とにかく水くんがかっこいい。@里見八犬伝
2003年8月5日 タカラヅカ 通路横の座席をGETしたときから、祈っていた。
「客席降りがありますように!」
……祈りは通じた。水兄貴はヒロインと手に手を取って客席に降り、通路を走る。
水兄貴が真横だよ、ブラボー。顔長ぇ(失礼)。
わたしと水くんの出会いは、日本武道館だ。
……ええ。はるばる行ってましたのよ、真矢みきリサイタル。「真矢みきのものすごいファンでもないくせに、どうしてっ?!」と、よく言われたが、答えは簡単、わたしゃたんなるイベント好きだ。宝塚歌劇団80余年の歴史で、はじめて日本武道館でコンサートをやるなんて言ったら、そりゃイベント好きの血がうずくでしょう(笑)。もちろん、嫌いな人のライヴに大枚はたいて行かないよ。ミキさんはエンターテナーとして好きだったし、なによりも「大好きな矢吹翔様」がお出になられるんだから、こりゃ行っとくべきでしょう!と。
武道館までちはる兄貴を観に。……そう言った方がさらにひとには驚かれることになったがな(笑)。
不思議とチケット難だった武道館。楽勝だと思ってたのに、チケぴで発売開始数分でスタンドしか取れなかったよ。ごめんわたし、完全にナメてた。完売するとは思ってなかったんだもん。
さて、その広大な日本武道館で、もちろん最初の最初から立ち上がって踊りながら(これがやりたかった。ヅカでスタンディング。黄色い声が飛び、観客全員が揺れている状態。下は小学生から、上は白髪のおばあさままで。この客層がすごい・笑)、わたしはステージ上のある人に注目していた。
「ねえねえ、あのエロい人は誰?」
なんせ、ハコは広大だ。あまり馴染みのない組の若手の顔まで、わたしには判別できていない。隣の席のチャーリー命の花組ファン・Be-Puちゃんに聞いた。
Be-Puちゃんはあっさり答えた。
「あれは、水夏希」
演出はつんく。なんでこーレズレズした作りなのか理解に苦しむが、とにかくやたらエロいシーンがあった。ミキさんに押し倒されているチャーリーを見て、ノーマル志向のBe-Puちゃんは凍り付いていたっけね。
そのエロいシーンでいつもひときわエロい男役がいた。
「ねえねえ、あのエロい人は誰?」
「だから、あれが水夏希」
強烈なインプリンティング。水夏希=エロい人(笑)。
以来、花組を観るときは春野寿美礼(すでにファンだった)と水夏希をチェック。ああわたしって、長い顔好きだよなあ(笑)。
武道館のエロっぷりで惚れただけに、水くんには色男であって欲しい。いつぞやの『フィガロ!』とかいう駄作は、すでにわたしの記憶にはない。チャルさんが主演で、水くんはアントニオって役で15分くらいしか出てなかったよねえ。もったいないなあ、出番がたったの15分だなんて。演出家はバカよねえ。
恐怖の漂白剤・宙組に組替えになり、水くんまでもが白くなるのかと戦慄したが、『鳳凰伝』でわたしの愛した水夏希と再会できて胸をなで下ろした。タイトル忘却の超駄作ドラマシティ公演でも、水くんはちゃんと色男だった。
そして 今回のこの『里見八犬伝』のポスターも、思わず拝んでしまうほどの色男ぶりだ。ああ、かっこいいなあ、水くん……!
