おどろきトドロキ。@トドコン『Stylish!』
2002年9月5日 タカラヅカ トド様のコンサートが東京で行われる。
この事実に、わたしは奔走することになった。
わたしはトドのファンである。
もう14年もファンをやっているので、ファンであることを忘れているが、よーく考えるとファンなんだ。
ファンだから、行かなければならない。
わたしの周りにトドのファンはひとりもいない。ネットをうろうろしても、なんかファンは少なそーだ。
だからわたしは、楽観していた。チケットなんか楽勝で取れるって。取れすぎたらこまるなあ、さばけないよ。
……取れないじゃん。「譲る」も出ないじゃん。オークション高騰してんじゃん、手が出ないよ!
トドコンの日程に合わせて取った雪東宝のチケットどーすんだよ、雪だけのために上京する余裕なんかないよ。
ヘコみましたわー。
ところが神が現れた。
CANちゃんがCSのご招待券をGETしてくれたんだ。「当たるよーな気がする」と言っていたCANちゃん、「CSのHP見たら名前載ってた。やっぱり当たったみたい」で有言実行、しかもA列センターっす!!
あんた神だ、CANちゃん!!
本業の〆切間際、時間に追われていたが、CANちゃんの仕事を手伝いにミナミまで通った。ちょっとでも恩返しがしたかった。CANちゃんによろこんでもらえることをしたかった。
とにかく今回本業がつらくてだな、くじけそーになる自分を奮い立たせるため、トド様のチケットをパソコンの前に貼った。
これに行くんだ、トド様に会いに行くんだ、そのためにがんばるんだわたし! と、中学生のやうな純情さで日々を過ごしておりましたさ。
たのしみなだけだったトドコン、そこにたどりついたときは、わたしははっきり言ってボロボロだった。いや、いろいろあったのよこれがもー。
精神的にも肉体的にも。
貧血起こしてたから、意識もーろーとしてたしなあ。
倒れるな、俺! とか、自分で気合いを入れてな。今は倒れてる場合じゃない、そんな甘えたこと言ってる場合じゃない、それでもあきらめられなかったトドコンだ。
なんといいますか。
わたしはトドのファンなんだなと、再確認させられましたよ。
あの状態でも、あきらめなかったもん。コンサート行くの。
つーか、「絶対行くんだ!」という意固地なまでの決意が、わたしを支えていた。
なんでそこまでボロボロになっていたかの日記はまた日を改めるとして。
素晴らしかった、トドコン『Stylish!』。
コンサートっていうから、コンサートだと思ってたのよ。
ふつーに、ひとりが真ん中でえんえん歌ってます、バックダンサーが後ろで踊ってます、途中はMCあってなんかどーでもいい話して客をよろこばせて、またひとりがずーっと歌って……。
あれ?
わたしがその日見たものは、ふつのーコンサートではなく、「タカラヅカ」でした。
これって、タカラヅカだ……。
それが新鮮な驚きだった。
コンサートだと思ってた。いや、あきらめていた、とも言う。どーせコンサート。トドひとりが歌ってるのよね、ずーっと。ディナーショーのディナーなしってとこ?
安いからその方がいっかー。
ところがどっこい。
そこにあるのは、「タカラヅカ」だった。まぎれもなく。
印象としては、ふつーに大劇場でやっているショーの、ミニチュア版。
トップ男役スターを中心にした、ヅカのもっともヅカらしい世界。
一緒に出ている宙組の子たちも、名もなきバックダンサーではなく、タカラヅカのスターのひとりとしての役割を果たしている。
だってちゃんと、彼らのシーンが、見せ場がある。衣装も着替えまくる。
ストーリーのあるダンスシーンもある。トドロキマフィア組長(ロンリーハート。クールだけど憂いアリ・笑)が、ヘマをやった若いのを制裁として射殺し、その若い男の親友(恋人?・笑)が復讐としてトドロキ組長を刺殺。組長、劇的に死す。……なんて、ヅカのショーではありがちなものを、ちゃーんとやってくれるんだもの。全員スーツにソフト帽の男役だけのダンス。
トドロキの露出が多いけれど、それはトップスターだってことで納得すれば、ほんとにふつーにショーだった。
2番手すっしー、3番手はっちゃん。4番手がリキくんかな? トップ娘役はいないけど、まあたぶん、ふーちゃんかしら。
すっしーの色気は言うまでもないが、愉快だったのは初嶺のはっちゃん。
もー、キザりまくりー(笑)。
ものすごい自己アピールでした。カオゆがめまくってのウインク連発。この子、こんなキャラだっけ? 人数少ないのをいいことに、はじけきってる。「わたしを見て! 男役初嶺まよここにアリ!!」と全身で叫んでる。……カオは子どもなんだけどね……。
トド様は相変わらずでした。
どこまでも轟悠。
なにひとつ、変わらない。
