「母親ってさ、スーパーで和菓子買ってこない? アレ、ゆるせないんだけど」
「買ってくる買ってくる」
「ヤ*ザキかなんかの和菓子! どーしてこんなもん買ってくるのよ、ほんのちょっと行けば、ちゃんとした和菓子屋さんがあるでしょ、どうせならおいしい和菓子が食べたいじゃない! でも何度言ってもだめなの、母親って。『面倒だから』ってスーパーで和菓子を買うのよっ」
ゆるせないっ。
…………と、普段は穏やかなあらっちの叫びと、やはり普段は穏やかなきんどーさんの同意の声を聞いていた。
第九の練習のあとの、喫茶店にて。
何故か和菓子の話題で盛り上がる。
わたしは無口。
だってうちの母親もスーパーでヤマ*キとかの和菓子買ってくるけど、べつにわたしそれ、平気なんだもん……。
ていうか。
わたし、あんこダメなんっす。
甘いモノは自分では好きだと思っているけど、食べられないモノが多い。あんことチョコレートはダメ。甘すぎて食べられない。フルーツの缶詰もダメ。炭酸で中和されていない、甘さだけが売りのジュースもダメ。ムースポッキーとかも甘すぎてダメ。
甘いから食べられない、というものがたくさんある。
かわりに、辛いモノはぜんぜんOKなんだけども。(しょっぱいモノではなくて、辛いモノね)
おまんじゅうでいちばん好きなのは、「皮」だからなあ。中のあんこはいらない……。
だから、「皮」が分厚いものほど、わたしにとっては「おいしい」ことになる。
おまんじゅう、あんまん、たいやき、シュークリーム……中身が少なく、皮が分厚いのが好き。
その昔、某和菓子チェーン店でアルバイトしたときは、大変でしたなあ。
自分が食べられない、おいしいと思えないモノを売る、というのは……。
おやつをいただくときも、「これなら甘くないよ」という言葉を信じて食べて、「嘘だ、十分甘いじゃん!」と言えず、なんとか半分食べたけど残り半分どーしよー、でも食べないと失礼だよね……と笑顔の下で悩んだなー。
友人に頼まれてやっていた、助っ人バイトでした。自分で選ぶなら、食べられないモノを売る仕事は選びません……。
「あたし、和菓子にはちょっとうるさいよ」
「あたしも和菓子がマイブームでねー」
あらっちときんどーさんは、熱く語る。
「わらび餅が食べたくてしょーがないの、おいしいわらび餅が!」
「うんうん、いいよね、わらび餅」
店の名前がいろいろ出ているが、わたしにはよくわからない。
わらび餅とゆーと、我が家ではやはり、彼女たちが「ゆるせない!」と言う、スーパーで98円のわらび餅を、母がよく買ってくる、夏の間。
弟の大好物なので。……とゆーのも弟は甘党。和菓子があるとにこにこ食べている。チョコレートも大好物だ。わたしの敵である白桃の缶詰なんかも、じつにうれしそーに食べる。
98円のわらび餅も、彼はうれしそーに食べる。
わたしはわらび餅をことさらありがたがることはないので、弟が食べているわらび餅を、横から数個つついただけで満足。1人前はとても食べられない。
そーいやきんどーさんやあらっちと、「おいしいわらび餅」の店にわざわざ行ったことがあったね、昔。
わたしは「友だちと歓談」するのが目的だから、わらび餅なんかどーでもよかったし、また、特別に「おいしい店」と言われてそれなりの値段を払ったおぼえはあるが、劇的においしかった記憶はない。
わたし、グルメとはほど遠いんだよね……。
わたしが口を挟めないウチに、ふたりは京都にあるというおいしい和菓子の店に行く話で盛り上がっている。
ああ、ほんとに好きなんだね。
わたしにとって「食べること」はあまり重要な意味を持っていない。必要だからしていることで、たのしむよーなものではないからだ。
だから、わざわざ「おいしいモノを食べに行く」という文化にはなじめずにいる。
