たかちゃんはいつからこんなふうになってしまったんだろう。

 このところ、「きれいなだけのたかちゃん」ばかり見ている気がする。

 たかちゃんはきれいだ。
 ほんとーにきれいだ。
 少女マンガや、アニメの中の美青年そのまんまだ。

 昔のある一時期ほど、顔はきれいだと思っていない。たかちゃんはお化粧が下手だから、昔は顎が落ちるほどヘンな顔だし、今もまたヘンになってきてる。
 たかちゃんの「顔」が目を疑うほど美しかったのは、バウ作品『晴れた日には永遠が見える』から、大劇場『真夜中のゴースト』までだ。
 とくに『晴れた日…』のエドワード。「おれの小鳥ちゃん」とゆー、ものすげえセリフも浮かない、すばらしいイッちゃった系プレイボーイ。あのときの美しさは、すばらしかった。わたしゃたかこを見るためだけに、クリスティーナさんとふたりで必死こいてチケット取ったよ。
 あとはショー『ゴールデン・デイズ』。周りの人たちが、ボロボロたかこに落ちていくサマが、いっそ愉快だった。トド様ファンのわたしが、「トド様を見てね」と言ってつれいった初心者たちが、次々とたかこに落ちていった。見知らぬ客席の人たちが、「あの髪をかきあげながら踊ってた人、かっこよかったーっ」と大騒ぎしていた。(トド様も見てやってくれよ……いちおー2番手だったんだからさ……)
 たかこのお化粧はあるとき美しさの頂点を極め、あとはどんどん落ちていった。……その裏には、お化粧名人高嶺ふぶきの存在があるのではないかと、わたしは推理しているんですが。
 ……たのむよたかちゃん。もっとお化粧がんばって……。

 顔はともかく、姿の美しさは年々上がっている。
 今の美しさはどうだ。
 『聖なる星の奇蹟』なんか、人間離れした美しさだけでできあがっていた舞台だったぞ。
 たかこは美しい。

 だが……美しいだけだ。

 何故? どうして?
 いつの間に、こんなことになっちゃったの?

 昔、たかちゃんは色の濃い男役だった。なんたって『嵐が丘』のヒースクリフだからな。
 カーテンコールのときですら眼力ぎらぎら、客席をにらみつけている人だった。
 雪組にいたときはね、攻だったのよ!! 攻男だったの!
 おおらかにのんきに育った、ひとのいい攻。だけどときと場合によっては剥き出す牙を隠し持った、野生のしなやかさのあるおぼっちゃま。
 ……だったのに。
 宙に行くなり、真っ白な受子ちゃんになったのは何故?

 どんどん漂白されて、気がついたら「お人形さん」になっていた……。
 きれーなだけの、お人形さん。

 何故だ、あんなに黒かったのに。アクがあったのに。

 たかちゃんてさあ、影響されやすいのかな。
 雪にいたときは、トドだのタカネくんだの、濃い色の兄貴たちに影響受けて、黒塗りメイクの似合うジプシー役者。
 宙にいったら、真っ白ずんちゃんの影響受けて、どんどん漂白。ずんちゃんがいなくなっても、永遠のお姫様、天下の花總様の影響受けて、どんどん王子様化。
 たかちゃん、カムバークっ。熱い魂を持った「役者」の君が見たいよー。わーん。

 とゆーのもだ。
 『傭兵ピエール』がこんなにもきっつい理由のひとつとして、主役の役者不足が要因のひとつに思えるのだわ。
 なんでたかちゃん、そんなにきれいなの?
 きれいなだけのおにーさんが、荒くれ男をやっても違和感があるよ。セリフと本人の姿が合ってないよ。
 昔のたかちゃんなら、十分演じられた役だろうに。
 今のたかちゃんだと、無理だなんて。
 ……かなしいわ。

 もちろん、「美しい」というのは、すばらしい財産だ。実力だ。
 その美しさだけで、真ん中に立つ理由になる。
 それ以上を求めるのがまちがっているのかもしれない。

 あの駄作『聖なる星…』だって、アンドロイド・フレデリックは、他に演じようがなかったのか? たかちゃんがでくのぼうをやっている横で、お花様はけなげにできる限りの努力をしていたぞ。
 『傭兵ピエール』は、アンドロイド・フレデリックとどこがちがうんだ? セリフの数? それだけ?