変わっていくことがタカラヅカの宿命であり、人の宿命である。
しかし……。
変わらないものが、あってもいいと思った。
ひとつくらいは。
流転の日々、疲れたときにふと思い出してそのドアを開ける。
するとそこは、はじめて行ったときと同じ。同じ音楽同じインテリア、同じ笑顔。ほっとして、昔と同じ席に坐る。
失った時間は戻せないけれど、それを知っていてなお、昔に戻ったような青さとやすらぎを感じてほっと息をつく。肩の荷を下ろす。
そーゆーのは、必要だなと思った。
精神状態も関係して、ほぼ全編にわたって泣きながら聴いていたんだが(わたしはなにを見ても聴いてもまず泣くから、涙はあまり関係ない)いちばんキいたのは、『パッサージュ』の曲だな。
オープニングが、トドのトップになってからの大劇作品メドレーだっんだが。
『猛き黄金の国』ではなくて『パッサージュ』だった。タイトルはわからんが、中詰めの曲だった。
ものすごく、好きな曲。
トドの声の中でいちばん好きな声で歌う曲なのね。そして、作詞がオギーだから、繊細で痛い。
「おびえた憎しみ抱え」というワンフレーズで、わたしを撃沈した曲だ。
おびえた憎しみ、って、どんな憎しみだね?
……なんかもー果てしなく、かなしい感情じゃないか、それ。人間が抱くなかでも、最高にかなしくせつない感情のひとつじゃないか?
まさかこの曲をもう一度、生で聴くことができるとは思ってなかったからさー。
一発で倒れました。マットに沈んだよ、わたしゃ。
や、ほんとにたのしかった。
しあわせを噛みしめました。
「好き」ってのは、ものすごいことだと思うよ。
わたし、前に一度立てなくなったことがあるんだよね。
なにがどうじゃなく、用があったからしゃがんだの。そしたらそのまま、立てなくなった。
絶望が押し寄せてきてね。
その瞬間までまったくふつーだったのに、ふつーに「あら、スリッパがばらばらだわ。揃えなきゃ」ってしゃがんで、スリッパを揃えた。そしたらそのまま、立てなくなった。
わたしはもうだめだ。もう二度と立てない。
そう思った。
絶望っちゅーのは、ああいうもんなんだなと思う。理屈ではなく、脈絡もなく、わたしは絶望した。
魔が差す瞬間、ての? 反射的に自殺しちゃう人の心境?
頭はからっぽで、ただ涙だけ勝手に流れていた。
そのからっぽの頭に、音楽が流れてくる。
音楽をつけたまま掃除をしていたのね。
タカラヅカのCDだった。
ショーのたのしい音楽が流れていてね。
気が付くとわたしは歌を口ずさんでいた。
立ち上がっていた。お掃除の続きをはじめていた。歌いながら。
……もう立てないと思ったのにね。
それは、わたしに「好き」があったからだと思う。
好きなモノがあるから、わたしはなんとかこちらの世界に踏みとどまることができる。
それはべつに、大したことじゃない。小さな「好き」がいっぱいあって、それらはわたしによろこびをくれる。
「好き」ってのは、最大限のちからだと思う。才能だと思う。
生きる、才能。
トドコンでわたしはまた、確認した。
わたしの「生きる才能」。
わたしは生きることが好き。
この世界にはよろこびがあふれている。
大好きなものがあふれている。
トドはそのうちのひとつだ。
トドが全部じゃないよ。
そのうちの、ひとつ。
そのうちのひとつ、がいっぱいあって、わたしはしあわせな人間だと思う。
わたしには生きる才能がある。
たのしむ才能がある。
それはわたしを、救う。
たかちゃんと花ちゃんが来ていた。
わたしの3列前、最前列だ。おかげでトド様はじめ、キャストのテンションの高いこと。わーい、得したー。
わたしの席、4列目のドセンターだったからさー、「トド様ひょっとして、わたしのために歌ってる?」という錯覚すら起こるほど、視線来まくるしもー、しあわせ絶頂(笑)。
スタンディングになるたび貧血のせいでふらついてたけど、昂揚してるもんでぜんぜん平気! いつもなら後ろの人のことが気になって立つのをためらうけど、今回は最前列にたかちゃんがいるから、わたしが立つくらいなによ! てなもんさ。スタンディングだと、わたしとたかこの頭だけがぼこっと出ているのがわかる(笑)。
好きでよかった。いろんなこと。
この事実に、わたしは奔走することになった。
わたしはトドのファンである。
もう14年もファンをやっているので、ファンであることを忘れているが、よーく考えるとファンなんだ。
ファンだから、行かなければならない。
わたしの周りにトドのファンはひとりもいない。ネットをうろうろしても、なんかファンは少なそーだ。
だからわたしは、楽観していた。チケットなんか楽勝で取れるって。取れすぎたらこまるなあ、さばけないよ。
……取れないじゃん。「譲る」も出ないじゃん。オークション高騰してんじゃん、手が出ないよ!