どこかへ「行ったついでに、おいしいモノを食べる」ならアリなんだけども。
そーいやきんどーさんたち元の職場の仲間たちとは、わざわざ「おいしいモノを食べに行く」ために何十分も電車に揺られたりしたなー。わざわざ京都、わざわざ神戸。お店に行って、食べて、帰る。また何十分も電車に乗って。
わたしはそういう文化になじみがなかったので、「嵐山に行くってことは、そのへんのお寺の散策だよなっ」と勝手に思いこんでいたよ。ごはんは「ついで」だと思って参加したんだ。まさか「ごはん」ごときが目的だとは思わなかったから。
食は文化。
そしてわたしは、文化レベルが低い。
「梅田にシフォンケーキの専門店ができてて、わたし、シフォンケーキ大好きだから食べたいんだけど、イートインできないのよ。わざわざ買って帰ってまで食べたくないし」
と、わたしは言いました。
わたしがケーキの中でいちばん好きなのは、シフォンケーキです。フルーツもアイスクリームもチョコレートもいらん、純粋にケーキ、そしてクリームは自分で加減しながらつける。だからシフォンケーキが好き。あまり甘くないから。
そのいちばん好きなケーキでさえ、買ってまで食べたくない。
「喫茶店だったらよかったのに。そしたら、友だちとお茶するたびにそこの店に行くのに」
わたしにとってケーキは「友だちと歓談する」ためのアイテム。
自分のために自分で買って、家でひとりで食べたいわけじゃない。
……あれ? それってつまり、純粋に「食べ物」としては好きじゃないってことか?
「そうね、ケーキはわざわざ買わないかな」
「和菓子なら食べたいときは買って帰って食べるけど。ケーキはね」
と、友人たちは同意してくれたけど。
あれ。わたし、ハズレたこと言いました?
みんな、ほんとはケーキも買って帰って食べたりするの?
食は文化。
むずかしいっす。
「買ってくる買ってくる」
「ヤ*ザキかなんかの和菓子! どーしてこんなもん買ってくるのよ、ほんのちょっと行けば、ちゃんとした和菓子屋さんがあるでしょ、どうせならおいしい和菓子が食べたいじゃない! でも何度言ってもだめなの、母親って。『面倒だから』ってスーパーで和菓子を買うのよっ」
ゆるせないっ。
…………と、普段は穏やかなあらっちの叫びと、やはり普段は穏やかなきんどーさんの同意の声を聞いていた。
第九の練習のあとの、喫茶店にて。
何故か和菓子の話題で盛り上がる。
わたしは無口。
だってうちの母親もスーパーでヤマ*キとかの和菓子買ってくるけど、べつにわたしそれ、平気なんだもん……。
ていうか。
わたし、あんこダメなんっす。
甘いモノは自分では好きだと思っているけど、食べられないモノが多い。あんことチョコレートはダメ。甘すぎて食べられない。フルーツの缶詰もダメ。炭酸で中和されていない、甘さだけが売りのジュースもダメ。ムースポッキーとかも甘すぎてダメ。
甘いから食べられない、というものがたくさんある。
かわりに、辛いモノはぜんぜんOKなんだけども。(しょっぱいモノではなくて、辛いモノね)
おまんじゅうでいちばん好きなのは、「皮」だからなあ。中のあんこはいらない……。
だから、「皮」が分厚いものほど、わたしにとっては「おいしい」ことになる。
おまんじゅう、あんまん、たいやき、シュークリーム……中身が少なく、皮が分厚いのが好き。
その昔、某和菓子チェーン店でアルバイトしたときは、大変でしたなあ。
自分が食べられない、おいしいと思えないモノを売る、というのは……。
おやつをいただくときも、「これなら甘くないよ」という言葉を信じて食べて、「嘘だ、十分甘いじゃん!」と言えず、なんとか半分食べたけど残り半分どーしよー、でも食べないと失礼だよね……と笑顔の下で悩んだなー。
