植田作品の大前提。@春麗の淡き光に
2003年1月3日 タカラヅカ なんだか、タカラヅカがとっても久しぶりな気がする。星組公演をほとんど観なかったせいだなあ。
1月3日「小林一三生誕130年記念」に行ってきました。
新生雪組。コム姫トップスター。んでかっしーが2番手。りらちゃんトップ娘役。芝居が植田の日本物。
……わたしの予備知識は、これだけです。
つーことで、感想いってみよー。
芝居『春麗の淡き光に』。
わはは。正しく植田紳爾。正しく駄作でした。わはは。
笑うしかない。
時代は藤原北家が権力を握っていたころ。「朱天童子」とゆー「盗賊」が元気に跋扈していたそうな。どーやらひどい政治をしているらしい汝鳥伶サマ藤原大臣の屋敷に押し入り、かといってなにをするでもなく消えていったりな。
この盗賊・朱天童子を、検非違使のリーダー、ハマコが追いかけるわけなんだが。
わたしはまず、主人公らしい「朱天童子」つー男のことが、よくわからなかった。
いきなり悪役大臣の屋敷に現れ、パフォーマンスして去っていった男。
盗賊でしょ? 押し込み強盗、殺人とかやってんだよね? 悪の権力者の家を地道に回って、盗んで殺して、ってやってんのよね?
……それ、なんの意味があるの?
お金にこまってやってるなら、わかるけど。どーやら彼は貴族のぼんぼんらしい。目的は金ではなく、悪の権力者にいやがらせをすることなのか?
わざわざ悪の巨魁、汝鳥伶サマ大臣の屋敷にやってきたのに、したことはただの「いやがらせ」。嫌いな子の机にらくがきして逃げていく悪ガキのよう。
もうすでにここで、「?」だった。なにがしたいんだろう、この人。なにを考えてるんだろう……。
いや待て、彼の謎を追うのが、この物語のメインかもしれないぞ?
検非違使リーダー・ハマコは罠を張って、朱天童子とその一味を襲う。そして、朱天童子の頬に傷を付けるのだ。その傷が証拠、次の貴族の集まりで頬に傷のある者が朱天童子だー!
だけど朱天童子コムはぬかりなし。なんと彼には瓜二つの弟がいるのさ。弟に代わりにその貴族の集まりに出てもらえばそれでOK、問題なし。
ここでまたわたしは、展開に取り残される。
わたしには、朱天童子コムがなにをしたくて「盗賊になって貴族にいやがらせ」をしているのかがわかっていない。なにを考えているのか、どんな人なのか、さっぱりわからない。
ひょっとしたら、歌でなにかしら心意気を語っていたのかもしれんが、ごめんコム姫、わたしあなたの歌、歌詞が聞き取れません。
朱天童子コムのことが理解できていないのに、突然コム弟(コム姫二役)が登場。はぁ? いきなり主役交代?!
いくら大臣がひどい政治をしているとしてもだ、盗賊やって「いやがらせ」してなんになるというんだ……そんな兄の所行を部下の、しい@お頭命、に聞かされ、影武者を引き受けるコム弟。
待ってくれ、勝手に納得してないで、わたしにも教えてくれ。「なにがしたいのか」を。「盗賊」をやる意義を教えてくれええ。
コム兄のキャラがわかってないのに、主役は突然コム弟へ。ああまた、わからない人が増えちゃったよお。
せっかく影武者たててコムと朱天童子は別人ですよ、とやったわりに、どーやら意味なんかなかったらしい。
頬の傷、という証拠はなかったが、「疑いをかけられた」ということでコム家はお取りつぶしだそーだ。ははは。無駄骨ですな、コム弟の影武者。
つーか、なんのために出てきたんだ、弟。いなくていいだろう。しかも弟、一旦は影武者を引き受けたのに、あっさりと「兄のしたこと(だから盗賊家業ですな)は許されることではありません」と豹変。だからお前はなにをしに出てきたんだと小一時間、以下略。
この影武者騒動でなにか変化があったのかというと、ハマコ検非違使リーダーが、職を失ったことだけだ。頬の傷という証拠が意味をなさなかった、つーことの責任を取らされて、クビにされたハマコ、復讐の鬼となる(笑)。
ここまでの「あらすじ」には、おかしいですね、二番手のはずのかしげちゃんの名前が出てきていません。舞台にはちらりちらりと出てきてはおりますが、大筋に関係ない人なので、「あらすじ」には書きようがないのです。
かわりに登場しているハマコ。
ああ、ハマコ。嗚呼、ハマコ。
あんた、二番手だったんですか。
