だから、わたしたちは生きていく。@きょうのできごと
2003年11月25日 映画 24日の映画2本目が、『きょうのできごと』。
監督・行定勲、出演・田中麗奈、妻夫木聡、伊藤歩。
5本見た試写会のなかで、いちばん客席が埋まっていたのが、このタイトル。
田中麗奈だから? 妻夫木聡だから? 『GO』の監督だから?
軸になるのは、ひと組の仲間たち。
京都に引っ越した仲間のひとりの、お祝いに集まった6人の大学生たち。
彼らのなんてことのない日常と、テレビニュースになっているクジラの座礁事件と、壁の間に落ちた男の物語がリンクしていく。
いやあ、最初、登場人物たちの「サムい関西弁」に盛大に引いたよ。
うわ、さぶっ。
なんやのそのイントネーション。ありえないくらい、大袈裟になまっている。何十年前だ? テレビの普及する前か?ってくらい。
今どき、「買って」のことを「こうて」と言う若い女がいるのか? 良くも悪くも21世紀。関西弁と標準語のちがいは、イントネーションと「だ」→「や」の変換程度。(例・そうだ→そうや) 言葉自体がチガウことは、それほどない。
自分のことを「ワイ」という若い男がいないように、「ウチ」という女の子はまずいない。んなもん、テレビの中だけだ。アニメキャラが区別のために現実ではあり得ない色の髪(ピンクとか緑とか)になってるのと同じ、キャラを立たせるためにありえない関西弁を喋らせているだけ。
そんな違和感だな。
それもまあ、見ているウチに慣れた。
引越祝いでのどたばたと、その帰りの麗奈&妻夫木カップル+伊藤歩のドライブ、クジラの座礁とそれを見守る女子高生、壁の間にはさまった大倉孝二と、4つの物語が時系列めちゃくちゃにオムニバスのよーにぽんぽんと流れていく。
最初はなんのつながりもなく、「なんやこれ?」なのが、最後にはきれーにリンクし、収束していくのが気持ちいい。
なにかものすごい事件が起こるわけではなく、特異なわけでもない、ほんとにただの「日常」。
テレビに映っているクジラと壁男はそりゃ、ちょっと特異かもしれないけど、軸になる学生たちは、ほんとに「ふつー」。
彼らのなんてことのない「日常」が、おかしくて、せつない。
なんの解説もないまま、青年たちの日常を切り取ってあるだけなんだが、のほほんとしている彼らが、彼らなりに悩みや飢えを抱え、切実に誠実に生きていることがわかる。
そりゃ、飢餓やら戦争やらで苦しんでいる地球上の人々の苦しみの前では吹っ飛んでしまうよーな苦しみだけど。でもソレ、比べるもんでもないしな。
とにかく、性格のチガウ男の子が5人も出てくるからさー。
「あなたは、どの子がいちばん好き?」
と、聞きたくなる感じ。
裏表なく天真爛漫、ちと口は悪いが好青年、の妻夫木。田中麗奈とは天下無敵のバカップル状態。大学でも平気でカノジョのことをノロケている。
気の弱い美青年、松尾敏伸。とにかく顔がいいもんだから、女の子には一方的に迫られ、だけどあまりに不器用なので結局フラれるヘタレ男。顔のいいことが、すべてマイナスにしか働かない負け犬人生。どっかで見た顔だが、誰だっけ? と思っていたら、WHITEちゃんが「種彦さんだよ!」と耳打ちしてくれた。そうか、種彦さん@真珠夫人か!!(笑)
料理ができてやさしくて、気配り完璧、だけど外見はイケてないです、眼鏡にどてらに中途半端な髪型、外見だけならコミケにいそうなオタク男、の柏原収史。
大きな身体とワイルド系の風貌、つーかはっきり言ってむさくるしいだろ、のモテないくん。名前チェックしそこねた、誰だ? お笑いの人かな?
