どれほどたのしみにしていたことでしょう……ホラー映画、『呪怨』。

 日にちがさらにずれてますが、気にせずに。
 2月5日水曜日、映画をはしごしました。『ケミカル51』をひとりで見たあと、WHITEちゃんと合流して『呪怨』を見た。

 わたし、ついにこの映画の予告編は見られなかったの。予告編目当てに、わざわざ忙しいなか『8人の女たち』を見に行ったのにさ。『呪怨』はカットされててさ。
 だから、ちらしとHPしか見ていない状態。HPの予告編はソフトの関係で再生不可だったし。
 でも予告を見たWHITEちゃんが「チビりそーなほどこわかった」と言うので、期待していたの。
 和製ホラー好きの弟も一緒に見に行くはずだったんだが、きゃつめは仕事で来られず。で、わたしとWHITEちゃんのふたりだけで見るはめに。

 えーと。
 たしかにそのー、こわかったです。
 角川ホラー映画よりは、ずっとこわい。『弟切草』だとか『狗神』だとか『死国』だとか、あのへんのお笑い系に比べれば、よっぽどホラーだったよ。
 ただし。
 映画としては……どうよ、これ?

 主演はいちおー、奥菜恵。福祉ボランティアをしている彼女は、老人介護のために一軒の家を訪ねる。そこで彼女は、いるはずのない子どもの姿と、女の影を見る……。
 その家に住んでいるはずの若夫婦は、寝たきりの母親を残して消えていた。引っ越してきたばかりのその一家は、まず妻が呪い殺され、追うように夫も取り憑かれて死んだ。残された寝たきりの母親の介護にやってきた奥菜恵の前で、その母親も殺される。
 死んだ夫婦の妹、伊東美咲もまた、自宅のマンションで呪い殺されていた。
 唯一生き残った奥菜恵は、刑事から「その家」にまつわる話を聞く。今回の若夫婦と母親が引っ越してくる前にも、そこに住む者は同じように変死を遂げているのだと。
 そもそも「その家」では、数年前に主人が妻を殺したのち変死、6歳の息子は行方不明になる事件が起こっていた。それ以来、不吉な出来事が続いているのだ……。

 ぶっちゃけた話をするならば、自縛霊なんだよね。
 最初に殺された、妻と息子の霊が、未だに漂ってるの。家に取り憑いていて、そこに新たに引っ越してきた人、関わった人を、のべつまくなしに呪い殺す。
 住んでる人だけじゃない、つーのがえげつない。
 一歩でも足を踏み入れたらOUT。ついてくるんだもん。自縛霊のくせに。
 伊東美咲なんか、勤め先の会社にまでついてこられちゃってさー。気の毒に、なんの関係もない会社の警備員が呪い殺されてたよ。
 で、もちろん、伊東美咲本人も、せっかく自分のマンションに戻ったのに。こわいから布団にもぐって「なにも見ない」ってやってたのに。
 ……布団のなかから、ぬっと出てくるし……。

 奥菜恵は、「その家」に行ってから何年も経って、もう大丈夫だろー、てなころにやっぱり呪い殺されるし。

 こわいんだよ。
 ひとつひとつのシチュエーションは、「これでもかっ」てくらい、こわい。
 息子の方の霊は、それほどでもないが、やっぱママ霊はこわいよ。髪の長い若い女の幽霊だよ。んでもって、貞子式の這いずり方するのよ。こわいって。
 でもなー。

 ものすごーく、ストレスの溜まる映画だった。

 たしかにわたしは、こわい映画が見たくて行ったんだ。
 だから、こわがらせてもらったから、それで目的は達しているんだけどさ。
 でもなー。これは「映画」なわけだからなー。「こわい」だけじゃ、「つまんない」よ。

 おどろいたことにこの映画、「ストーリーがなかった」の。
 いやあ、びっくりしたよー。こんなんアリなんかい。

 舞台は幽霊の出る一軒の家。
 で、まずボランティア女子大生がそこに入り、呪われる。
 次。主役替わって、その家に越してきた若夫婦が呪われる過程が描かれる。
 次。主役替わって、若夫婦の様子を見にやってきた妹が、呪われる。
 次。主役替わって、昔その家で起こった事件を担当した元刑事が呪われる。
 次。主役替わって、その元刑事の娘が呪われる。
 ……って、えんえんえんえん、主役替わって、その家に関係した人々が呪い殺される様が、描き続けられるの。
 他にはなにもなし。
 ただ、毎回毎回、新しい人が家に関わって、呪われて、霊に追い立てられて、最後は殺されるの。

 なんじゃこれは。

 ストーリーが、ない。
 シチュエーションの繰り返し。

 たしかに、こわいよ。どのパターンもめちゃこわいけど。
 でも……それだけっての、どうよ?

