今さらですが、星組観てきました。

 あまりにもヅカから遠ざかった日々を送っていたので、忘れそーだった……。心は来月の東宝『エリザベート』なわたし……。

 芝居もショーもたのしく拝見いたしました。
 宙組御一行様も客席に登場、たかはなを客席で見かける回数は他のスターさんよりほんと多いですなあ。

 さて、『ガラスの風景』は。
 なんともノリの難しい作品だなあ、と。
 どこでどういうふーにノればいいのか、わからんままに終わってしまった。
 謎解きあたりまで気づかなかったんだが、そんちゃんの役って、美女だったんだな? いやあ、この大前提をスルーしてたもんだから、あちこちで思考が滞っちゃったよ。
 そんちゃんが美女なら、すべてわかる。美貌で妖艶な人妻なわけだ。奔放に生きる恋多き女なわけだ。旦那のガイチとは仮面夫婦なわけだ。
 ……美女だと気づかずにいたもんだからさ……。ふつーのおばさんだと思っちゃってたからさ……。ミステリになってくんないよな、そりゃ。
 ごめんそんちゃん、ごめん柴田せんせ、わたしが迂闊でした。

 とゆーのも、だ。
 この物語のなかでの、ぶっちぎり断然いちばん、超絶美貌で可憐でかわいくてコケティッシュで、すべての人間をめろめろにしてしまう魅力的なハニーは、警部さんだったんだもん。
 わたし視点。
 びしりとスーツ着て、シニカルな笑いなんぞを浮かべてたりする、あのかわういハニー。
 小柄なのに、尊大な仕草なんかしちゃってさ。慇懃な喋り方とかしちゃってさ。
 ああ、なんてきれーでかわいくて魅力的なの。
 絶対あんたがいちばん、あーたがいちばん美人!
 ……てことで、警部以外の人に美人がいるなんて、気づかなかったんですわー。

 ははははは。

 警部の次に、銀行家の御曹司を美人だと愛でておりました。はー、眼福眼福。

 とまー、アホウな話は置いておいて。

 さて、これはサスペンスものなんでしょーかね。殺人事件のからんだ恋愛ドラマなのよね?
 相変わらず先入観ナシ下準備なにもナシで観て、あちこち首傾げてました。
 誰が出てるのかもチェックしてないからさー、未沙のえるさんがいたのにおどろいたよ。まさかまやさんの太股を拝めるとはなー。長生きはするもんだ。

 金持ち別荘地区である、あの有名なイタリアのコモ湖。そこにはいろーんな国からお金持ちが集まってひと夏のバカンスをたのしんでいる。
 そこで起こった殺人事件。殺された男はどーやら複数の金持ちたちを恐喝していたらしい。容疑者は殺人現場となった富豪邸の次女、その恋人で銀行家の御曹司、画家、政治家の息子、そして新顔の貿易商。
 主人公はこの新顔の貿易商で、取り乱す富豪邸の次女に同情したのかなんなのか、関わり合ったあげく、長女と意気投合、自ら捜査を開始する。……んだが。
 ドラマにノることができなかったのは、なんといっても主人公に感情移入できなかったことが大きい。いや、ヅカの主人公に感情移入を求めちゃいかんが(某谷せんせの主人公なんて、キチガイぞろいだしな)、それを踏まえた上でも、この貿易商は人間性が最後までわからなかった。
 ひとことで言うなら、「薄」かった……。
 他の人たちは、わかりやすくて、役割が簡単につかめたんだけどなー。主役がなにしたいのか、よくわかんなかった。
 彼はただの巻き込まれ型の主役ではなく、また単純な探偵役でもなく、彼自身秘密のかほりを漂わせていたりもするわけだ。なんせ容疑者のひとりだしな。
 でもそれが、裏目に出たかな。
 巻き込まれ型の主役なら、役割もキャラ立てもはっきりしているさ。また、単純な探偵役だとしてもな。
 しかし、「ひょっとしたら犯人かもよ?」な主役で探偵役だからなあ。ミステリアスを狙ったら、薄くなりました、てか。
 ゲームでよくあるじゃん、主人公の名前も顔グラフィックも人格もナシってやつ。プレーヤーが好きにイメージできるよう、なにも個性がないの。
 なんにでも染まれる代わりに、個性はナシ。犯人かもしれなくて、探偵役で、恋なんかもしちゃって、主役だから観客の視点役もやっちゃって、と、なんでもやる代わりに、個性は薄く。
 役割を最後まではっきりさせないままに、たった1時間半でミステリをやるもんだから、主人公がどんな人でなにをしたいのか、確証が持てないままに終わってしまった。
 ノれなかったなー。