いちばん出番の少なかったシニカルなツッコミ役の眼鏡くん。この子も名前知らないや。お笑いの人かな。
わたしは柏原収史演じるマサミチくんが、いちばん好きだったなあ。見た目かなりイケてないけど。つーかどーしたんだ柏原くん、あんなに汚くなっちゃって。兄はあんなに美形のままなのに。
縁の下の力持ちというか、いちばん報われない役割を、気負うことなく淡々とこなしているのが、いい。キレたモテないくんをなだめるシーンとか、うわ、この子やさしい! と感動。いちばんいい男なんじゃないの?
でも、女の子からは一切恋愛対象にはされていないっぽい。外見アレだし。そしてマサミチ自身も、そんなことを気にしていない風。
好きな女の子はたったひとり、たとえ片思いでもちゃんといるから、他の女の子にちやほやされることが一切なくても気にしないんだねえ。
性格を解説するようよな台詞はまったくないのに、脇役にまでしっかりキャラが書き込まれているのが、うまいと思ったのよね。
誰かひとりの行動に対するリアクションで、キャラの性格が全部わかるようになっている。
あー、これはうまいなー。見習いたい。
てゆーか、キャラの描き方に自信がなかったら、できないタイプの作品だよね。
大きな事件が矢継ぎ早に起こって、わけがわかんないまま転がっていくタイプの話じゃないから。キャラの味だけで持っていくわけだから。
なんにせよ、おもしろかった。
今回の映画祭で見た5作の中で、いちばん。
この計算されたプロットが、好みなんだよねえ。
べつべつの物語がリンクしていく気持ちよさ。
ひとつひとつは地味な「ふつー」の「日常」を、時系列を壊してリンクさせることで、なんと効果的に再構成してあることか。
こーゆーの、好きー。
「泣いてない、ヘタレじゃない妻夫木をひさしぶりに見たよ」
と、WHITEちゃん。
まったくだ(笑)。
妻夫木くんは、ほんとに等身大の「ふつー」の男の子でした。あー、こんな子いるなー、こんな子好きだなー、と思えるような。
ラブラブモードの妻夫木くんを見たい人には、おすすめかな。
「そして、北村一輝……。出てたね……」
わたしとWHITEちゃんの、注目の俳優、北村一輝。
なにが注目かって、その「濃さ」によ。
売れているのか、しょっちゅードラマに出てくるが、出るなり雰囲気を破壊するその異様な濃さ。嘘くさい存在感。
たのむから、わたしの好きなドラマには出ないでくれ、ドラマが壊れる。
……という注目(笑)。
ヅカでいうなら、月組のマチオさんみたいな感じ。見る気はないのに、いつも視界に入ってくる、一度見たら最後、気になって気になってしょーがない、という奇妙なキャラクター。
いやあ、北村一輝はいいよなあ。無視できない力を持っているよ。わたしとWHITEちゃんはしょっちゅー北村一輝の話をしているよ。ま、ありていに言えばファンなんでしょう。……ただ、好きなドラマには出て欲しくない。オカマだとかサイコだとか犯罪者だとかの役以外では。
ふつーの役は、存在が嘘くさくて見てられないのよ……。
「でもさ、なんか北村一輝、薄くなかった?」
「薄かったよ、北村一輝なのに!」
「薄かったよねえ? まるで、ふつーの俳優みたいだった!」
「はじめ、北村一輝だって信じられなかったもん! あの舌っ足らずな外国人みたいな声も、気にならなかったし」
「テレビだとなにをやっても嘘くさい変な人になるのに、映画だとふつーの人もできるんだ?」
「テレビではおさまりきらない人だったのね!」
「スクリーン俳優ってやつ?」
そうなのか、北村一輝?
