さて、今日は映画だ、『ごめん』、出演者舞台挨拶付き試写会。

 試写会だから行った。自分で金を払うなら絶対行っていない。
 とゆーのはべつに、映画のできばえ云々でなく、この映画の予告を見たときに思ったこと。
 わたしはきっと、この映画では楽しめないだろう。そう思ったからだ。

 実際見に行って……まあ、まがりなりにも映画だから、ちゃんとたのしんだけれど、やっぱり感想は変わらなかった。
 金を出してまで見たくない。
 予告を見て思ったとおり、わたしはこの映画には向かない。たのしめない。
 では、どんな人が楽しめるのだろう?

 児童文学の映画化作品、らしい。主人公は小学6年生の男の子。彼はクラスで(たぶん)いちばんに「蛇口が開いた」(映画の中での表現のひとつ。他には「汁が出た」とか)。そして彼は、ふたつ年上の中学2年生の女の子に恋をする。初恋ってやつだ。
 つまり、カラダもココロも思春期なわけだ。
 そんな男の子の日常の物語。

「ほほえましくもちょっと切ない、誰もが経験する思春期の一瞬を切り取った宝箱のような映画です」
 と、もらったチラシには書いてあった。

 そしてわたしは、映画を見ている間中、首を傾げていた。

 この映画、視聴対象者は、誰を想定しているんだろう??

 チラシのあおりを見る限り、大人が対象のようだ。今の子どもの青い初恋を見ることによって、昔の自分を思い出してほろ苦い気持ちになれってか。
 たしかに、そんなふーな作りもしてあった。
 というのも、笑いが起こる場面というのが、スクリーンの子どもたちが「大人のような言動」を取るシーンばかりなのな。
 恋愛関係で、大人の男と女がかわすような言葉を、神妙な顔で子どもが言う。ソレを見て大人である観客が笑う。
 ……てことはこれ、大人対象?

 しかし、大人対象であり、「ほほえましくもちょっと切ない、誰もが経験する思春期の一瞬を切り取った宝箱のような映画」とするにはあまりにも、ファンタジーが欠けている。
 せつなさや痛み、うつくしさ。はかなさや、きらめき。
 大人が失った時代を懐古して、掌の中の宝物をのぞくような気持ちにはほど遠いんだけど、この映画。
 「今の子どもをリアルに描いているから、ファンタジーに欠けるのは仕方ない」……という意味でもない。現在をリアルに描いたって、ファンタジーを描くことはできるからだ。
 なんだかとても、中途半端だったんだ。

 たとえばこの映画を子どもが見て、たのしめるのか?
 あまりにもファンタジーに欠けるので、大人対象だとは思えなかった。では、実際に今現在、登場人物と同じ年代の子どもたちが見て、共感できるのか?
 わたしには、それが疑問だった。
 現在の子どもから見れば、「なんだこれ。ズレまくってる」「こんな子どもいないよー(失笑)」なものじゃないのか? と。

 わたしは原作を読んでいない。だから、原作がどうなのかはわからない。
 しかし、原作は「子どものモノ」に近いスタンスなんじゃないだろうか。
 子どもが読んで共感できる作品なんじゃなかろーか。
 しかし、映画は大人のモノだ。大人が見るためにつくられている。
 わたしが感じた「気持ち悪さ」はそこに由来しているのではないだろうか。

 現在の子どもが共感できる物語を、「大人の目線」で撮っていること。

 大人が、「子どもってのはこんなもんだよな」と、見下して作っている。

 高いところから、見おろしている。

 だから、主役の子どもが大人びた物言いをするシーンで、大人の観客が笑う、などという状態になる。
 なんで笑う? 子どもからしたらその言葉は「大人の真似」ではなく、ナチュラルに今現在使っている言葉なんじゃないの? 勝手に大人が「意味もわからず、大人の真似をして。ふふっ、子どもね(笑)」と思っているだけじゃないの?

 全編に気持ち悪さが漂っていて、素直に「ほほえましくもちょっと切ない、誰もが経験する思春期の一瞬を切り取った宝箱のような映画」としてたのしめなかったのよ。
 わたしが子どもの恋を描くなら、こんな描き方はしたくない。
 大人向けにノスタルジックにやる。わたしにはもう、リアルな現在の子どもなんか描けないから。それくらいなら、現代のエッセンスを使いながらも「完全に大人向け」な作品にする。
 こーゆー気持ち悪い思い上がった作品は、描きたくないよぅ。

 かえって原作に興味がわきました。原作はすごくおもしろいのかも。

 「父親」の存在はすごくよかった。主人公の父親も、ヒロインの父親も。どっちもタイプはちがうが、かわいい大人の男たち。

 んで、出演者たちの舞台挨拶。
 ……子どもはいいよな。ふつーに喋るだけでもウケる。ってソレ、動物扱いされてるよーなもんだけどな。
 クールでモテモテの少年(ひとりだけいつも短パン。……サービス? 彼がお花ちゃんなの?)役の子が、「役柄が正反対すぎて苦労しました」と言っていたのが印象的。いちばん小柄で幼い子。だけどものすごく大人びた喋り方。照れてろくに喋れないんだけど……言葉の端々に「うわ、この子すげー大人っぽい」というのが匂っていた。
 主役の子が「演技というか……ほとんど地というか……もごもご」と、姿勢も悪く、素人同然のぱっとしない喋り方で通していたのもまた、印象的。
 そして主役の子は言う。「なんで『ごめん』ってタイトルなのかわかりません……台詞でも2回くらいしか出てこないし……」

 そっか、わかんないのか。
 わたしにはわかったけどなあ。
 主人公たちが剣道部ってのも、タイトルにひっかけてあるんだろーなー、と思って最初にくすりとしたけどな。

          ☆

 見終わった後、隣の席のカップルが席を立ちながら喋っていた。

女「わたしのオバが出てたから、おどろいちゃった(首を傾げている。どーやら知らなかったらしい)」
男「オバさん? えっ、出てたの?!」
女「うん、ちらっとだけど。オバさん、元宝塚だから……。テレビでも、サスペンス劇場の犯人の母親とかしか、やってないし……」

 なんですとぉ?
 出てたのか、元タカラジェンヌ?! 誰だよ?

 わかるわけないけどな……そっか……サスペンス劇場の犯人の母親か……せつないなー。

 

コメント

日記内を検索