いつものお散歩コースを、変えてみた。
 通常わたしは、都心の方に向かって歩く。ウインドウ・ショッピングを兼ねるためだ。
 だが今回は、あえて町外れの方へ向かった。いつもは行かない中央図書館を目指してみた。

 読みたい本をネット検索したところ、中央図書館の書庫にあることがわかったんだ。
 いつも使っている図書館でも、予約さえ出せば運んでくれるのはわかっているが、大した距離じゃないのだから、自分で借りに行った方が早い。
 つーことで、中央図書館へ。

 じつはわたし、中央図書館で数年アルバイトをしていたことがある。
 だから、利用しなくなったんだ。知り合いばっかのトコは、利用しにくい。
 さて、あれからもう何年経つ? さすがにもう時効だろう、わたしもトシくったし、面バレもしないだろう。

 時が止まったような図書館は、相変わらず古くて汚くて、そして利用しにくい、一昔前の図書館として、そこにあった。
 徒歩で行ける距離に、他にふたつも図書館があるのは、老舗の中央図書館が、あまりに不便なところにあるせいだろう。昔はなんとも思わなかったけれど、福祉の充実が謳われる最近において、この不便さはなんだ? 身体の不自由な人やお年寄りはまず、ここまでたどりつけないよな。
 ハードだけでなく、ソフトも不備が目立つ。狭く息苦しく、蔵書も少なく、いいところのない図書館だ。……だから、あえて来る必要もなく、まったく利用してなかったんだよなあ。

 目当ての本を借りたあと、ふと思いついて、図書館裏の公園へ行ってみた。
 子どものころは、よく遊びに来た公園だ。図書館もまだこの不便な中央図書館しかなかったし、わたし自身余計な知恵がついていなかったので、満足して通っていたころ。
 公園と図書館は、セットだった。

 想い出の公園。

 しかし。

 図書館はまったく変わってないのに、公園は変わり果てていた……。

 なんだ?
 中途半端に、小綺麗だぞ?

 鬱蒼たる木々で飾られた、死体がこっそり転がっていそうな公園だったのに。
 探検とか肝試しのできた公園だったのに。

 なんか、きれーになってる。
 川が流れてて、池があって。
 みなさん、水遊びしてますがな。リゾートな雰囲気?

 ちょっとぼーぜん。

 10年ぶり……いや、もっとか?
 その間に、こんなことになってたのか。
 軽くひとまわりしてみたけれど、ほんとにきれーになってるよ……半端に。
 なんで半端かっていうと、造ったときはきれーだったかもしれないが、今は植物が伸びて、はみ出してる。管理はいまいち?

 図書館は変わってないのに!!

 公園と図書館なら、公園には変わってほしくなかったよ……想い出の場所が、跡形もない。
 理屈ではわかってるよ、公園は定期的に整えないと、危険だって。でもなあ、さみしいなあ。
 今はもう亡い人と、遊んだ場所。失った時間。好きだった男の子と歩いた道。冒険。
 それがみんな、根こそぎなくなってた……。

 図書館は、変わってないのに……。

 図書館こそ、進歩させようよ。
 あれが中央図書館だなんて、文化レベル低すぎるよ、マイシティ。

 さみしい想いと、重い鞄をさげて、帰路についた。

 ところで『ガイズ&ドールズ』の原作って、時代設定ちがうんだね。
 わざわざ中央図書館の書庫から出してもらった、ラニアンの『ブロードウェイ物語』。
 禁酒法の時代っすか!! 驚いた。
 つーか、第二次世界大戦前かよ。それって、現代じゃないじゃん……。

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