テレビではおさまりきらないスクリーン俳優って、なんかかっこいい響きだぞ、北村一輝。
あの滑舌の悪さでよく俳優業をやっているな、北村一輝。
やっぱり注目の人だぞ、北村一輝。
つーことで、「濃すぎない北村一輝」を拝むためにもおすすめの作品(笑)。
監督・行定勲、出演・田中麗奈、妻夫木聡、伊藤歩。
5本見た試写会のなかで、いちばん客席が埋まっていたのが、このタイトル。
田中麗奈だから? 妻夫木聡だから? 『GO』の監督だから?
軸になるのは、ひと組の仲間たち。
京都に引っ越した仲間のひとりの、お祝いに集まった6人の大学生たち。
彼らのなんてことのない日常と、テレビニュースになっているクジラの座礁事件と、壁の間に落ちた男の物語がリンクしていく。
いやあ、最初、登場人物たちの「サムい関西弁」に盛大に引いたよ。
うわ、さぶっ。
なんやのそのイントネーション。ありえないくらい、大袈裟になまっている。何十年前だ? テレビの普及する前か?ってくらい。
今どき、「買って」のことを「こうて」と言う若い女がいるのか? 良くも悪くも21世紀。関西弁と標準語のちがいは、イントネーションと「だ」→「や」の変換程度。(例・そうだ→そうや) 言葉自体がチガウことは、それほどない。
自分のことを「ワイ」という若い男がいないように、「ウチ」という女の子はまずいない。んなもん、テレビの中だけだ。アニメキャラが区別のために現実ではあり得ない色の髪(ピンクとか緑とか)になってるのと同じ、キャラを立たせるためにありえない関西弁を喋らせているだけ。
そんな違和感だな。
それもまあ、見ているウチに慣れた。
引越祝いでのどたばたと、その帰りの麗奈&妻夫木カップル+伊藤歩のドライブ、クジラの座礁とそれを見守る女子高生、壁の間にはさまった大倉孝二と、4つの物語が時系列めちゃくちゃにオムニバスのよーにぽんぽんと流れていく。
最初はなんのつながりもなく、「なんやこれ?」なのが、最後にはきれーにリンクし、収束していくのが気持ちいい。
なにかものすごい事件が起こるわけではなく、特異なわけでもない、ほんとにただの「日常」。
テレビに映っているクジラと壁男はそりゃ、ちょっと特異かもしれないけど、軸になる学生たちは、ほんとに「ふつー」。
彼らのなんてことのない「日常」が、おかしくて、せつない。
なんの解説もないまま、青年たちの日常を切り取ってあるだけなんだが、のほほんとしている彼らが、彼らなりに悩みや飢えを抱え、切実に誠実に生きていることがわかる。
そりゃ、飢餓やら戦争やらで苦しんでいる地球上の人々の苦しみの前では吹っ飛んでしまうよーな苦しみだけど。でもソレ、比べるもんでもないしな。
とにかく、性格のチガウ男の子が5人も出てくるからさー。
「あなたは、どの子がいちばん好き?」
と、聞きたくなる感じ。
裏表なく天真爛漫、ちと口は悪いが好青年、の妻夫木。田中麗奈とは天下無敵のバカップル状態。大学でも平気でカノジョのことをノロケている。
気の弱い美青年、松尾敏伸。とにかく顔がいいもんだから、女の子には一方的に迫られ、だけどあまりに不器用なので結局フラれるヘタレ男。顔のいいことが、すべてマイナスにしか働かない負け犬人生。どっかで見た顔だが、誰だっけ? と思っていたら、WHITEちゃんが「種彦さんだよ!」と耳打ちしてくれた。そうか、種彦さん@真珠夫人か!!(笑)
料理ができてやさしくて、気配り完璧、だけど外見はイケてないです、眼鏡にどてらに中途半端な髪型、外見だけならコミケにいそうなオタク男、の柏原収史。
大きな身体とワイルド系の風貌、つーかはっきり言ってむさくるしいだろ、のモテないくん。名前チェックしそこねた、誰だ? お笑いの人かな?