武道館のころの水夏希健在だと思ったのは、通常親兵衛よりも、悪の血に染まったブラック親兵衛の方が美しかったこと(笑)。
犬江親兵衛という役はこうるさい男の子で、決して色男でもエロ男でもない。
幼い熱さを持つ若者が、いい漢に成長する物語だ。正当派な少年マンガ。冒険活劇。エロくはないが、とにもかくにも水くんがかっこいい。
さて、鎌田敏夫作『里見八犬伝』。
もちろんわたしは、リアルタイム組だ。年齢的に。あー、当時薬師丸ひろ子はものすげえ人気だったよ。友人のミヤビンスキーくんなんか、「わたしの女神様」って呼んでたよ。
しかし、内容はよくおぼえていない。薬師丸ひろ子が矢を射るシーンと、京本政樹が美しかったことぐらいしか記憶にない。
原作も読んだんだが「これって鎌田敏夫?」とびっくりしたのと(鎌田敏夫の小説を以前に何冊か読んでいた。下ネタお笑い刑事物シリーズとか。オ*ニーのことを「自家発電」と表現していたのが忘れられない……)、内容でおぼえているのは、やたらセックス描写が多くて長かったことと、
「いいぞ、浜路の汗を舐めるのだ……!!」
ぐらいさ。
毒娘にされた浜路は犬塚信乃をカラダで籠絡しよーとするわけだな。浜路にくらくらな信乃は、「おいおい、今ココでヤるのかよ?」という読者のツッコミも置き去りに、さっそく着物を脱いでおはじめになるわけだ。
それを見ている敵方の人間が、「そうだ信乃、そーやって浜路とさくさくヤって、浜路の汗を舐めろ。そーすりゃお前はおしまいだっ(にやり)」てなことを言うわけさ。デバガメしながら手に汗握る感じで。
で結局信乃はあやういところで「こんなことをしている場合ではないっ」と正気に返り、浜路の汗を舐めることはしなかったので助かっちゃうのな。くやしがる敵。「ええいっ、何故汗を舐めんのだっ」「浜路のカラダを舐めまわしてこそ漢!」「行け行け信乃!」……てな戦い方が、まだ高校生だったわたしにはショックだったのだ、いろいろと(笑)。
これだけの知識で見に行きました。鈴木圭演出『里見八犬伝』。
ストーリーは単純明快、妖怪蟇田一族VS正義の里見の姫君+八犬士。悪を倒せ、GO!GO!GO!
里見一族への復讐に燃える妖怪蟇田玉梓@ぽっぽさんとその息子素藤@ともちんは、ターゲットのラスト1、静姫@あすみちゃんを追っていた。ちんぴらの犬江親兵衛@水くんは賞金目当てに静姫をGETするが、次第に彼女に惹かれていく。
さて、その昔蟇田一族を滅ぼした伏姫と犬の八房は、蟇田一族が蘇ったときの保険というかブービートラップを仕掛けていた。いざってときには犬の使命を受けた八人の戦士が里見の姫を守り、蟇田を滅ぼすというのだ。
それが現八@リキくん、道節@まりえった、信乃@七帆、大角@和、毛野@和音、小文吾@夢、荘助@綾花、そしてプラス親兵衛@水くんで、彼らひとりずつにも事情や物語があり、ドラマチックに最後の決戦へ突き進むのさ。
最初にラインナップ発表を見たとき、思ったこと。
「宙組で『八犬伝』? なんて無茶な。他の組ならいざしらず、宙組に8人もスターがいるのか?!」
宙組といえば、トップスターとその他大勢、の組。スターが育たず、スター候補生はその開花を待たず必ず退団するという不吉な組。トップスターのおふたりは不動の人気や立場を誇っているのかもしれないが、2番手の水くんをのぞけば、あとはみんな顔のない脇役たちばかり。代表作は「北京の民」。団体芸NO.1、しかし個性も花もナシ。博多座と二分してこんな演目やって、公演が成り立つのか?
と、はなはだ失礼な心配をしました。
結果はノープロ、モウマンタイ。
たのしかったよ。
原作となっているのが映画の『里見八犬伝』。べったべたのエンタメ、冒険活劇だ。そのままスライドさせれば、ふつーにたのしめる作品になってしかるべき。
原作を壊すことなく「タカラヅカ」にしていたと思う。
ただ、若い演出家のデビュー作だという気はあまりしなかった。新鮮味はないし、個性も感じられなかった。暗転とカーテン前芝居の多さが、とてもレトロな感覚。若手でここまでカーテン前芝居をさせる人、他にいたかなあ。
