Be-Puちゃんが悲鳴を上げた。
「緑野さん、なんてことするの!!」

 はあ?
 なんすか?

 わたしにはBe-Puちゃんの悲鳴の意味がわからない。
 うちのバカ猫が粗相をした。わたしはなにも知らずにそこを踏んだ。
 うわーん冷たい、足が濡れちゃったよー、汚れちゃったよー。
 てことで、濡れた足を台所で洗っていた。
 そのわたしの背中に、Be-Puちゃんは悲鳴をあげたんだ。

 濡れた右足を流しに突っ込んで、水道水で洗っていたわたしは、考えた。
 あ、ひょっとして、「流し台に足を乗せるなんて、緑野さんたらなんてお下品なのっ?!」という意味かしら。
「仕方ないじゃん、濡れた足で風呂場まで歩いたら、その分家の中が汚れちゃうし。流しまでは3歩だったし……」
 言い訳するわたしに、Be-Puちゃんは言う。
 わたしが夢にも思わないことを。

「そーじゃなくて、なんで流しに片足を乗せることができるのっ?! わたしだったら絶対届かないよ!」

 …………はい?

「身長差ってすごいよね。わたしなら、そんなことやろうなんて、思いつきもしないよ。わたしと緑野さん、身長差20センチもあるもんね」

 ちょっと待て。
 20センチ?
 Be-Puちゃんあんた、身長いくつよ?

「153センチ」

 ……153センチでどーしてわたしとの身長差が、20センチなの?

 まずいと気づいたのか、Be-Puちゃんはあわてて言い直す。
「約20センチ」

 どーせわたしたち、アタマひとつ分身長ちがいますけどね。
 Be-Puちゃん。あーたいちいち過剰反応しすぎ!
 なにかと思ったよ……。

 

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