突然、「復讐の鬼の歌」を歌いながら、ひとりで銀橋渡っちゃいます。
これにはびっくり。
目が点。
どーゆー話なんだろー、これは。
主役らしいコム姫の人格はさっぱり見えませんが、とりあえずライバル(笑)らしいハマコの人格だけははっきりわかります。ああ、濃いわ、ハマコ。
主役らしいコム姫の歌はなに言ってんだか、なにを考えてるんだかさっぱりわかりませんが、ライバル・ハマコの歌の、ものすごいこと。
劇場中に朗々と響き渡り、この瞬間「ひょっとして君が主役?」と思わせてくれます。
いや、それはまずいけどな。ちとやりすぎだけどな、ハマコ。(それはいつもか)
復讐の鬼ハマコは、お家取り潰しで野に下った朱天童子コムを見つけ、斬り捨てようとするのだが……コム姫に口説き落とされ、あっけなく刀を収める。あらま。
コム姫はなにかしら、黄昏れていらっしゃいます。どーやら彼には、大望があったよーだ。新しい時代とか、みんなが平等にしあわせな世界とか、なんか、そんなことを考える、夢多き青年だったよーだ。
でも、現実はそんなに甘くない。おれひとりでは時代は変えられない……そんなことをつぶやいて、遠い目をしている。
濃すぎるハマコを見て、わたしが考えたことは、「植田芝居にハマコは合うなあ」ということと、「ハマコでよかった」ということ。
植田芝居ははっきりいって、古い。見ていて苦しい。お笑いに近いくらい、大袈裟でまわりくどくてお約束に満ちている。ハマコの濃さは、それに合う。……つまり、ふつーの芝居では悪いけどハマコちゃん、浮いてるんだよねー、いつも。
そして、なにを考えてんだかわかんねー、薄っぺらぺらな主人公朱天童子コム相手に、ハマコひとりがもー、空回りもここまで行けば大車輪、摩擦で炎が燃えてるぜ! な、くどすぎる演技が映って(移って、ではない)、なんとなく「朱天童子はこういう人」って、観客が理解できたよーな気になれるものなあ。
ハマコがアツければアツいほど、コムの薄さを誤魔化すことに成功しているというか。
……なんにせよ、つかれるがな。
んでもって、このあたりでよーやくわたしは、朱天童子コムがなにをしたかったのかを理解する。
理解するが……それはもー、驚愕の事実ってやつだった。
革命を起こしたかったのか、あんた。
目点、アゴ落ち。
今の世の中はよくない → みんなしあわせなすてきな世の中にしよう!
てことでやってたことが、「嫌いな子の机にらくがきして逃げていく悪ガキ」と同レベルの「盗賊」?!
悪役大臣の屋敷にやってきて、「いやがらせ」して逃げる……こ、これであんた、「新しい時代」を作ってるつもりだったの?!
バカすぎる……。
貴族による腐りきった社会、とは言いますが、コム姫あんたも確実にその、貴族社会の弊害に染まってます。世の中が見えてません。バカすぎます、おぼっちゃま。
さて、物語も終盤にきてよーやく、忘れられていた二番手、かっしー登場。ハマコがクビになったんで、代わりにかっしーが朱天童子コムの討伐を命ぜられるのだ。
かっしーはコム姫とはお友だちらしい。植田お得意の説明台詞のなかに、そんな部分があった。
ひとりでは世の中を変えられないと悟ったコム姫、「どーせならお前の手にかかって死にたい」と親友かっしーを逆指名。かっしーは源氏の統領、武門の男。貴族政治の次の時代を担う期待の星。かっしーがここで手柄を立てれば、彼の権力が増すから一石二鳥、コム姫の大望も叶えられる。
かっしーはコム姫の心意気に打たれ、彼を討ち取ったことにして、こっそり逃がしてやることに成功。
コム姫は僧としてひっそり時代を見守る覚悟のようだ。完。
あれ、終わっちゃった。
えーと、娘役は? いたでしょ、トップ娘役。たしかに役はあったし、出番もあったけど、大筋になんにも絡んでないから、「あらすじ」に書く必要なかったわ。
りらちゃんはかっしーの妹。コム姫の恋人。
大望に生きるコム姫はりらちゃんを捨て、かっしーはコム姫の命を助けたことを完全黙殺するので、りらちゃんにも真実を教えない。
りらちゃん、いつもひとりで空回り役。恋人も兄も、彼女のことを軽んじている。だから本筋に関係なし。物語の脇の方で、ぎゃーぎゃーわめいている印象。
……ひでえ。こんなトップ娘役の扱い、アリか?