トドコンの日程に合わせて取った雪東宝のチケットどーすんだよ、雪だけのために上京する余裕なんかないよ。
ヘコみましたわー。
ところが神が現れた。
CANちゃんがCSのご招待券をGETしてくれたんだ。「当たるよーな気がする」と言っていたCANちゃん、「CSのHP見たら名前載ってた。やっぱり当たったみたい」で有言実行、しかもA列センターっす!!
あんた神だ、CANちゃん!!
本業の〆切間際、時間に追われていたが、CANちゃんの仕事を手伝いにミナミまで通った。ちょっとでも恩返しがしたかった。CANちゃんによろこんでもらえることをしたかった。
とにかく今回本業がつらくてだな、くじけそーになる自分を奮い立たせるため、トド様のチケットをパソコンの前に貼った。
これに行くんだ、トド様に会いに行くんだ、そのためにがんばるんだわたし! と、中学生のやうな純情さで日々を過ごしておりましたさ。
たのしみなだけだったトドコン、そこにたどりついたときは、わたしははっきり言ってボロボロだった。いや、いろいろあったのよこれがもー。
精神的にも肉体的にも。
貧血起こしてたから、意識もーろーとしてたしなあ。
倒れるな、俺! とか、自分で気合いを入れてな。今は倒れてる場合じゃない、そんな甘えたこと言ってる場合じゃない、それでもあきらめられなかったトドコンだ。
なんといいますか。
わたしはトドのファンなんだなと、再確認させられましたよ。
あの状態でも、あきらめなかったもん。コンサート行くの。
つーか、「絶対行くんだ!」という意固地なまでの決意が、わたしを支えていた。
なんでそこまでボロボロになっていたかの日記はまた日を改めるとして。
素晴らしかった、トドコン『Stylish!』。
コンサートっていうから、コンサートだと思ってたのよ。
ふつーに、ひとりが真ん中でえんえん歌ってます、バックダンサーが後ろで踊ってます、途中はMCあってなんかどーでもいい話して客をよろこばせて、またひとりがずーっと歌って……。
あれ?
わたしがその日見たものは、ふつのーコンサートではなく、「タカラヅカ」でした。
これって、タカラヅカだ……。
それが新鮮な驚きだった。
コンサートだと思ってた。いや、あきらめていた、とも言う。どーせコンサート。トドひとりが歌ってるのよね、ずーっと。ディナーショーのディナーなしってとこ?
安いからその方がいっかー。
ところがどっこい。
そこにあるのは、「タカラヅカ」だった。まぎれもなく。
印象としては、ふつーに大劇場でやっているショーの、ミニチュア版。
トップ男役スターを中心にした、ヅカのもっともヅカらしい世界。
一緒に出ている宙組の子たちも、名もなきバックダンサーではなく、タカラヅカのスターのひとりとしての役割を果たしている。
だってちゃんと、彼らのシーンが、見せ場がある。衣装も着替えまくる。
ストーリーのあるダンスシーンもある。トドロキマフィア組長(ロンリーハート。クールだけど憂いアリ・笑)が、ヘマをやった若いのを制裁として射殺し、その若い男の親友(恋人?・笑)が復讐としてトドロキ組長を刺殺。組長、劇的に死す。……なんて、ヅカのショーではありがちなものを、ちゃーんとやってくれるんだもの。全員スーツにソフト帽の男役だけのダンス。
トドロキの露出が多いけれど、それはトップスターだってことで納得すれば、ほんとにふつーにショーだった。
2番手すっしー、3番手はっちゃん。4番手がリキくんかな? トップ娘役はいないけど、まあたぶん、ふーちゃんかしら。
すっしーの色気は言うまでもないが、愉快だったのは初嶺のはっちゃん。
もー、キザりまくりー(笑)。
ものすごい自己アピールでした。カオゆがめまくってのウインク連発。この子、こんなキャラだっけ? 人数少ないのをいいことに、はじけきってる。「わたしを見て! 男役初嶺まよここにアリ!!」と全身で叫んでる。……カオは子どもなんだけどね……。
トド様は相変わらずでした。
どこまでも轟悠。
なにひとつ、変わらない。
変わっていくことがタカラヅカの宿命であり、人の宿命である。
しかし……。
変わらないものが、あってもいいと思った。
ひとつくらいは。