大きな破綻もなく魅力もなく……って印象。ネタが鎌田八犬伝だから手堅く走り回っているうちにラストまでたどりついたって感じ。
たのしかったけれど、もう一度観たいとは思わなかった。
萌えツボはナシ。
ただ、出演者への愛情次第でいくらでも作品の評価は変わってくると思う。水くん命!だったり、ともちんへの愛だけで日々が存在する!とかいう人なら、「最大級の名作っ!」と思うかもしれない。それがタカラヅカ。それが正しい。
それにしても、セットのセンスの悪さが気になった。
お金、なかったのかなあ。全部「ベニヤ板に絵を描きました」なのが、びんぼくさいのなんの……。
金がないならないで、もっと抽象的なものにするとかすればいいのに。マンガみたいな絵を描かれて、ぴかっ、とか光られてもな……。
もっと美しい舞台が観たい。小さなハコだからこそできる、美しさを。
文字数が足りないので、翌日欄へ続く。
「客席降りがありますように!」
……祈りは通じた。水兄貴はヒロインと手に手を取って客席に降り、通路を走る。
水兄貴が真横だよ、ブラボー。顔長ぇ(失礼)。
わたしと水くんの出会いは、日本武道館だ。
……ええ。はるばる行ってましたのよ、真矢みきリサイタル。「真矢みきのものすごいファンでもないくせに、どうしてっ?!」と、よく言われたが、答えは簡単、わたしゃたんなるイベント好きだ。宝塚歌劇団80余年の歴史で、はじめて日本武道館でコンサートをやるなんて言ったら、そりゃイベント好きの血がうずくでしょう(笑)。もちろん、嫌いな人のライヴに大枚はたいて行かないよ。ミキさんはエンターテナーとして好きだったし、なによりも「大好きな矢吹翔様」がお出になられるんだから、こりゃ行っとくべきでしょう!と。
武道館までちはる兄貴を観に。……そう言った方がさらにひとには驚かれることになったがな(笑)。
不思議とチケット難だった武道館。楽勝だと思ってたのに、チケぴで発売開始数分でスタンドしか取れなかったよ。ごめんわたし、完全にナメてた。完売するとは思ってなかったんだもん。
さて、その広大な日本武道館で、もちろん最初の最初から立ち上がって踊りながら(これがやりたかった。ヅカでスタンディング。黄色い声が飛び、観客全員が揺れている状態。下は小学生から、上は白髪のおばあさままで。この客層がすごい・笑)、わたしはステージ上のある人に注目していた。
「ねえねえ、あのエロい人は誰?」
なんせ、ハコは広大だ。あまり馴染みのない組の若手の顔まで、わたしには判別できていない。隣の席のチャーリー命の花組ファン・Be-Puちゃんに聞いた。
Be-Puちゃんはあっさり答えた。
「あれは、水夏希」
演出はつんく。なんでこーレズレズした作りなのか理解に苦しむが、とにかくやたらエロいシーンがあった。ミキさんに押し倒されているチャーリーを見て、ノーマル志向のBe-Puちゃんは凍り付いていたっけね。
そのエロいシーンでいつもひときわエロい男役がいた。
「ねえねえ、あのエロい人は誰?」
「だから、あれが水夏希」
強烈なインプリンティング。水夏希=エロい人(笑)。
以来、花組を観るときは春野寿美礼(すでにファンだった)と水夏希をチェック。ああわたしって、長い顔好きだよなあ(笑)。
武道館のエロっぷりで惚れただけに、水くんには色男であって欲しい。いつぞやの『フィガロ!』とかいう駄作は、すでにわたしの記憶にはない。チャルさんが主演で、水くんはアントニオって役で15分くらいしか出てなかったよねえ。もったいないなあ、出番がたったの15分だなんて。演出家はバカよねえ。
恐怖の漂白剤・宙組に組替えになり、水くんまでもが白くなるのかと戦慄したが、『鳳凰伝』でわたしの愛した水夏希と再会できて胸をなで下ろした。タイトル忘却の超駄作ドラマシティ公演でも、水くんはちゃんと色男だった。
そして 今回のこの『里見八犬伝』のポスターも、思わず拝んでしまうほどの色男ぶりだ。ああ、かっこいいなあ、水くん……!