『Practical Joke』を彷彿とさせるな。あれのヒロインも、物語の大筋には入れてもらえず、脇の方で勝手にぎゃーぎゃー言ってるだけだった。
んでもって、『Practical Joke』も、ぶっこわれたひでー作品だった。(萌えがあったので、好きだけど・笑)
植田作品が壊れているのなんか、あたりまえというか、大前提なのでもー、気にするよーなことでもないんだろーけど。
せっかくホモだから(をい)、ちょっと検証してみようかなと思う。以下翌日。
1月3日「小林一三生誕130年記念」に行ってきました。
新生雪組。コム姫トップスター。んでかっしーが2番手。りらちゃんトップ娘役。芝居が植田の日本物。
……わたしの予備知識は、これだけです。
つーことで、感想いってみよー。
芝居『春麗の淡き光に』。
わはは。正しく植田紳爾。正しく駄作でした。わはは。
笑うしかない。
時代は藤原北家が権力を握っていたころ。「朱天童子」とゆー「盗賊」が元気に跋扈していたそうな。どーやらひどい政治をしているらしい汝鳥伶サマ藤原大臣の屋敷に押し入り、かといってなにをするでもなく消えていったりな。
この盗賊・朱天童子を、検非違使のリーダー、ハマコが追いかけるわけなんだが。
わたしはまず、主人公らしい「朱天童子」つー男のことが、よくわからなかった。
いきなり悪役大臣の屋敷に現れ、パフォーマンスして去っていった男。
盗賊でしょ? 押し込み強盗、殺人とかやってんだよね? 悪の権力者の家を地道に回って、盗んで殺して、ってやってんのよね?
……それ、なんの意味があるの?
お金にこまってやってるなら、わかるけど。どーやら彼は貴族のぼんぼんらしい。目的は金ではなく、悪の権力者にいやがらせをすることなのか?
わざわざ悪の巨魁、汝鳥伶サマ大臣の屋敷にやってきたのに、したことはただの「いやがらせ」。嫌いな子の机にらくがきして逃げていく悪ガキのよう。
もうすでにここで、「?」だった。なにがしたいんだろう、この人。なにを考えてるんだろう……。
いや待て、彼の謎を追うのが、この物語のメインかもしれないぞ?
検非違使リーダー・ハマコは罠を張って、朱天童子とその一味を襲う。そして、朱天童子の頬に傷を付けるのだ。その傷が証拠、次の貴族の集まりで頬に傷のある者が朱天童子だー!
だけど朱天童子コムはぬかりなし。なんと彼には瓜二つの弟がいるのさ。弟に代わりにその貴族の集まりに出てもらえばそれでOK、問題なし。
ここでまたわたしは、展開に取り残される。
わたしには、朱天童子コムがなにをしたくて「盗賊になって貴族にいやがらせ」をしているのかがわかっていない。なにを考えているのか、どんな人なのか、さっぱりわからない。
ひょっとしたら、歌でなにかしら心意気を語っていたのかもしれんが、ごめんコム姫、わたしあなたの歌、歌詞が聞き取れません。
朱天童子コムのことが理解できていないのに、突然コム弟(コム姫二役)が登場。はぁ? いきなり主役交代?!
いくら大臣がひどい政治をしているとしてもだ、盗賊やって「いやがらせ」してなんになるというんだ……そんな兄の所行を部下の、しい@お頭命、に聞かされ、影武者を引き受けるコム弟。
待ってくれ、勝手に納得してないで、わたしにも教えてくれ。「なにがしたいのか」を。「盗賊」をやる意義を教えてくれええ。
コム兄のキャラがわかってないのに、主役は突然コム弟へ。ああまた、わからない人が増えちゃったよお。
せっかく影武者たててコムと朱天童子は別人ですよ、とやったわりに、どーやら意味なんかなかったらしい。
頬の傷、という証拠はなかったが、「疑いをかけられた」ということでコム家はお取りつぶしだそーだ。ははは。無駄骨ですな、コム弟の影武者。
つーか、なんのために出てきたんだ、弟。いなくていいだろう。しかも弟、一旦は影武者を引き受けたのに、あっさりと「兄のしたこと(だから盗賊家業ですな)は許されることではありません」と豹変。だからお前はなにをしに出てきたんだと小一時間、以下略。
この影武者騒動でなにか変化があったのかというと、ハマコ検非違使リーダーが、職を失ったことだけだ。頬の傷という証拠が意味をなさなかった、つーことの責任を取らされて、クビにされたハマコ、復讐の鬼となる(笑)。
ここまでの「あらすじ」には、おかしいですね、二番手のはずのかしげちゃんの名前が出てきていません。舞台にはちらりちらりと出てきてはおりますが、大筋に関係ない人なので、「あらすじ」には書きようがないのです。
かわりに登場しているハマコ。
ああ、ハマコ。嗚呼、ハマコ。
あんた、二番手だったんですか。
突然、「復讐の鬼の歌」を歌いながら、ひとりで銀橋渡っちゃいます。
これにはびっくり。
目が点。
どーゆー話なんだろー、これは。