流転の日々、疲れたときにふと思い出してそのドアを開ける。
するとそこは、はじめて行ったときと同じ。同じ音楽同じインテリア、同じ笑顔。ほっとして、昔と同じ席に坐る。
失った時間は戻せないけれど、それを知っていてなお、昔に戻ったような青さとやすらぎを感じてほっと息をつく。肩の荷を下ろす。
そーゆーのは、必要だなと思った。
精神状態も関係して、ほぼ全編にわたって泣きながら聴いていたんだが(わたしはなにを見ても聴いてもまず泣くから、涙はあまり関係ない)いちばんキいたのは、『パッサージュ』の曲だな。
オープニングが、トドのトップになってからの大劇作品メドレーだっんだが。
『猛き黄金の国』ではなくて『パッサージュ』だった。タイトルはわからんが、中詰めの曲だった。
ものすごく、好きな曲。
トドの声の中でいちばん好きな声で歌う曲なのね。そして、作詞がオギーだから、繊細で痛い。
「おびえた憎しみ抱え」というワンフレーズで、わたしを撃沈した曲だ。
おびえた憎しみ、って、どんな憎しみだね?
……なんかもー果てしなく、かなしい感情じゃないか、それ。人間が抱くなかでも、最高にかなしくせつない感情のひとつじゃないか?
まさかこの曲をもう一度、生で聴くことができるとは思ってなかったからさー。
一発で倒れました。マットに沈んだよ、わたしゃ。
や、ほんとにたのしかった。
しあわせを噛みしめました。
「好き」ってのは、ものすごいことだと思うよ。
わたし、前に一度立てなくなったことがあるんだよね。
なにがどうじゃなく、用があったからしゃがんだの。そしたらそのまま、立てなくなった。
絶望が押し寄せてきてね。
その瞬間までまったくふつーだったのに、ふつーに「あら、スリッパがばらばらだわ。揃えなきゃ」ってしゃがんで、スリッパを揃えた。そしたらそのまま、立てなくなった。
わたしはもうだめだ。もう二度と立てない。
そう思った。
絶望っちゅーのは、ああいうもんなんだなと思う。理屈ではなく、脈絡もなく、わたしは絶望した。
魔が差す瞬間、ての? 反射的に自殺しちゃう人の心境?
頭はからっぽで、ただ涙だけ勝手に流れていた。
そのからっぽの頭に、音楽が流れてくる。
音楽をつけたまま掃除をしていたのね。
タカラヅカのCDだった。
ショーのたのしい音楽が流れていてね。
気が付くとわたしは歌を口ずさんでいた。
立ち上がっていた。お掃除の続きをはじめていた。歌いながら。
……もう立てないと思ったのにね。
それは、わたしに「好き」があったからだと思う。
好きなモノがあるから、わたしはなんとかこちらの世界に踏みとどまることができる。
それはべつに、大したことじゃない。小さな「好き」がいっぱいあって、それらはわたしによろこびをくれる。
「好き」ってのは、最大限のちからだと思う。才能だと思う。
生きる、才能。
トドコンでわたしはまた、確認した。
わたしの「生きる才能」。
わたしは生きることが好き。
この世界にはよろこびがあふれている。
大好きなものがあふれている。
トドはそのうちのひとつだ。
トドが全部じゃないよ。
そのうちの、ひとつ。
そのうちのひとつ、がいっぱいあって、わたしはしあわせな人間だと思う。
わたしには生きる才能がある。
たのしむ才能がある。
それはわたしを、救う。
たかちゃんと花ちゃんが来ていた。
わたしの3列前、最前列だ。おかげでトド様はじめ、キャストのテンションの高いこと。わーい、得したー。
わたしの席、4列目のドセンターだったからさー、「トド様ひょっとして、わたしのために歌ってる?」という錯覚すら起こるほど、視線来まくるしもー、しあわせ絶頂(笑)。
スタンディングになるたび貧血のせいでふらついてたけど、昂揚してるもんでぜんぜん平気! いつもなら後ろの人のことが気になって立つのをためらうけど、今回は最前列にたかちゃんがいるから、わたしが立つくらいなによ! てなもんさ。スタンディングだと、わたしとたかこの頭だけがぼこっと出ているのがわかる(笑)。
好きでよかった。いろんなこと。
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