ああああ、いづるん、ラ〜ヴ。

 
 雪組新公『春麗の淡き光に』観劇。
 この公演のいちばんの収穫は、いづるんの検非違使男でした。本役はハマコね。

 わたしはハマコが好きだし、彼のあの、やりすぎてしまう超うっとしー演技が好きだったりする。うざッと思いつつも、それでも応援していたりする。
 そしてなにより今回の芝居では、気の遠くなりそーな駄作を、ハマコのあのクドイ演技で力業で支えている感があるだけに、ハマコ演じる検非違使男が好きだ。

 それでもなお。
 新公の検非違使男、いづるんが好きだーっ。
 も、萌え……。
 どーしましょー、いづるん検非違使さいこー。

 はっきり言って、ハマコの演じる検非違使男とは、別人でした。あらゆる意味で。
 まず、最大の相違点。

 いづるんの検非違使男は、美形でした。

 ……ごめん、ハマコ。ごめんな。素顔の君がガイジン系の美形さんだとは知ってるよ。でも君、舞台ではカケラも美しくないんや……。

 それに比べて、いづるんの美しいこと。
 出てきたときから、「なんなのこの検非違使男っ、背景にはいつもお花、アップになると点描とんでますがなっ」とびっくり。
 たおやかな美青年でさ。一目見て、「こ、この男、いぢめたい、泣かせたい……」と思いました。
 そりゃー、悪役大臣もいぢめるでしょう。足蹴になんかしちゃってさ。ああっ、転がる様がすてきだわ。やーん、もっといぢめて〜〜っ。
 とにかく、いづるんが色っぽすぎるので、この物語がまったく別の物語に見えました。
 悪役大臣は絶対、いづるん検非違使男を、いぢめたくていぢめているわっ。キム朱天童子のことは建前よ、本音はただ、いづるんを足蹴にしたいのよ。ハァハァ。

 とまあ。外見つーか、キャラですでに萌え萌えだったんですが。
 そのうえこのいづるん検非違使男、ハマコと役作りがちがいました。や、もちろんそりゃ、あの暑苦しさはハマコだけのものであり、他人が真似できるものではないと思ってますが。
 それにしても、まったく別人に作ってきたあたり、感心しました。
 なんていうかとても、納得のできる人でした。
 ハマコだと、勢いだけで空回ってるかわいいバカ男って感じだけど、いづるんはもっと深かった。
 二流大学出のサラリーマンが、コツコツ努力して出世して、よーやく現在の地位を築いたのに、努力むなしく失脚するはめになって。35年ローンのマイホームと、専業主婦のお嬢さん育ちの女房と、病弱な息子を抱えた29歳、この微妙なトシで俺、これからどうすればいいんだ?! てな、哀惜がふつふつと伝わってきました。
 なまじまだ若い分、断ち切られた出世の道が恨み節、あきらめきれないっていうか。
 銀橋の復讐ソングで、力一杯彼に感情移入しました。
 そして、いちばんの見せ場であるキム朱天童子を斬る斬らないのところ。
 あの、空虚な瞳が忘れられません。
 復讐だけを支えにどん底を這いずっていた男が、それをぽきんと失う瞬間。そして、そこに浮かぶ笑み。……ぞくぞくしました。
 この男、今すぐ犯してください、と思いました……。はっ、わたしったらなんてハシタナイことをっ。

 いやあ、いづるん見てると、自分の中にある「攻属性」がむくむく頭をもたげてくるのがわかります。(注・わたしはふつーの女の子……つーかおばさん……なので、もちろん普段は攻属性なんて持ち合わせておりません)
 前回の『追憶のバルセロナ』でも、ナルセの役をやっていたとき、それまではどーってことない手堅い演技でしかなかったのが、拷問されたあとになると、いきなり色気爆発、ごごご拷問てアンタ、ナニされたわけっ?! と取り乱してしまうよーなものすごさだったことを、思い出します。
 いづるん……いいキャラだ……。