武道館のころの水夏希健在だと思ったのは、通常親兵衛よりも、悪の血に染まったブラック親兵衛の方が美しかったこと(笑)。
犬江親兵衛という役はこうるさい男の子で、決して色男でもエロ男でもない。
幼い熱さを持つ若者が、いい漢に成長する物語だ。正当派な少年マンガ。冒険活劇。エロくはないが、とにもかくにも水くんがかっこいい。
さて、鎌田敏夫作『里見八犬伝』。
もちろんわたしは、リアルタイム組だ。年齢的に。あー、当時薬師丸ひろ子はものすげえ人気だったよ。友人のミヤビンスキーくんなんか、「わたしの女神様」って呼んでたよ。
しかし、内容はよくおぼえていない。薬師丸ひろ子が矢を射るシーンと、京本政樹が美しかったことぐらいしか記憶にない。
原作も読んだんだが「これって鎌田敏夫?」とびっくりしたのと(鎌田敏夫の小説を以前に何冊か読んでいた。下ネタお笑い刑事物シリーズとか。オ*ニーのことを「自家発電」と表現していたのが忘れられない……)、内容でおぼえているのは、やたらセックス描写が多くて長かったことと、
「いいぞ、浜路の汗を舐めるのだ……!!」
ぐらいさ。
毒娘にされた浜路は犬塚信乃をカラダで籠絡しよーとするわけだな。浜路にくらくらな信乃は、「おいおい、今ココでヤるのかよ?」という読者のツッコミも置き去りに、さっそく着物を脱いでおはじめになるわけだ。
それを見ている敵方の人間が、「そうだ信乃、そーやって浜路とさくさくヤって、浜路の汗を舐めろ。そーすりゃお前はおしまいだっ(にやり)」てなことを言うわけさ。デバガメしながら手に汗握る感じで。
で結局信乃はあやういところで「こんなことをしている場合ではないっ」と正気に返り、浜路の汗を舐めることはしなかったので助かっちゃうのな。くやしがる敵。「ええいっ、何故汗を舐めんのだっ」「浜路のカラダを舐めまわしてこそ漢!」「行け行け信乃!」……てな戦い方が、まだ高校生だったわたしにはショックだったのだ、いろいろと(笑)。
これだけの知識で見に行きました。鈴木圭演出『里見八犬伝』。
ストーリーは単純明快、妖怪蟇田一族VS正義の里見の姫君+八犬士。悪を倒せ、GO!GO!GO!
里見一族への復讐に燃える妖怪蟇田玉梓@ぽっぽさんとその息子素藤@ともちんは、ターゲットのラスト1、静姫@あすみちゃんを追っていた。ちんぴらの犬江親兵衛@水くんは賞金目当てに静姫をGETするが、次第に彼女に惹かれていく。
さて、その昔蟇田一族を滅ぼした伏姫と犬の八房は、蟇田一族が蘇ったときの保険というかブービートラップを仕掛けていた。いざってときには犬の使命を受けた八人の戦士が里見の姫を守り、蟇田を滅ぼすというのだ。
それが現八@リキくん、道節@まりえった、信乃@七帆、大角@和、毛野@和音、小文吾@夢、荘助@綾花、そしてプラス親兵衛@水くんで、彼らひとりずつにも事情や物語があり、ドラマチックに最後の決戦へ突き進むのさ。
最初にラインナップ発表を見たとき、思ったこと。
「宙組で『八犬伝』? なんて無茶な。他の組ならいざしらず、宙組に8人もスターがいるのか?!」
宙組といえば、トップスターとその他大勢、の組。スターが育たず、スター候補生はその開花を待たず必ず退団するという不吉な組。トップスターのおふたりは不動の人気や立場を誇っているのかもしれないが、2番手の水くんをのぞけば、あとはみんな顔のない脇役たちばかり。代表作は「北京の民」。団体芸NO.1、しかし個性も花もナシ。博多座と二分してこんな演目やって、公演が成り立つのか?
と、はなはだ失礼な心配をしました。
結果はノープロ、モウマンタイ。
たのしかったよ。
原作となっているのが映画の『里見八犬伝』。べったべたのエンタメ、冒険活劇だ。そのままスライドさせれば、ふつーにたのしめる作品になってしかるべき。
原作を壊すことなく「タカラヅカ」にしていたと思う。
ただ、若い演出家のデビュー作だという気はあまりしなかった。新鮮味はないし、個性も感じられなかった。暗転とカーテン前芝居の多さが、とてもレトロな感覚。若手でここまでカーテン前芝居をさせる人、他にいたかなあ。
大きな破綻もなく魅力もなく……って印象。ネタが鎌田八犬伝だから手堅く走り回っているうちにラストまでたどりついたって感じ。
たのしかったけれど、もう一度観たいとは思わなかった。
萌えツボはナシ。
ただ、出演者への愛情次第でいくらでも作品の評価は変わってくると思う。水くん命!だったり、ともちんへの愛だけで日々が存在する!とかいう人なら、「最大級の名作っ!」と思うかもしれない。それがタカラヅカ。それが正しい。
それにしても、セットのセンスの悪さが気になった。
お金、なかったのかなあ。全部「ベニヤ板に絵を描きました」なのが、びんぼくさいのなんの……。
金がないならないで、もっと抽象的なものにするとかすればいいのに。マンガみたいな絵を描かれて、ぴかっ、とか光られてもな……。
もっと美しい舞台が観たい。小さなハコだからこそできる、美しさを。
文字数が足りないので、翌日欄へ続く。
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