母はアクティヴな人で、複数のサークルを主催していたり、世話役をしていたりする。
だもんで、毎日のように、その複数のサークルの会報やらなんやらを作成している。
今日もまた、母宛にサークルのメンバーから原稿が届いた、らしい。
封筒を開けた母、中身を確かめて、
「これでやっと会報の印刷ができるわ」
と言う。
見れば、びっしりと文字がプリントアウトされた紙が入っていた。
「最近ようやくワープロを使う人が増えてきて、ずいぶん楽になったの。でもまだまだ手書きの人が多いから、それをワープロで打ち直すのが大変なのよ」
ごもっともなことだ。他人の手書き文字をパソコンに入力するのは気力と時間が必要。
だがさらに母は、妙なことを言う。
「この人もね、会報はB5だから、B5用紙に印刷してって言ってたのに、A4で送ってきたのよ。だから、『もう一度B5に印刷し直して』って言って、送り直してもらったの」
は?
「待って母。その送られてきた原稿、どうするつもり?」
「どうするって、会報に載せるの」
「載せる、って、どうやって? まさかその、4つに折りたたんである紙を、そのまま印刷するの?」
「折り目はこうやって、山折りを谷折りに、谷折りを山折りに、癖を付け直せば目立たなくなるわ」
「いや、そーゆー問題じゃなくて、そのまま印刷するってわかっているものを、どーして4つ折りにして送ってくるの?」
「だって、折らないと封筒に入らないじゃない」
「定形外なら入るでしょ、B5ぐらい」
「そんなことしたら、お金がたくさんかかるじゃない」
「たかが120円でしょ。ふつうより40円多いだけなのに?」
「主婦はみんなケチなのよ」
……理解不能ナリ……。
「てゆーかさ、ワープロなりパソコンなり使って原稿作る人なら、データで送ってもらえばいいじゃん。メールに添付でもして」
「そんなこと、わからないし、できないわ」
「んじゃ、フロッピーに入れて送ってもらいなよ。80円切手ですむよ。使い終わったフロッピーは会報を送るときに同封すればいいし」
「……どうしてそんなことしなきゃならないの? こうやってB5の紙にプリントアウトして送ってくれるのに、このまま印刷して会報を作ればすむことじゃない」
「データなら、相手も楽でしょ。いちいちプリントアウトしなくてすむし、母だって自分のパソコンで自由にレイアウトできるわけだし」
いろいろ話した結果は、コレだった。
「仕方ないでしょ、60なんだから!!」
……いつもコレが、ご老公様の印籠なのだ。
還暦の母は、都合が悪くなるとコレを言う。
60でもさ、印刷する紙を折りたたんで送ってくる理由にはならないと思うよ……。ふつー、折れないように厚紙で補強したりが最低限のルールじゃん……。
まあ、その程度の会報なんだろーけどさ……わたしなら耐えられない、そんな折り目の陰が印刷されたよーな小汚い会報。
そして母は今日も、わたしを呼び出した。
「プリンタが動かないの、認識されないとかメッセージが出るの!!」
親の家まで行って、確認してみる。
原因は簡単だった。
コンセントが、抜けていた。
ママ。
コンセントが抜けていたら、電化製品は動かないよ。
「コンセントが抜けてるなら抜けてるって言えばいいのに! なんで『プリンタが認識されません』なんて出るのよ!!」
強く生きてくれ、母よ。
だもんで、毎日のように、その複数のサークルの会報やらなんやらを作成している。
今日もまた、母宛にサークルのメンバーから原稿が届いた、らしい。
封筒を開けた母、中身を確かめて、
「これでやっと会報の印刷ができるわ」
と言う。
見れば、びっしりと文字がプリントアウトされた紙が入っていた。
「最近ようやくワープロを使う人が増えてきて、ずいぶん楽になったの。でもまだまだ手書きの人が多いから、それをワープロで打ち直すのが大変なのよ」
ごもっともなことだ。他人の手書き文字をパソコンに入力するのは気力と時間が必要。
だがさらに母は、妙なことを言う。
「この人もね、会報はB5だから、B5用紙に印刷してって言ってたのに、A4で送ってきたのよ。だから、『もう一度B5に印刷し直して』って言って、送り直してもらったの」
は?
「待って母。その送られてきた原稿、どうするつもり?」
「どうするって、会報に載せるの」
「載せる、って、どうやって? まさかその、4つに折りたたんである紙を、そのまま印刷するの?」
「折り目はこうやって、山折りを谷折りに、谷折りを山折りに、癖を付け直せば目立たなくなるわ」
「いや、そーゆー問題じゃなくて、そのまま印刷するってわかっているものを、どーして4つ折りにして送ってくるの?」
「だって、折らないと封筒に入らないじゃない」
「定形外なら入るでしょ、B5ぐらい」
「そんなことしたら、お金がたくさんかかるじゃない」
「たかが120円でしょ。ふつうより40円多いだけなのに?」
「主婦はみんなケチなのよ」
……理解不能ナリ……。
「てゆーかさ、ワープロなりパソコンなり使って原稿作る人なら、データで送ってもらえばいいじゃん。メールに添付でもして」
「そんなこと、わからないし、できないわ」
「んじゃ、フロッピーに入れて送ってもらいなよ。80円切手ですむよ。使い終わったフロッピーは会報を送るときに同封すればいいし」
「……どうしてそんなことしなきゃならないの? こうやってB5の紙にプリントアウトして送ってくれるのに、このまま印刷して会報を作ればすむことじゃない」
「データなら、相手も楽でしょ。いちいちプリントアウトしなくてすむし、母だって自分のパソコンで自由にレイアウトできるわけだし」
いろいろ話した結果は、コレだった。
「仕方ないでしょ、60なんだから!!」
……いつもコレが、ご老公様の印籠なのだ。
還暦の母は、都合が悪くなるとコレを言う。
60でもさ、印刷する紙を折りたたんで送ってくる理由にはならないと思うよ……。ふつー、折れないように厚紙で補強したりが最低限のルールじゃん……。
まあ、その程度の会報なんだろーけどさ……わたしなら耐えられない、そんな折り目の陰が印刷されたよーな小汚い会報。
そして母は今日も、わたしを呼び出した。
「プリンタが動かないの、認識されないとかメッセージが出るの!!」
親の家まで行って、確認してみる。
原因は簡単だった。
コンセントが、抜けていた。
ママ。
コンセントが抜けていたら、電化製品は動かないよ。
「コンセントが抜けてるなら抜けてるって言えばいいのに! なんで『プリンタが認識されません』なんて出るのよ!!」
強く生きてくれ、母よ。
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