 
 主役のキムちゃん朱天童子。
 OK。も、ぜんぜんOKっす。明日から主役でも、わたし的にはぜんぜんかまいません。
 というか、最初の「宝塚よいとこ一度はおいで踊り」(えっ、こんなんじゃなかったっけ?)で出てきた瞬間、「あんたがトップスター!」と思いました。
 あの広い舞台の、どこが「中心」であるか。
 それは立ち位置や衣装じゃないんだよね。
 オーラなんだよね。華なんだよね。
 出てきた瞬間、「彼のいるところがセンターだ!」と観客にわからせる力。
 キムはそれ、当たり前に持ち合わせているね。
 しかもなんだ、その不敵な笑みは。
 舞台には性格が出るという。たとえばタニちゃんなんか、なにをしていても、「ああ、君は舞台が大好きなんだねえ、ものすごーく素直ないい子なんだねえ」とわかる。
 キムは……アンタ性格、ものすげー悪い?(笑)
 て言い方は、語弊があるかもしれないが。
 ものすごく、生意気そう。友だちにはなりたくないー。いやなヤツっぽいー。
 でもそれが、舞台ではものすごい魅力である。
 か……かっこいー……。
 あの、ぶあつい唇を歪めて、意地悪くいやらしく笑う、あの笑い方がたまらん……。
 朱天童子ときたら、弓矢持って現れた瞬間、たしかに「カリスマ盗賊」でした。説得力。歌がなんかハズれてたみたいだか、それはまあご愛敬。
 なまじ出がかっこよすぎたから、そのあとの頭の悪い落ちぶれっぷりには違和感絶大。いいや、あんたはそこで泣きを入れるよーな男ではないはずだ、もっともっと、したたかで悪い男だろっ?! と思ってしまったよ……。
 よわよわな演技もうまかったけどさ……。前半と後半で別人だったぞ……? それっていいのか? 脚本の問題でもあるけどさ。
 滑舌と声がいいのが、得点UP。台詞と歌がはっきり聞こえるよ、ママン……こんな歌だったんだね。
 

 シナちゃんヒロイン、第一印象はやっぱ「小さっ!!」。
 びっくりするミニマムさでした。
 なのに、バランスいいプロポーション。顔が相当小さいんだろうなあ。
 前にものすごい歌を聴いたよーな思い出があったんで、歌のとき身構えてしまったが(笑)、べつにふつーに歌ってた。
 やりようのないヒロインを好演してました。

 かしげの役をやってたひじりんは……。
 かしげも相当アレだったが、やっぱり伊達に年月を重ねていないんだなと再確認しました。はい。
 つーか新公も完全に、検非違使男が2番手でした。最後にこの男がいい役で出ているのが何故だかわからんくらいに、ただの脇役に成り下がってた。

 美貌に目を奪われたのが、真波そら。
 なんですか、あの美形はっ。思わず家に帰って「おとめ」をチェックしちゃったよ。四天王のひとりね。

 あと、どこの組にも、「好みの顔」の男がいる。
 一般的観点において美形かどうかは関係ない。わたしにとっての「好みの男」だ。
 それが宙組では貴羽右京くんであり、雪組では安城志紀なのだわ。
 新公のパンフレットを最初にざーっと見て、「あっ、しっきー、役ついてんじゃん。『酒田公時』ってどんな役だろ」と、たのしみにしてました。わたしゃ本公演のパンフは買ってないんで、役名だけじゃなんのことやらさっぱりわかりませんからのう。
 ……たのしみにしてました。
 「顔」のファンですから。『猛き黄金の国』の新公の、顔に傷付き男で一目惚れして以来、彼の「顔」が大好きなのです。
 「酒田公時」って……四天王の赤鬼ぢゃん……。
 あまりのショックに、開いた口がふさがりませんでした……。
 顔が……顔が目当てだったのに……赤鬼……顔、作りすぎてて見えねー……。
 いや、似合ってたし、がんばってたよ。ただ、顔のファンとしてはさ……かなしかったよ……最後の挨拶も、とーぜんその化粧のままだしな。
 思わず同じ四天王の真波そらに浮気しそーになったよ……。

 
 なにはともあれ、有意義な新公でした。

 そして、後日書き直しってことで、人目に触れることが少ないだろーってことで、タイトルも内容も暴走中(笑)、な日記でしたー。


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