友人に頼まれてやっていた、助っ人バイトでした。自分で選ぶなら、食べられないモノを売る仕事は選びません……。
「あたし、和菓子にはちょっとうるさいよ」
「あたしも和菓子がマイブームでねー」
あらっちときんどーさんは、熱く語る。
「わらび餅が食べたくてしょーがないの、おいしいわらび餅が!」
「うんうん、いいよね、わらび餅」
店の名前がいろいろ出ているが、わたしにはよくわからない。
わらび餅とゆーと、我が家ではやはり、彼女たちが「ゆるせない!」と言う、スーパーで98円のわらび餅を、母がよく買ってくる、夏の間。
弟の大好物なので。……とゆーのも弟は甘党。和菓子があるとにこにこ食べている。チョコレートも大好物だ。わたしの敵である白桃の缶詰なんかも、じつにうれしそーに食べる。
98円のわらび餅も、彼はうれしそーに食べる。
わたしはわらび餅をことさらありがたがることはないので、弟が食べているわらび餅を、横から数個つついただけで満足。1人前はとても食べられない。
そーいやきんどーさんやあらっちと、「おいしいわらび餅」の店にわざわざ行ったことがあったね、昔。
わたしは「友だちと歓談」するのが目的だから、わらび餅なんかどーでもよかったし、また、特別に「おいしい店」と言われてそれなりの値段を払ったおぼえはあるが、劇的においしかった記憶はない。
わたし、グルメとはほど遠いんだよね……。
わたしが口を挟めないウチに、ふたりは京都にあるというおいしい和菓子の店に行く話で盛り上がっている。
ああ、ほんとに好きなんだね。
わたしにとって「食べること」はあまり重要な意味を持っていない。必要だからしていることで、たのしむよーなものではないからだ。
だから、わざわざ「おいしいモノを食べに行く」という文化にはなじめずにいる。
どこかへ「行ったついでに、おいしいモノを食べる」ならアリなんだけども。
そーいやきんどーさんたち元の職場の仲間たちとは、わざわざ「おいしいモノを食べに行く」ために何十分も電車に揺られたりしたなー。わざわざ京都、わざわざ神戸。お店に行って、食べて、帰る。また何十分も電車に乗って。
わたしはそういう文化になじみがなかったので、「嵐山に行くってことは、そのへんのお寺の散策だよなっ」と勝手に思いこんでいたよ。ごはんは「ついで」だと思って参加したんだ。まさか「ごはん」ごときが目的だとは思わなかったから。
食は文化。
そしてわたしは、文化レベルが低い。
「梅田にシフォンケーキの専門店ができてて、わたし、シフォンケーキ大好きだから食べたいんだけど、イートインできないのよ。わざわざ買って帰ってまで食べたくないし」
と、わたしは言いました。
わたしがケーキの中でいちばん好きなのは、シフォンケーキです。フルーツもアイスクリームもチョコレートもいらん、純粋にケーキ、そしてクリームは自分で加減しながらつける。だからシフォンケーキが好き。あまり甘くないから。
そのいちばん好きなケーキでさえ、買ってまで食べたくない。
「喫茶店だったらよかったのに。そしたら、友だちとお茶するたびにそこの店に行くのに」
わたしにとってケーキは「友だちと歓談する」ためのアイテム。
自分のために自分で買って、家でひとりで食べたいわけじゃない。
……あれ? それってつまり、純粋に「食べ物」としては好きじゃないってことか?
「そうね、ケーキはわざわざ買わないかな」
「和菓子なら食べたいときは買って帰って食べるけど。ケーキはね」
と、友人たちは同意してくれたけど。
あれ。わたし、ハズレたこと言いました?
みんな、ほんとはケーキも買って帰って食べたりするの?
食は文化。
むずかしいっす。
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