クライマックスの盛り上がりがすごかったしな。志村(猟銃じじい。しぶいぞかっこいいぞ、わけわかんないぞ。走る姿がプリチーな70歳)もいいキャラだー。

 星組で配役するなら(星組かいっ・笑)、宮田くん主役に書き直して、宮田@ワタル、八尾@檀ちゃんで見たいなあ。

 宮田司郎@ワタル…白衣萌え。「さすが双子だな、死に顔も同じだ」(双子姉妹を顔色ひとつ変えずに殺害)とか、「しつこい女だな」(自分が殺した女が屍人として復活してきたのに対して)とかの超クール台詞を言って欲しい……。
 八尾比沙子@檀ちゃん…永遠の時を生きる暗黒の聖女。慈愛の微笑みが美しくもおそろしい……。
 須田恭也@トウコ…ふつーの少年だが、美耶子を守るために戦い、成長していく様をセンシティヴに演じて欲しい。最後の「三十三人殺し事件再現」なんかはもー、超かっこいいでしょう。
 竹内多聞@ケロ…フェロモン中年といえば、コレしかないかと(笑)。ニヒルにかっこよく。でも最後は思い切りヘタレに(笑)。
 牧野慶@しいちゃん…ワタルと双子の役といえば、体格的にこの人しか……。心優しきヘタレ男萌え。
 神代美耶子@うめちゃん…謎の盲目の美少女。華奢ではかなげな外見と反対に、命令形で話す超強気な女の子。少女と少年の中間のような魅力を是非。
 安野依子@……かのちか……? 現代っ子だから、かのちかでもできるか。無神経で押しつけがましい、一見うざい女。でもその明るさは救い。おばかにかわいらしく演じてもらえれば、それでいいかと。

 牧野はケロで見たい気もするが、それだと最後宮田と牧野が「入れ替わる」のは不可能だしな。
 竹内と須田少年は接点があるから、ケロ×トウコ的にもおいしいし。中年ケロと少年トウコ……萌え(笑)。

 あー、妄想配役はたのしいなあ。
 誰にも邪魔されない、自分だけの世界(笑)。

 冬コミ、『SIREN』本あるかなあ(いや、ヅカじゃなくて)。

         

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