主役らしいコム姫の人格はさっぱり見えませんが、とりあえずライバル(笑)らしいハマコの人格だけははっきりわかります。ああ、濃いわ、ハマコ。
主役らしいコム姫の歌はなに言ってんだか、なにを考えてるんだかさっぱりわかりませんが、ライバル・ハマコの歌の、ものすごいこと。
劇場中に朗々と響き渡り、この瞬間「ひょっとして君が主役?」と思わせてくれます。
いや、それはまずいけどな。ちとやりすぎだけどな、ハマコ。(それはいつもか)
復讐の鬼ハマコは、お家取り潰しで野に下った朱天童子コムを見つけ、斬り捨てようとするのだが……コム姫に口説き落とされ、あっけなく刀を収める。あらま。
コム姫はなにかしら、黄昏れていらっしゃいます。どーやら彼には、大望があったよーだ。新しい時代とか、みんなが平等にしあわせな世界とか、なんか、そんなことを考える、夢多き青年だったよーだ。
でも、現実はそんなに甘くない。おれひとりでは時代は変えられない……そんなことをつぶやいて、遠い目をしている。
濃すぎるハマコを見て、わたしが考えたことは、「植田芝居にハマコは合うなあ」ということと、「ハマコでよかった」ということ。
植田芝居ははっきりいって、古い。見ていて苦しい。お笑いに近いくらい、大袈裟でまわりくどくてお約束に満ちている。ハマコの濃さは、それに合う。……つまり、ふつーの芝居では悪いけどハマコちゃん、浮いてるんだよねー、いつも。
そして、なにを考えてんだかわかんねー、薄っぺらぺらな主人公朱天童子コム相手に、ハマコひとりがもー、空回りもここまで行けば大車輪、摩擦で炎が燃えてるぜ! な、くどすぎる演技が映って(移って、ではない)、なんとなく「朱天童子はこういう人」って、観客が理解できたよーな気になれるものなあ。
ハマコがアツければアツいほど、コムの薄さを誤魔化すことに成功しているというか。
……なんにせよ、つかれるがな。
んでもって、このあたりでよーやくわたしは、朱天童子コムがなにをしたかったのかを理解する。
理解するが……それはもー、驚愕の事実ってやつだった。
革命を起こしたかったのか、あんた。
目点、アゴ落ち。
今の世の中はよくない → みんなしあわせなすてきな世の中にしよう!
てことでやってたことが、「嫌いな子の机にらくがきして逃げていく悪ガキ」と同レベルの「盗賊」?!
悪役大臣の屋敷にやってきて、「いやがらせ」して逃げる……こ、これであんた、「新しい時代」を作ってるつもりだったの?!
バカすぎる……。
貴族による腐りきった社会、とは言いますが、コム姫あんたも確実にその、貴族社会の弊害に染まってます。世の中が見えてません。バカすぎます、おぼっちゃま。
さて、物語も終盤にきてよーやく、忘れられていた二番手、かっしー登場。ハマコがクビになったんで、代わりにかっしーが朱天童子コムの討伐を命ぜられるのだ。
かっしーはコム姫とはお友だちらしい。植田お得意の説明台詞のなかに、そんな部分があった。
ひとりでは世の中を変えられないと悟ったコム姫、「どーせならお前の手にかかって死にたい」と親友かっしーを逆指名。かっしーは源氏の統領、武門の男。貴族政治の次の時代を担う期待の星。かっしーがここで手柄を立てれば、彼の権力が増すから一石二鳥、コム姫の大望も叶えられる。
かっしーはコム姫の心意気に打たれ、彼を討ち取ったことにして、こっそり逃がしてやることに成功。
コム姫は僧としてひっそり時代を見守る覚悟のようだ。完。
あれ、終わっちゃった。
えーと、娘役は? いたでしょ、トップ娘役。たしかに役はあったし、出番もあったけど、大筋になんにも絡んでないから、「あらすじ」に書く必要なかったわ。
りらちゃんはかっしーの妹。コム姫の恋人。
大望に生きるコム姫はりらちゃんを捨て、かっしーはコム姫の命を助けたことを完全黙殺するので、りらちゃんにも真実を教えない。
りらちゃん、いつもひとりで空回り役。恋人も兄も、彼女のことを軽んじている。だから本筋に関係なし。物語の脇の方で、ぎゃーぎゃーわめいている印象。
……ひでえ。こんなトップ娘役の扱い、アリか?
『Practical Joke』を彷彿とさせるな。あれのヒロインも、物語の大筋には入れてもらえず、脇の方で勝手にぎゃーぎゃー言ってるだけだった。
んでもって、『Practical Joke』も、ぶっこわれたひでー作品だった。(萌えがあったので、好きだけど・笑)
植田作品が壊れているのなんか、あたりまえというか、大前提なのでもー、気にするよーなことでもないんだろーけど。
せっかくホモだから(をい)、ちょっと検証してみようかなと思う。以下翌日。
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