『こんな恋のはなし』(再放送)が無事最終回を迎えた。

 このドラマが放映された97年当時、真田広之はプライベートでモメて、世の女性たちのひんしゅくをかいまくっているところだった。
 おかげで『こんな恋のはなし』おもしろいよ、と言っても、「でも真田広之でしょ?(怒)」と返され、見てもらえないことが何度かあった。
 役者なんだから、本人がどうであれ、いい仕事さえしてくれりゃ、わたしはそれでいいけどな。

 共演の松嶋菜々子は、ブレイク前。他の出演者も地味。
 ……だからか?
 評価は高かったはずなのに視聴率はふるわず、ビデオは出なかった。

 オーソドックスなテーマとストーリーを、裏切ることなく忠実に、キャラを大切に描いた佳作。

 リッチマン(真田広之)とプアマン(玉置浩二)、プアガール(松嶋菜々子)、リッチガール(戸田奈穂)の立ち位置と、関与関係がすてき。

 なかでも秀逸なのは、リッチガールの描き方だろう。

 いちばん簡単なのは、リッチガールを「厭な女」にすることだから。
 悪徳政治家の娘で、主人公の政略結婚の相手。心の美しいプアガールの恋敵。
 ふつーなら、彼女は悪役だろう。
 彼女を心の壊れたサイコ女にでもすれば、いくらでも話は盛り上がり、視聴率も取れただろう。

 でも、あえてそうせずに、リッチガールを「もうひとりのヒロイン」として描いた。彼女の「成長」をも、描いてみせた。
 だからこそ、この作品は「せつない恋物語」として機能した。

 実際わたしは、彼女に感情移入しまくりだった。盛大に泣かせてもらった。

 しかし。

 わたしがこの作品を気に入っているのは、それだけが理由ではない。

 だって……。

 この物語の真のヒロインって、主人公のリッチマン、原島でしょ?(笑)

 幼少時の体験から、「愛も恋も信じない」と心を閉ざし、冷酷に事業家としてだけ生きてきた孤独な男、原島。
 彼は医者から「あと半年の生命」と宣告される。
 立ち止まってみれば、彼は「金」以外のなにも持っていなかった。
 周りはすべて敵。
 当然だ、そういう生き方をしてきたのだから。

 その、余命の宣告を受けた日。
 原島は運命の出会いをする。

 「金」はかけらも持たないけれど、あふれんばかりの「愛」を持った男、孝之助。
 孝之助は、原島が自分たちの工場を潰しアパートを取り壊そうとしている原島グループの会長とは知らず、無償の愛を与えてくる。
 孝之助はいわば、「敵」のひとりだ。だが原島は、彼に自分の正体を告げることができない。
 彼に微笑みかけてもらえる「今」を失いたくない……。

 いや、原島はもうひとり、孝之助の妹分の香織にも出会ってて、番組的には、原島の恋の相手は香織ってことになってるけど。

 孝之助だろ?

 原島の生き方を変えたのは、孝之助。
 香織はただ、「女だった」という以外に、孝之助に勝てるものはなにも持っていない。

 原島と孝之助のラブストーリーとして見ても、いい出来なのだ(笑)。
 抱擁シーンもデートシーンもあるしなっ。
 あの別荘で、原島、なんであんたシャツの胸元開けてんの?! と、わたしと友人はつっこみましたものよ、本放送時。

 当時大事に録画したテープはあるけれど、やっぱデジタル化したいから、がんばって録画しました、今回。
 再放送ゆえカットされているスポンサー紹介や次回予告、CDプレゼントのお知らせ等も、昔のビデオからダビング、編集加工して、完璧なデータを作りました。
 がんばったぞ、わたし!(笑)

 ただホモなだけでは、萌えない。
 物語として完成度が高くなくては。
 魅力がなくては。

 そのうえでホモなら、二度オイシイのだ(笑)。

 この『こんな恋のはなし』で映りが良かったから、「真田広之と松嶋菜々子で映画? それなら見に行きましょう」ということになって、わたしはあの『リング』を見に行ってしまったのだ……。
 これもまた運命。

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