本日は映画『ビロウ』を見ました。

 ものすんげー頭の大きな人が2・3列前に坐っていて、字幕が半分見えませんでした(笑)。
 字幕ってなんで下に出るんだろう、とちょっと本気で考えてみたり。
 その人は横幅もすごくて、両隣にはみ出してるのが、後ろからでもよくわかったのね。男の人で、べつに太ってるって感じでもなかった。体格がいいちょい太めな人ってとこ。
 しかし、わたしがどんなに背筋を伸ばして対抗しても、かなわなかった。……ので、字幕を半分あきらめた。
 どんなに背の高い人なんだろう、と思って帰りにこっそり身長を調べましたさ。
 ヅカを観に行ったときにも、よくやるんだよね。ひとよりでかいこのわたしの視界を遮るくらい座高がある人ってのは、いったいどんな身長なんだ? と。……ヅカでは大抵、わたしよりはるかに小柄な人で、「いったいどんな坐り方をしたらあんな座高になるんだ?」ってケースばかりだが。
 自分がでかいことを知っているわたしは、左右の人の肩の位置を確認し、同じくらいの高さになるように気を付けて坐ったりもするんだがねえ。
 今回の男性は、わたしと同じくらいの身長でした。
 ……男の人は、頭大きいからなあ。

 んでもって、『ビロウ』。
 「潜水艦サスペンス」という、新しいジャンルだそーです。
 第二次世界大戦中の、米軍潜水艦が舞台。敵である独軍に撃沈された英国病院船の生存者3名を救助したら、そのうちのひとりは若く美しい女性オリヴィア・ウィリアムズだった。
 当時、潜水艦に女性は御法度、不吉だっつー話になる。しかも、艦内には次々と奇妙な出来事が起こる。見えないものが見えたり、聞こえないものが聞こえたり。
 独軍と戦争しながら、艦内では幽霊騒動。内も外も大変!な中、クルーたちはどんどんどんどん死んでいく。
 潜水艦に女を乗せたために起こった超常現象なのか? 死んだ艦長の謎とは? 聞こえる死者の声は、なにを訴えている?

 WHITEちゃんは「こわかった」と言っていた。
 異を唱えると彼女がムキになるので言えなかったが、じつはわたし、ぜんぜんこわくなかったんだわ。
 いやあ、やっぱアメリカ人の「恐怖」っての、わたしにはあまり理解できないわー。
 びっくり系ばっかなんだもん。静音のあと突然大きな音をたててみたりとかな。突然ドアが開いたりとかな。
 びっくりはするけど、べつにこわくないよ。

 でも、おもしろかった。
 ホラー(幽霊もの)だと思って見たらがっかりするけど、サスペンスとしてなら、たのしかったよ。

 だって、ストーリーがあるもん!!

 ちゃんとプロットがあってね、伏線があって、最後にどんでん返しっちゅーか、謎解きがあるの。
 ああ、いいなあ。気持ちいいよ、これ。
 正しく作られている感じが好感。

 『呪怨』がひどかったからなあ。

 こわかったのはたしかに『呪怨』だけど、おもしろかったのは『ビロウ』だよ。

 サスペンスっちゅーかこれ、ミステリと言ってもいい話だと思うのな。
 人が死ぬ事件が起こって、ヒロインがそれを解決するわけだから。
 はじめは断片しか見えない真実が、組み上がったときの快感!は、ミステリの謎解きの快感だと思う。
 幽霊も、ちゃんと理にかなってるし(笑)。

 ただ、わたしは視点の散漫さが気になった。
 誰が主役なのかわからないよー。
 ヒロインを「不吉な女」として、サスペンスを盛り上げる道具にしたかったのはわかる。
 そして真犯人が誰かを、ぼかしたかったのもわかる。
 でもなー、視点がばらばらだから、サスペンスが盛り上がらないんだわ。
 完全に、オリヴィア・ウィリアムズを主役にしちまえよー。
 病院船で看護士として働く彼女、から描くのさ。そこへ、独軍の攻撃。パニック。そして撃沈。救助された先は米軍潜水艦。女は不吉だ、と疫病神扱いされる彼女。艦長代理との対立、超常現象、艦長の死の謎……。
 ヒロインものにすればいいのさ。オリヴィアが幽霊と殺人事件の謎を解くのさ! そしたら観客も彼女に感情移入するから、幽霊ももっとこわいよ。
 「不吉な女」というミステリアスな設定を使いたいなら、私がこの艦に来たから、超常現象が起こっているというの? とオリヴィア自身にも悩ませればいいのよ。どーせ元の描き方でも、彼女が魔女ではなく、「善」だとわかりきってるんだから。「彼女はほんとーは魔女かもっ?!」って観客に思わせたかったんだろーけど、それは見事に失敗、っーか、欲張りすぎ!にしか見えなかったって。

 もったいないなあ。
 すてきな潜水艦ミステリなのに。
 殺人事件なのにさー、視点バラバラで観客の公正な目を攪乱し、犯人をぼやかせてるんだよ。うまく描ききってりゃ拍手だが、たんに視点統一に失敗した下手くそな小説みたいなできあがりになってるよー。

 

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