 見ながら、ストレス溜まりまくり。
 で、どうなのよ。昔あった殺人事件はどーゆー事件だったの? なんで妻は殺されたの。行方不明の息子はどーなったの? ここまで関係者(刑事含む)が変死しまくってて、なんで周囲は変に思わないの?
 誰か、現状を打破してくれよ。永久ループで、なんの意味があるの?
 現実にはそれはアリかもしれんが、映画だよ、これ。ストーリーはどこに?

 切実に「超能力者よ現れろ」と祈ってしまった。
 超能力だとか霊能力だとかで、戦ってくれる戦士でも現れてくれなきゃ、つまんないよー。
 探偵でもいいよ。殺人事件を解決して、どっかで遺棄されているだろう死体でもみつけてくれよ。
 結局、最後は霊に殺されてくれてもかまわないからさー。なにかしら、「こちら側から」霊に関わってくれよ。「向こう側から」一方的に呪われて殺されておしまい、をエンドレスで見せられたら、つまんないよ。あきるよ。

 たった1時間半の映画だったんだが、ものすごーく長かった気がした。
 同じことをえんえんえんえん見せられつづけてたからさー。

 みょーに疲れた。
 そして、ものすごくこわかったけど、なんにも残らない映画だった。

 ストーリーの重要性を再確認したよ。
 どんなにこわいシーンだけをえんえん見せられたって、それが「物語」として機能していない場合は、せっかくのこわさがリアルに魂に刻まれないんだわ。
 まず、ストーリーだ。
 そのうえで、こわいシーンだ。

 この映画は、とにかくこわいシーンを撮りたいハートで作られたんだろーな。
 ストーリーなんかどーでもよくて、とにかくこわい映画が作りたかったんだろう。
 たしかに、やりたいことが明確で、意図して作られただけあってものすごくこわくて、「やりたいこと」だけを抜き出して考えるなら成功している。
 でも、「映画」として考えた場合……こわくないよ。
 『リング』や『女優霊』のことは「こわい映画だよ」って人に言えるけど、『呪怨』のことは……ちょっと言えない……。

 画面はものすごくこわいけど、物語はこわくない映画。

 と、言うしかないな。
 そして、目でこわがったものって、心でこわがったわけじゃないから、残らないんだよね。すぐに忘れる。わたしひとり暮らしだけど、映画を思い出して夜中にぞっとする、なんてこと、『呪怨』に関してはまったくありませんでした。
 だって、心はこわくなかったもん。

 「物語」をナメてるよなあ。
 この映画は。

 パート2の公開が決定しているそうだが、ストーリーがないのなら、もう見に行かなくていいや。たかだか1時間半で、もうあきちゃったよ。

 
 奥菜恵は、顔立ちがはっきりしているぶん、ホラー向きですかね。恐怖の表情は、くっきりはっきり系の美女に限ります。
 しかしこの子、スタイル悪いよねえ。
 昔一度だけ生で見たことあるんだけど、そのとき等身の低さにおどろいたのよ。
 ほら、普段ヅカばっか見てるからさあ。わたし、「美形」は顔じゃなくスタイルだと思ってるクチなのよね。
 芸能人なら7等身は欲しいのよ。6等身以下なら、そのへんにいくらでも転がってるじゃん。
 奥菜恵ちゃんは、6等身ぎりぎり……下手すると5等身半なんだよなあ。だから全身が映るとキツイ。
 伊東美咲ちゃんとのツーショットを期待したんだが、一度もなかった。やっぱそのへん考えてんのかな。伊東美咲ちゃんは、8等身近くあるよね(笑)。

 
 ……トド様ファンがスタイルを語っちゃイカンとは思うけどさ……。あの人、あのものすげえヒール履いて、よーやく6等身だもんな……。つーと素足だと……ゲフンゲフン。


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