 『鳳凰伝』のカラフは、キチガイ爆走男だったので、たかちゃんのお人形さん的持ち味とうまくミックスして、趣があった。アレを熱血キャラの男役がやっていたら、ウザくて仕方なかっただろう(ごめん、ここでハマコを想像してしまった……ハマコの演じるカラフ……キチガイ度傍迷惑度無限大UPだ……)。

 『傭兵ピエール』はセックスの話題満載の芝居だから、たかちゃんが主役でなければ生々しくて、ヅカの舞台としては不適格だったかもしれない。
 だけどたかちゃんの「人形的な美しさ」の方が強く出ていて、なんとも感情移入しにくい主人公になっていた。

 
 それにしてもわたし、石田先生の舞台って、場面場面がぶつ切りな気がして、感情移入できないんだわ。
 なめらかな舞台は作れないのかなあ。
 時間も人間も感情も、シーンごとに全部バラバラな作品。
 ……疲れるわ。

 芝居だけで言うなら、「1回観たら十分」。
 それなら、ショーは?
 

 てことで、ショーの感想。

 『満点星大夜總会』。……タイトルだけ見たら、「勝った!」って感じなのにねえ。
 オール漢字のショーのタイトルって、お洒落だと思うよ。インパクトすごいもん。

 ただ、幕が開いてこの「満点星大夜總会」ってゆー字がどーんっと出てきたときは、客席から笑いが起こってた。
 タイトルで笑わせる……すごい……。

 齋藤くんのファンだからさ、期待してましたのよ。『BMB』大好きだしさー。

 で、オケ席からたかちゃん登場、のオープニングですでに。
 思い出していたよ。

「そうだった……齋藤くん、言葉のセンス、最悪なひとだった……」

 歌詞はセンス最悪ですとも!!(笑)
 よくもこれほど、趣味の悪い単語を並べるなー、って感じ。ある意味感心。
 言葉を選ぶセンスに著しく欠けていても、わたしは齋藤くんのファンだけどさっ(泣)。

 それにしても……ものすごいショーだった。

 相変わらずわたし、予備知識なかったから。

 熊猫娘たちが「パンダパンダ♪」と歌いながら出てきたときに、椅子から落ちそうになった。

 ウサギの次はパンダかいっっ。
 どこまでフェチなんだ齋藤!!

 しかしこのパンダ娘たち、めちゃくちゃかわいい。まともに見ればイカレた格好なんだが……不思議だ……かわいい……。

 パンダから立ち直れないでいるうちに、GO! GO!HANCHANGだよ。
 こ、殺す気ですか?
 客席で酸欠になりそーになったよ。
 齋藤くんって、なに考えてこのショー作ったんだろー?

 解説しておくと、天下無敵の花總様が、アイドル歌手HANCHANGとしてはじけきって歌い踊る、というシーンです。「GO! GO! HANCHANG!」って、自分で言ってます。
 設定年齢は16歳くらいかな。もっと下か? モー娘。とか、そのあたりの雰囲気だよな?

 いや、HANCHANGはかわいかったです。
 つーか、あまりの事態に考えちゃったよ。いったい他の誰なら、この役ができるだろうかと。
 トップ娘役の顔を一通り思い描いてみたが、やはりお花様以外には無理だと判断しました。
 ……いっそコムに女装させて、アイドルやらせるのは可だと思うけどな……トップスターはやっちゃイカンしな……。あ、タニなら男役のままでやってヨシ。

 とんでもない両刃の剣だなあ。
 お花様しかできない役、お花様の価値を再確認させる役、だけど、そもそもこんなシーンやる必要あるのか、っていう疑問のある、すばらしいシーン。
 齋藤くん、お花様になにを見たんだろう。

 パンダとHANCHANGがあまりにすごすぎて、他の印象がなにも残っていない……。

 ショーを観に、もう一度行かなきゃなあ。かねすきさん、ムラに来ないかしら。ご一緒するのに。

 『BMB』が大好きだったもんで、全体としての不満はいっぱい。
 隠微さが足りーんっ。
 えっちシーンがかな水だけっての、どうよっ?!
 かなみ×みずしぇんは良かったわ。えっちぃくてすげえ好き。「あれは水受だよねっ」とデイジーちゃんとふたりでウケたわ。

 主役は?
 たかこがまったく色っぽくないのは、どういうわけですか?
 てゆーか、たかこのことちっともおぼえてません。わたし、たかこファンなのにー。
 どうしてたかこ、こんな薄くなっちゃったんだ……(冒頭の話題、ループ)。
 
 齋藤くんなら、たかこの忘れていた色気を引きずり出してくれるかと思ってたのに。
 たかこはねっ、男と絡めた方が色っぽい男なんだってばっ。
 お花様と絡めるとただのお人形さんになるし、他の女とでもだめなのよー。(でもこのショーではお花様以外と組んでくれていたので、目にたのしかった)
 とことんフェチな、エロいたかこと男たちが観たかったのことよ。しょぼん。

 『BMB』を宙組でやってくれてもいいぞ、この際。たかこと水の愛憎劇をやってくれー。たかこを誘惑するみずしぇんが見たいよー。

 ……仕事が終わったら、自分にご褒美、ってことでもう一度観に行くかな。パンダ娘たち見に。(目当てはパンダかいっ?! ←セルフつっこみ)


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