いちばん出番の少なかったシニカルなツッコミ役の眼鏡くん。この子も名前知らないや。お笑いの人かな。
わたしは柏原収史演じるマサミチくんが、いちばん好きだったなあ。見た目かなりイケてないけど。つーかどーしたんだ柏原くん、あんなに汚くなっちゃって。兄はあんなに美形のままなのに。
縁の下の力持ちというか、いちばん報われない役割を、気負うことなく淡々とこなしているのが、いい。キレたモテないくんをなだめるシーンとか、うわ、この子やさしい! と感動。いちばんいい男なんじゃないの?
でも、女の子からは一切恋愛対象にはされていないっぽい。外見アレだし。そしてマサミチ自身も、そんなことを気にしていない風。
好きな女の子はたったひとり、たとえ片思いでもちゃんといるから、他の女の子にちやほやされることが一切なくても気にしないんだねえ。
性格を解説するようよな台詞はまったくないのに、脇役にまでしっかりキャラが書き込まれているのが、うまいと思ったのよね。
誰かひとりの行動に対するリアクションで、キャラの性格が全部わかるようになっている。
あー、これはうまいなー。見習いたい。
てゆーか、キャラの描き方に自信がなかったら、できないタイプの作品だよね。
大きな事件が矢継ぎ早に起こって、わけがわかんないまま転がっていくタイプの話じゃないから。キャラの味だけで持っていくわけだから。
なんにせよ、おもしろかった。
今回の映画祭で見た5作の中で、いちばん。
この計算されたプロットが、好みなんだよねえ。
べつべつの物語がリンクしていく気持ちよさ。
ひとつひとつは地味な「ふつー」の「日常」を、時系列を壊してリンクさせることで、なんと効果的に再構成してあることか。
こーゆーの、好きー。
「泣いてない、ヘタレじゃない妻夫木をひさしぶりに見たよ」
と、WHITEちゃん。
まったくだ(笑)。
妻夫木くんは、ほんとに等身大の「ふつー」の男の子でした。あー、こんな子いるなー、こんな子好きだなー、と思えるような。
ラブラブモードの妻夫木くんを見たい人には、おすすめかな。
「そして、北村一輝……。出てたね……」
わたしとWHITEちゃんの、注目の俳優、北村一輝。
なにが注目かって、その「濃さ」によ。
売れているのか、しょっちゅードラマに出てくるが、出るなり雰囲気を破壊するその異様な濃さ。嘘くさい存在感。
たのむから、わたしの好きなドラマには出ないでくれ、ドラマが壊れる。
……という注目(笑)。
ヅカでいうなら、月組のマチオさんみたいな感じ。見る気はないのに、いつも視界に入ってくる、一度見たら最後、気になって気になってしょーがない、という奇妙なキャラクター。
いやあ、北村一輝はいいよなあ。無視できない力を持っているよ。わたしとWHITEちゃんはしょっちゅー北村一輝の話をしているよ。ま、ありていに言えばファンなんでしょう。……ただ、好きなドラマには出て欲しくない。オカマだとかサイコだとか犯罪者だとかの役以外では。
ふつーの役は、存在が嘘くさくて見てられないのよ……。
「でもさ、なんか北村一輝、薄くなかった?」
「薄かったよ、北村一輝なのに!」
「薄かったよねえ? まるで、ふつーの俳優みたいだった!」
「はじめ、北村一輝だって信じられなかったもん! あの舌っ足らずな外国人みたいな声も、気にならなかったし」
「テレビだとなにをやっても嘘くさい変な人になるのに、映画だとふつーの人もできるんだ?」
「テレビではおさまりきらない人だったのね!」
「スクリーン俳優ってやつ?」
そうなのか、北村一輝?
テレビではおさまりきらないスクリーン俳優って、なんかかっこいい響きだぞ、北村一輝。
あの滑舌の悪さでよく俳優業をやっているな、北村一輝。
やっぱり注目の人だぞ、北村一輝。
つーことで、「濃すぎない北村一輝」を拝むためにもおすすめの作品(笑)。
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