 タカラヅカはリピート観劇が基本だから、それを狙っているのかもしれない。
 主役の役割を理解したうえで観る、2回目以降の観劇ならば、いろいろとたのしめそうだ。
 主役は「いい人」。
 なんか思わせぶりなことがいろいろでてくるが、それは無視してヨシ。彼は「いい人」だ。迷うな、まちがうな。
 ついでに、年齢とか(ご丁寧にも、37才、と繰り返されるのだ)、見た目の老けっぷりも、気にするな。
 彼の心は「少年」だ。
 37才だなんて思って観たら、混乱するぞ。なんせ彼の悩みやつまずきは、10代の少年のやうなセンシティヴ・ハートゆえだ。
 40前のおっさんが、悩んでサマになるよーなことではないことで、いろいろ悩んでいる「潔癖な少年」のやうな「いい人」なのだ。

 わたしは最後まで観て、「おっさん、悩みはソレかいっ」と盛大に突っ込んでしまったクチなので、2回目以降ならば「実年齢がどうあれ、あーゆーことで悩めるコドモな男なんだ」と納得したうえで観るさ。

 まあ、好みの問題、というのあるだろうな。

 わたしにしてみれば、主役貿易商の抱える苦悩は、とても青臭くて笑止なものだったんだわ。
 彼はミステリアスな青年(には見えないが、設定は青年貿易商)らしくて、とーっても暗い過去があるらしい。死を求めたこともあったさ、しかし時が傷を癒してくれてだな……てな、人生を小娘相手に語ってみたりな。
 暗い過去を持つ男。傷ついた少女を助けたり慰めたりする、やさしい男。現在は金持ちで成功者で、社交的で洗練されていて、すべてを持ち合わせていそーな男。しかし、その裏でどーやらキナ臭いことにも関わっていそうな、危険な男。
 んでもって実際彼は、貧しい生まれから実力で這い上がってきたのに、一度徹底的につまずいていた。恋人は死ぬわ、仕事は失敗するわでまさにどん底。そこから立ち直るために悪に手を染める。それゆえに今の地位を築いたってわけだ。
 ここまではいい。
 問題は、37にもなるこの男は、自分の今までの人生に、なんの覚悟も責任も持ってなかったってことだな。
 彼は恋をした。真実の恋らしい。なんでいつの間に恋に落ちたのか、よくわかんねーけど、とにかく恋に落ちた。
 そしたらあっちゅー間に、今までの人生、全否定。
 禊ぎをすませないことには、彼女と生きることはできない、と、断腸の別れ。
 ありゃー。
 なんでそこまで、簡単に全否定できるの、自分の人生。
 今、ここで彼女に出会い、恋をしたのは、今の自分でしょう?
 そりゃ犯罪組織と関係している悪人かもしれないけどさ、それを含めたすべてひっくるめた、「今の自分」だからこそ、彼女と恋ができたのよ?
 人は生まれ変われる。何度でもやり直せる。それはわかる。
 でもそれはさ、現在を受け止めたうえででしょー?
 10代のコドモならともかく、40前の男が、なにキレイゴト言ってんだ? と、首を傾げました。それは再出発というより、逃げなんじゃねーの?
 なにもかも彼女に話して、それでもアイシテルって言えよー。それでも俺にツイテコイって言えよー。もしくは、俺が過去を清算して迎えに来るのをマッテイロ、って言えよー。
 
 自分の過去を、「ナカッタコト」にして、それから愛を築こうなんて思うなよー。
 警察に追われる立場だから彼女を巻き込めない云々はわかるけど、それでもその事情を、ちゃんと話して欲しかったよ。自分の言葉で。意志で。
 言わないのがやさしさ、みたいな描き方してるのもまた、好みじゃなかったのさ。言わないのはやさしさでも思いやりでもなく、ただの勝手、だからそんな、悲劇の主人公みたいな描き方はよせ。

 好みの問題なんだろーなー。

 主人公がなんとも薄くてねえ。
 いつの間にか恋に落ちていたと思ったら、せっかく悪の人だったらしーのに、どうやらその生き方も中途半端だったらしく恋した途端全否定。
 そっか、少年のよーなセンシティヴ・ハートな男だったんだと納得するまで、人格が見えなかったよ。立場と言動が一定して見えてくれなかったから。
 あそこで過去を全否定するのも、薄さの言い訳めいて見えたしな。自分の人生に覚悟を持った大人の男なら、あーゆー苦悩はしないだろう、って。

 2回観れば、彼にも好意を持てるかもしれない。
 1回しか観てないので、この感想はあくまでも、なにも知らずに観た人間の、とってもライトな感想なのだ。
 ディープに語る資格はまだない。なんせ1回こっきり。しかも警部萌え。

 ああしかも、主役の感想書いてるだけで、文字数リミットだよ。
 しょーがないから、明日に続く。


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